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私と神様は相性が悪い  作者: 壱花
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18.事実確認




当面の目標は『私が死なないこと』『物語を始めさせないこと』の二つに絞った。

自分の存在感を消し、ただの背景に徹するには六年間は長すぎるし、そもそも事件が始まるとそこまで生きていられる保証がない。


たった二つではあるが最低限であり最重要な二つだ。

神様が望むアクションは他にもきっとあるだろうけど、私には今他の人を気にいている余裕何てない。


キヨの心の安らぎとか、アオイ君の身の安全とか、クラスメイトの安否とか、それら全部、物語さえ始まらなければきっとどうにかなるだろうと若干投げやりな暴論に聞こえるかもしれないが、誰だって自分が一番なのは同じだろう。



(とはいってもセージに直接仕掛けるわけにはいかない。)


彼の持つ能力を考えると、自衛もなしに近づくことは得策とはいえない。

下手をすればこの物語のこと自体、彼に暴露する羽目になるからだ。


じゃぁ、一体どうするのかってそんなの


(魔法の修行じゃぁ!)


実はこのことだけは少し神様に感謝していた。

この世界が生きにくいことに間違いはないが、魔法と言うものが存在する世界。

ワクワクしない方がどうかしている。


平和な世界を壊してまで戦いたいとは思わないが、身一つで炎を水を手から放出させることはちょっとしたロマンだろう?

一体何の役に立つと聞かれればそれまでだが、箒で空を飛ぶことも前世ではありえなかったのだ。


アカヤたちの気持ちが全く分からないわけではない。

本来なら何も考えずこの世界を楽しみたかったのだが、余命数か月の可能性がある状態ではそんな気分になれなかった。


現状は何も変わらない。

ただ目標を定めただけでまだ動き出してもいない。


それでも気持ちは軽くなり、私は一体どんな異能が使えるようになるのだろうとワクワクソワソワしていた。



していたからこそ、この顛末に私は怒ればいいのか悲しめばいいのか分からなくなる。




「言い忘れていました。貴方はこの世界の生まれではないので魔力はありませんよ。」


突然現れた神様の突然の言葉。

目の前の人物は神様なんかではなく悪魔なのではないか、そう思った。


「悪魔じゃないです!!」


そう返されたことに私は約束が破られたことを知る。


「やっぱり人の心勝手に見てたんだ。」


ぽつりと零した声に神様は慌てる。

あの真っ白な部屋に居るときだけ心が見れる。プライバシーはあると言っていたが、私がどんな異能を持つかちょうど考えていた時にこれを言いに来るのはあまりにもタイミングが合いすぎている。


それに上げてから落とすという行為も罰というよりは嫌がらせに近い。

地蔵菩薩と閻魔王は表裏一体。

目の前の神様もやっぱり裏の顔は悪魔なのかと私は納得した。



「違うんです。本当に、私たちは元々、人間たちの心の声が聞こえるんです!」

強調するように言葉を区切り、鼻息荒めの神様に私は眉を顰める。

心の声が聞こえると言えば多少耳障りがよく感じるが、結局心の中を盗み見していることと何が違うのか?

私のこういった考え方が間違っている、もっと好意的に受け取れる人間になって欲しいと神様が思っているのならば、やはり神様は自分たちにとって都合のいい人間を作りたいだけだ。


パクパクと口を開閉する神様。

考えるよりも先に私は口を開いていた。



「だって魔力のない私を魔法学校に送って結局何がしたいのか分からない。性格の矯正だとしてもそれに何の意味があるの?私が何をしたかは分からないけれど、体よく処分したいだけにしか見えない。」



本格的に授業が始まってしまえば私に魔力がないことに周りは気づく。

そもそも魔法は秘匿だ。

セージみたいな能力があるのだから間違いなく記憶を消されて学園から追い出されるだろう。

私はこの世界に生まれ落ちたわけではなく、死んだ直後にこの世界に落とされた。

この世界で生きた13歳までの記憶はない。

多分家族もいないし、戸籍もないかもしれない。

そんな怪しい存在、学園は放っておくだろうか?


良くて監禁、悪くて処刑。

結実の前例があるからこそ甘い選択はしないはずだ。


そんな可能性をはらんだ状態で今の今まで大事なことを伝え忘れるあたりが答えだろう。


神様は泣きそうな顔をしている。

でも泣きたいのは私の方だ。

泣きたい以上に頭が締め付けられ、泣くことさえ許されない。


(ああ、そうか。)


私はいまになって頭を締め付ける痛みのルールが分かった。

これは殺意の度合いだ。

私はいま明確に目の前の神様に殺意を持った。


さっきの同級生に対しても確かに私は直接的に何かをしようと思った。

もちろん殺すつもりはないけれど悪意を持って害そうと、そして根底ではあわよくば死んでほしいという殺意を持っていた。



(ああ、そうなのか。やっぱりそうなのだ。)


プラスして神様の言う『正しい悪意』とは神様の都合か気分で決まるのだろう。

そうでなければ、無意識か故意かは知らないが私は自分が殺されそうになっていたその相手(神様)に殺意を向けたことが間違っている悪意と決めつけられ、いま膝をついている。


普通、自分を殺しに来る相手に対し嫌悪感を持つこともそれが殺意になることもあり得ることだろう?


そもそもすべての悪意を否定せず、自身も嘘をつく存在である神様は別に善ではないのだろう。私は目の前の存在についてあえて(・・・)考え続ける。


神様とは結局のところ人間たちよりも次元が上の生き物なだけであり、まさしく二次元と三次元の関係。

どうとでもできるし、飽いたら捨てることのできるちっぽけな存在なのだ。


どれくらい私は神様についてい考察 嫌味を考えていただろう。

遂に目の前の神様は「違う!違う!」と泣き始めた。



(とても愉悦。)


今度は頭が痛くはならなかった。

ここに至るまでの過程で悪意と判断され痛みが襲ってくることもあったが、私が喜ぶだけであればどうやらこのシステムは機能しない様だ。


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