⑪本文抜粋 監視
キヨは自分の母親が十四年前の事件の犯人だと知り、これまで心に引っかかっていたすべての謎が解けたような気がした。
写真はもちろん、何の痕跡も残っていない両親。
そのことに違和感を覚えない祖父母。
異常なまでに過保護な教師陣。
他にも細かいことを上げればきりがないぐらい、キヨを取り巻く環境は何かと引っかかることが多かったが一番はこれだ。
自身の犯した罪がなかったことにされたこと。
未成年である。
表向き秘匿とされている魔法の暴走。
情状酌量が認められたとしても、罪は罪。何らかのお咎めがあってもおかしくはないのに警察関係者がキヨの元に尋ねてくることはなく、教師陣からも何も言われないままその事件はどう処理されたのか。キヨが聞いても先生たちは不幸な事故だったと何も教えてはくれなかった。
自分が殺人犯だから危険視され、学園から出してもらえないのかもしれない。今まではそう思っていた。
不思議なぐらいタイミングのいい先生たちは自分を監視している。そう気づいたのは学園に入学する直前。
困っていればどこからともなく現れる先生たちの過保護さは、自分を犯罪者に育てないために見張られている、そうキヨは思っていた。
しかしここにきて、自分よりももっと危険な存在が浮き彫りになったのだ。
しかもその人物は自分の母親だと言うことにキヨはめまいを覚えた。
だとするのならこれまでの監視はキヨ自身を危険視するものではなく、その母親が自分に接触する機会を狙っていたのではないかとそう思えてきたのだ。
自分は保護されていたわけでも、危険視されていたわけでもなく、母親をあぶりだす為の餌。
そう考えたときにキヨの中で何かが割れたような音がした。
そして先生たちは自分の母がまだ生きていると確信しているのだと、淡い期待がキヨの中で生まれた。




