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私と神様は相性が悪い  作者: 壱花
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51.盗まれた物



今どきなぜ紙なのか。

A4の茶封筒に入れられたそのデータはこのデジタル化社会とは正反対の紙の書類で、何年分なのかは分からないがそれなりの厚さだった。それが最近見なくなった穴を通すタイプのファイルに収められている。


「(さ、て、と、誰から見るか。)」


中身は個人個人が詳しくという訳ではなく、各学年の生徒の名前、クラス、属性、魔力量、異能、備考欄の表になっていた。


「(まぁ、毎年新入生がいるわけだし一人一人なんて作れないか。)」


パラパラとめくり、結実だけでも個人情報が載っていないかと探してみたがあくまでこれは在校生当時の名簿のような役割なのか、そこまで詳しくは書かれていなかった。



「…あれ、これって。」


結実の在校していた時期の前後のページをめくり、予想外の事実を知る。


「火神先生と花村先生、三井先生って在校期間が被ってる?」


そんな設定、物語上では語られることはなく知らなかったが年齢だけ見ればそうなる。


「あ…。三井先生は違うのか。」


在学期間は多少被っているが、高校外部進学と備考欄に書かれている三井先生は事件当時学園にはいなかったようだ。


「(まって、どうして?そんな重要な設定物語に出てこないの?)」


そもそも花村先生と三井先生に限っては物語に出て来てすらいない。

おそらくは背景にはいたのだろうが、語られることはなかった。


「(いや、名前の出てこない結実を語る先生がいたな、それが二人のどちらか?)」


夜の学校でアカヤたちが結実の存在を知った回で出てきた迂闊な先生。

名前はなく物語上『先生の小さなつぶやきをキヨは聞き漏らさなかった。』とだけあった。


「(それが花村先生か三井先生、もしくはまだ名前の登場していない設楽先生?)」


こそこそと話す先生たち。

この時点で物語に登場しているのは三浦先生と火神先生だけ。

でも五行の授業はすでに始まり、属性別に授業を受けているのだから他三人の先生も物語の裏側にはいたのだろう。


物語に音はない。

こそこそと小さい声でという単語だけで私はその先生が脅えていると思っていた。

迂闊と言ったのは、それがきっかけで結実の存在にたどり着いてしまったからで実際のところは『やはり彼女と同じ力だ。』としか言ってはいない。


「(だったら彼女というぐらい近い位置にいた花村先生が妥当?迂闊さは感じられないけれど、そもそも個人名もキヨの名前も出していないわけだし…)」


何て、今考える必要のないことを考えながら結実、火神先生と順に目を滑らせ再び驚いた。



鳥居結実 属性『土』、クラス『B』、異能『空間接続』、魔力量『B』、備考欄に✓マークがついている。


クラスも魔力量もSだと思っていたがB。彼女の性格から偽っていたとはとても思えず、だったらあの力は一体どこから来たものなのかと不思議になった。


「(あくまで異界と現世を繋げる異能だけであの事件を起こせた?)」


きっかけは偶然。

あちら側で力を分け与えられたのだろうか?

一瞬、お腹にいたキヨの力?とも思ったがそれではつじつまが合わない。

さらに増えた謎を放置はしたくないけれど、答えが見つかりそうもなく前のページへと二枚紙をめくった。



火神義人 属性『火』、クラス『S』、異能『影を炎で具現化』、魔力量『S』、備考欄なし。


結実の二つ上の先輩だった火神先生。

名前は初めて見たな、何て思う暇もなくクラスと魔力量のレベルに目が点となった。


「(確かに最後の戦いで火神先生は戦力として出てきたけど…)」


魔力量が多いことは原作でも書かれていた。もちろん強い=物語の主要キャラである必要はない。

下手に先生を活躍させると主人公たちの出番がなくなる恐れもあった。


「(でも結実より上、…それにあの事件に遭遇…してないのか!)」


二個上であれば学園を卒業している。


「(だとしても、事件のことは聞いているはずだ。なぜ教師を選んだのか。)」


火神先生と言えば常に猫背でおろおろとしている顔色の悪い人。

おろおろ頼りなさげだがそれ以上にピシッと整えられた七三分けと黒いスーツのせいで葬儀屋さんのようにも見える。

骨と皮だけの身体に表情を出すことが下手なのか、よく顔が引きつっているためついたあだ名は死神先生。

これは先生が死神というよりも、死神に連れていかれそうな先生の意味だと知ったのは実際にこの世界に来て顔を合わせてから。



「謎が深まるばかり。」


私はこの資料を見て何を知ろうとしていたんだっけと、本来の目的を見失いそうになっていた。


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