47.緑の犬
さっそく、クー・シーを呼び出した私はその大きさに少しばかり後ずさってしまったが慣れれば可愛い奴だった。
生まれてこの方、生き物はメダカしか飼ったことがなく、大型動物が自分の傍にいるのことに若干の違和感を覚えるもののクー・シーはとても優秀で良い子だった。
まずは能力の様子見として、ずっとついて回る奇妙な気配を探ってもらった。
クー・シーは人の言葉を話せなかったが、そこはケットシーが通訳してくれるため問題はない。
クー・シーは私の命を受け、足音も立てず姿を虚ろにして部屋を出ていく。
数分もすればいつの間にか私の横に姿を見せたクー・シーは、何かを伝えようと鼻を鳴らす。
『ご主人様を見ていたのはこの学園の教師のようです。それと天願様他、ご学友の皆様のこともなにやら観察なさっているようです。』
キヨも謎の気配の存在のことを言っていたが、他の子たちからその話は聞いたことがなく、私は首をかしげる。
「ご学友って具体的には誰?」
私とキヨならば共通点としては孤児と言うことだろうか?それならば教師陣が気にかける理由も分かる気がした。
後は最近母親が亡くなり、生活環境の変わった双子か?と私は思ったがどうやら違うようだ。
『同じ学年の皆々様でございます。』
クー・シーから何かを聞いたケットシーはそう言った。
皆々様と言うことはクラス全員のことになるだろう。
「クラス全員…先生方が監視していたの?」
特殊な学園と言うこともあり、個々の教師陣は数が少ない。
もちろん各学年一クラスしかないし、属性別、ランク別で授業を受ける際は学年関係なく教わるため用は足りている。
ただ個人個人を観察するにはたった五人の先生では賄いきれないだろう。
「そういう能力?」
思わず口を出た言葉にケットシーは首を横に振った。
『監視ではなく観察、何かを査定しているようだったとクー・シーは申しております。教師たちは代わる代わる、時間ごとに決まった生徒をなにやら審査しているようです。』
その言葉をきいてようやく気配の目的に気づいた。
私から生まれたクー・シーは想像以上にいい仕事をしてくれた。
おかげでこれまで悩まされていた気配の正体も、その目的もはっきりとわかりこれから私がするべき行動におのずと導いてくれた。
「能力から言ってまずはレオ君からかな。」
明日はケットシーのお披露目とレオ君が気配の存在に気づいているか確認しなければならない。
休みはもうすぐなのに、やらなければならないことが山積みだ。




