34.屈辱
とりあえず水属性に置いて基本ともいえる水の発生をしながら、私は何とも言えない気持ちになった。
「(何で?キヨの魔力でしょ?キヨは上手くいってるじゃない!)」
発生させた水をきれいな球体にしているモモとキヨを横に、私は一人歪な水が何度もはじけるという事態に陥っていた。
予習は完璧、今日までにキヨの魔力も貯めに貯めた。
「(なのに!!)」
二人に慰められ、ただひたすらにショックを受ける。
何が足りない?
想像力?コントロール?
まだ一日目だ、これから挽回できる。
今日は待ちに待った五行が組み分けされてからの初めての実技だ。
「あー、灰羽はもしかしたら土属性の方が向いているのかもしれないぞ!」
何て苦笑しながら言う三浦先生に殺意を覚え、六回目の暗転。
「何がいけない‥‥」
普段ならこんなつぶやき口にしない。
独り言は聞かれる必要があるものだけを口にする。
でも今日ばかりは思わず口から言葉が飛び出した。
「ごめんなさい。伝え忘れていました。」
そんな言葉と共に当りが真っ白になったことで神様が現れたのだと気づいた。
「あなたに授けた<異能>は他の次元からナニカを呼び出す召喚術。属性は土ではないとつじつまが合わなくなってしまいます。なので、先ほどは妨害させてもらいました。」
再び私の目の前は暗転。
瞼を押し上げ、目に写ったのは慌てる神様。
そして再び暗転。
「(ああ、やっぱり。これは嫌がらせだったのだ。)」
遠のく意識の中、私は今日までのことを走馬灯のように思い出していた。
「枷は外しましたっ!」
鼻息荒く神様は前のめりに言った。
確かにいつまでたっても痛みと暗転がやってこなかった。
「そんな殺意を向けないでください!!」
神様は今回のことをちょっと伝え忘れただけと言った。
私が怒っているのは水属性から土属性へ移らなくてはいけないことではない。
それぐらい〈異能が召喚系〉と言うことでいずれ移動することは分かっていた。
「私が怒っているのはね神様。私が努力したものを踏みにじられたことよ。」
プライドが高いのは認めるが、それに見合った努力はしてきたつもりだ。
それが神様の都合とやらで全部なかったことにされた場合、殺意の一つ持つ方が普通に思えるのは私だけだろうか?
最初から悪意を持っています。これは罰ですと言ってくれれば私とて神様に期待なんかしないし、この状況を甘んじて受け入れただろう。
許せないのは自分に非がありながら認めず、自分は正しいと信じているその性質だ。
神様は私が悪質であると私を嫌ったが、私もここまで偽善的な神様が嫌いだ。
「嫌ってなどいません!!」
神様は涙ながらに叫んだが、だというのなら神様には主やりと言う者が欠けているのだろうと私は思った。
「(泣けば済むと思っているところ何て特に嫌い。)」
自分は神であるのだから何をしても許される。
貴方はただの暇つぶし。
ただそう言ってくれるだけで私は普通に生きられるのに。
傷つけられたのは私の方なのに泣いている神様を前に私は白けた気持ちになった。
「私が悪意の塊だとするのなら、神様ってとても悪質で偽善的な方なのね。」
心のからの言葉だ。
この言葉に裏はない。殺意もない。
ただ純粋に目の前の存在に弄ばれる私とこの世界の住民が可哀想だと他人事のように思った。




