10.物語の結末
前半部にも色々と事件に巻き込まれ解決してきた主人公たちだったが、後半の目的はキヨの母親捜索がメインだ。
先に言った通りこの物語の最終的な黒幕はキヨの母親鳥居結実だ。天願は父方の姓と思われていたが、のちに全くの赤の他人に預けられていたことになる。
では父親は誰なのか?
これがこの世界に置いての不幸の始まりだ。
主人公3人組は先生たちが隠しているキヨの母親について調べ、ついに約20年前に学園にいた生徒だと突き止める。
双子の母親がこの学園出身だったことは二人も知っていたが、彼女は二人の入学を頑なに拒んでいた。今にして思えばこれが原因だったのだとキヨママの起こした事件を知り双子は理解した。
彼女は卒業を前に失踪。その直前に行われていたのが異界開門と言われる、魔法界においてタブーの儀式だった。
主人公たちの時代では異界について語られることはほとんどなく、あくまで次元が歪むからとの説明で禁忌とされているその儀式を彼女は長年の研究テーマとして掲げていたようだ。そしてついにそれは成功。
開かれたものは多くの人間を飲み込み、その後彼女の姿もなくなった。
キヨママについては後で語るが、結果として彼女は直接手を下したわけではないが大量殺人犯として魔法界から追われる身となった。
普通に考えるならば彼女も異界に飲み込まれたとするだろうが、今でも教師陣を始め多くの魔法界に携わる人が後を追っているのは閉門の仕方が分からないからだった。
一度開かれた門は閉じることはできたが鍵をかけることができない、そんな状態だった。
この魔法学園の現在の目的はその力のコントロールの他に見つけた門を閉じることを目的としている。表向きそれは≪歪≫と伝えられ、魔力を持つ人間ならば見つけることのできる空間の異変。正確には現実と異界のオーバーラップしている場所に何らかのゆがみを見つけた場合、必ず正常な状況に戻す(魔力を流して平らにする)ことが卒業後、魔法界と疎遠になっても義務づけられている。
あちらこちらの門を開いたキヨママ。
鍵のかかっていない扉はあちら側から魔力を込めれば簡単に開いてしまう。
今は鍵をかけるすべがなく、見つけ次第扉を閉じていくほか対処のしようがないのだ。
主人公たちはキヨママが学園に在籍していたことが分かり、卒業生を探すことにした。そして知った事実。
ふとここで、いまだに開かれ続ける門は本当にあちら側からだけなんだろうかと疑問に思い彼女がまだこの世界にいるのではないかと気づく。
そしてアカヤはキヨママを倒そうと宣言し、キヨは選択を迫られた。
『息子であるお前がその手でお母さんを止めるんだ!俺も協力する!』
もっともらしい正義の言葉であるが、キヨママは捕まれば死刑は決まっている。そしてアカヤの言う『止める』といい言葉は一体何をさしているのかキヨは考えた。
アカヤの選択した攻撃魔法は何か戦いの舞台でもなければ役に立たない能力だ。
アカヤはただ戦いたいだけなんじゃないか?キヨはそう思ったが、それは彼だけではなく読者もなんとなく気づいていた。
これが二人の袂を分け、敵対する間柄となった原因だ。
その後キヨママとキヨは再会。
色々話し合ったうえでの決別。ただこれは殺伐としたものではなく、互いを理解尊重した結果そうなった。
だからここで完結してくれればまだ救いはあったのだ。
私がアカヤではなくキヨ寄りの目線で語っているから多少、偏りがあるように聞こえるかもしれない。
しかし起こった事実だけ羅列するのなら、この後の終着はこうだ。
長年の研究で鍵を付ける方法にたどり着いた先生たち
モモの力でキヨの居場所判明
鍵には人柱がいる
キヨママに罰としてそれを担ってもらおう
アカヤ討伐に向かう
待ち受けていたのはキヨ
キヨママはあちら側にいるため、通さないキヨとの戦い
このまま僕が人柱になるとキヨがその任を担う
読者感想は賛否両論あったし、そもそもこの結末に納得していないものも多くいた。
中にはアカヤの選択を男気を見ただの正義感の塊という意見もあったのだから、すべてアカヤが悪いと結論づけるのは間違いかもしれない。
そもそも主人公なわけなので、私が考えるような彼こそ黒幕、なんてこともないのだろう。
でも考えてしまう。
アカヤさえいなければことはもっと穏便に済んだのではないだろうか?
そもそもの元凶はキヨママだとしても、もう少しましな結末になったんでないか。
そしてふと気づく。
今は制約の時間内だ。
なのに頭が痛くならなかった。
完全悪でない主人公のアカヤを私はいま悪く言っていたつもりだったが、これにいつもの頭痛はやってこない。
その線引きは一体どこなのだろうと、今までの集中が切れ一回首を回す。
今現在覚えていることと、考察をどこかに書き写したかったが誰かに見られでもしたら大問題。頭の中に収めておくしかない。
でも物語を最後まで見届けるとしたのならこの記憶を6年間しっかりと残しておかなければならない。
一体どうするべきか、私は再び首をひねる。




