④本編抜粋 水戸蒼
『淡々と自分のことをこなし、他者に優劣を付けないアオイはクラスメイトともキヨともそもそもの会話が少なかっただけでその態度は以前と何も変わらなかった。そのことがキヨにとってどれだけありがたかったか。あの事件以降、自分を避けるようになったクラスメイトと違い彼は変わらない。』
『命があっただけよかったじゃないかとアオイは自分に言い聞かせた。また異界の歪が裂けたとしらた今度は前線で戦うことはできない。しかし力自体が失われたわけではない。ここで諦めることはあの時、異界へ吸い込まれた同級生を諦めることを意味する。もう生きてはいない、頭の中ではそう思っているものの、まだ確認はできていない。諦めることは彼らを見殺しにすることだとアオイは己を奮い立たせる。』
『自分は特別な人間になりたかったわけではない。ただ力を持っているのに使わないことがアオイには罪に思えたのだ。
でもそれを他人にまで望むのは間違っているとアオイは知っている。だから強要はしない。強要はしないがやはり大きい力というものは羨ましくも感じる。
なぜ彼だったのだろう。そんなことを考える自分が嫌でアオイは首を振って思考を変えようとした。』
『どこで選択を誤ったのだろう。アオイは目の前のクラスメイトがいつからおかしくなったのか分からなかった。
どこで?
彼はずっとこうだったのかもしれない。時々彼の口からこぼれる言葉はアオイには理解できないことも多かった。それは正しいとか間違っているとかではなく、人間としてどこかおかしい、彼はそんな感覚をもともと持っていたのだろうかと昨日までは普通に会話していた彼を前にアオイはいつの間にか自分が息を止めていることに気づいた。』
『やっぱりそうだったのだ。
彼はおかしかった。
何がどうおかしいのかは分からないけれど、明らかに普通の人間ではなかった。
でなければこんな時もいつもと変わらない笑顔何て浮かべるわけがないのだ。』




