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これはとある異世界渡航者の物語  作者: かいちょう
間章

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広域多次元航行艦ヴィマナ(1)

 その日は突然の出来事で目を覚ました。


 自室のベッドで気持ちよく、すやすやと眠っていたところ、突然部屋全体が大きく揺れ、ベッドから放り出される形で床に激突、「あ痛っ!!」と間抜けな声をあげて目を覚ました。


 「な、何事だ!?」


 大きく打ちつけた頭を押さえながら素早く起き上がり、咄嗟にカーテンを開けて窓の外を確認するが、窓の外は漆黒の闇、景色などあるわけがない。

 そもそも、ここは次元の狭間だ。普通に考えて地震など起こりようがない。


 震度もマグニチュードもない世界で、ではなぜこれほどの大きな揺れが起きたのか?

 考えられる原因はふたつ。ひとつはかつてフミコと出会った疑似世界のような、次元の狭間を漂う、忘れ去られた文明の欠片に衝突した可能性。


 そしてもうひとつは外敵の襲来……滅多に遭遇する事はないが、次元の狭間を彷徨う次元の迷い子に出くわした可能性だ。

 あるいはジムクベルトのような高次元の超上位種に運悪く出くわしてしまったか、最も最悪なパターンは移動中のアシュラと偶然、鉢合わせしてしまったパターンだ。


 (いずれにしても最悪な目覚めである事に変わりはないな……クソッタレめ!)


 寝巻を脱ぎ捨て、動きやすい服装に素早く着替えると即座に部屋を飛び出す。

 すると、自室の前の通路にはすでにフミコとケティーがいて何やら驚いた表情を浮かべて立っており、こちらに気付くと。


 「あ! かい君!! 大変だよあれ!!」

 「ちょっと川畑くん! 一体何したの!?」


 ふたりしてそんな事を言ってきた。

 一体どうしたんだ? と思って、ふたりがさきほどまで見ていた方向に目を向ける。

 すると……


 『港湾エリアが開放されました』


 突然、次元の狭間の空間全体に何かを知らせるチャイムのような音が鳴り響き、続いてそんなアナウンスが響き渡った。


 「は? 港湾エリア?」


 突然の事に戸惑っていると、フミコとケティーが見ていた先、これまで「開放されていないエリア」という謎のメッセージによって、何(・)故(・)か(・)進(・)む(・)事(・)が(・)で(・)き(・)な(・)か(・)っ(・)た(・)壁に囲まれたエリア。

 どれだけ追加施設を設置しようとしても、「開放されていないエリアです」というエラー表記によって何故か追加施設を設置できないエリアだった、謎の巨大な宇宙船のようなものがある事だけがわかっていたエリアを囲んでいた壁がなくなっていた。


 つまりこれは、あの巨大な宇宙船のような何か……結局あれって一体何なの? っていう疑問が常に付きまとっていたあれのすぐそばまで行けるようになったという事だ。

 これはすぐにでも調査に向かわねばならないだろう!


 まぁ別段、巨大な宇宙船に興味はないんだが、乗船できるというなら中がどうなっているのか確かめるべきだろう。

 うむ、別に乗りたくてウズウズしているわけじゃないぞ? 断じてない! 決して!!


 しかし、今までまったく手がつけられなかった、ポイント消費で開放できるオプション施設でもなかったあのエリアが何故今になって突然開放されたのか?

 そんな疑問を抱いた時だ。

 以前、スタンピードに取り込まれたココを取り戻すためにリーナ(成長ギャル化版)を召喚した時に彼女がアシュラ対策の身代わりのペンダントが自分が最初に訪れた、再度訪れる事ができないあの異世界に売っていて、そこに買いに行く手段は次の異世界に行けばわかる。と言っていた事を思い出す。


 そして前回の異世界ではサイボーグ化した異世界漂流者からビースター(合体変形ロボ)を呼び出す異能は奪ったが、あれが開放の条件だったのだろうか?

 そう思い、アビリティーユニットをメンテナンスする施設にまずは向かう。


 施設に入ると、アビリティーユニットのメンテナンスはすでに終了していた。

 前回の異世界で異世界漂流者の潮留よしもりから奪った異能はこれで使えるようになっており、メンテナンス装置からアビリティーユニットを取り出し、試しに異能の詳細を確認してみる。


 すると、潮留よしもりがかつて地球にいた頃に宿敵エムブロをかの異世界に飛ばし、増殖神ハマーによってかの異世界に飛ばされた禁断の大技……相手を次元の彼方に葬り去る秘奥義ディメンションストロームも使用可能になっていた。

 そして、その秘奥義の副次効果によって、次元航行するための波動エネルギーが得られたとして、次元の狭間の空間の奥地にひっそりと(誰も必要以上に反応しなかっただけで、ひっそりどころかめちゃくちゃ目立ってはいたが)停泊して動かなくなっていた、かの巨大な宇宙船が動かせるようになったのだという。


 これに呼応して、かの巨大な宇宙船が停泊している港湾エリアが開放されたというわけだ。

 なるほど、理由がわかればやはりすぐに開放された港湾エリアに行かねばなるまい。

 何せリーナ(成長ギャル化版)が言ってた、対アシュラ戦で重宝するであろう身代わりのペンダントを売っている異世界に行ける手段は、確実にあの巨大な宇宙船に違いないのだから。


 はやる気持ちを抑えきれずにアビリティーユニットのメンテ施設を飛び出して港湾エリアへと走り出す。


 「あ! 待ってかい君!!」

 「ちょっと川畑くん! そんなに慌てなくても!!」


 フミコとケティーもそんな自分を慌てて追いかけて後に続く。

 そして、ついに開放された新エリア、港湾エリアに3人で足を踏み入れた。

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