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チャッカマン・オフロード  作者: 古川アモロ
第13章「身も蓋もないバイブルを焼き捨てる夜へ」
100/250

第100話 「アモロ」




挿絵(By みてみん)




 神父ルディからの勧誘。

 物語は、全13種のアイテムを探すストーリーへ……


 行かない。



「悪いけど、断るね」

 フォックスは拒否した。

  

「!? オーナー?」

 ずっこけるトラ。



「神父。助けてもらったことは(おん)に着るぜ。けどアタシ達は、アイテムを外すために旅してんだ。アイテムをそろえるなんざ冗談じゃねえ」


 ふんぞり返って、フォックスはルディを見上げる。なんと(にく)たらしい顔をするのか、この女は。


「たまたまとは言え、あんたがレインショットを見つけ出せたのは、アタシらがいればこそだろ? これでもう貸し借り(・・・・)なしってもんじゃねえか?」

 メチャクチャ言い出した。



「ちょ……ええ!?」 

 困るトラ。


「……」

 フォックスを見下ろすルディ。

 ガイコツの顔で見つめられると、本当に怖い。


「……詭弁(きべん)だと思わないかね? むしろ私は、君たちをレインショットの魔の手から救ってあげた(・・・)と思っているのだが。実際、ヤツを憎んでたんじゃないのかね?」


 ルディまでムチャクチャ言い出した。

 どんどん表情がこわばるフォックス……



「おうさ、アタシはレインショットを殺してやろうと思ってたぜ? この手で火葬してやりたかったのに、あんたにその機会を奪われちまった。それなのに恩着(おんき)せがましい態度はやめてほしいね」


「恩着せがましい? さっき、恩に着ると言ったじゃないか。あれは嘘かね?」

「はぁ? 言ってねぇけど」

 (にら)みあい。

 

「……こんなことは言いたくないのだが、君たちを警察に突き出してもいいんだよ? これは脅迫ではない。指名手配犯を見つけたら、通報するのが市民の義務だからね」

 完全な脅迫。

 神父とは思えない発言だ。


「だったら、さっきの女どもを人質に取るまでだ。ニニコをシーカに(さら)われてんだ。ズルいとは言わせねえぜ?」

 完全な脅迫。

 じつに指名手配犯らしい発言だ。



 一触即発―――


 その空気を破ったのは、いままで空気状態だったトラだ。



「タイム。ちょっとオーナー!」

 あわててフォックスに耳打ちをする。

 ひそひそ。

「オーナー、ここは言うこと聞いときましょうよ。意地はっても、俺たちのが不利っすよ」


「バカ! こいつらだって、そのテログループだかゲリラだかを殺してんだぜ? ましてレインショット殺害の現行犯じゃねえか。警察(サツ)に通報されたら困んのは、向こうも一緒なんだよ!」

 フォックスも耳打ち。

 ひそひそ。


「手配犯の俺たちがどうやって警察にタレこむんスか。向こうの目的がアイテムを集めることなら、俺たちのアイテムも粗末にしないはずッスよ。いまはルディの機嫌(きげん)損ねないほうがいいですって」

 ひそひそ。


「いーや、アタシは信用できねえ。さっきの聞いたか? 我々が鎧を管理するとかホザきやがったぞ。正しきボクたち(・・・・・・・)なら悪用なんかしませんってか? マンガに出てくる悪の組織そのまんまだぜ」

 ひそひそ。


「とにかく、やたらケンカ腰なのはやめてくださいよ」

 ひそひそ。


「お前が言うな! アタシたちの目的は “ アモロ ” を探すことだろーが。忘れたのか」

 ひそひそ。




「ぜんぶ聞こえているんだけどね!」


 聞こえてたらしい。

 ルディが声を荒げる。


 その直後―――


「フッ……ハハハハハハハハハ! なんだそうか。そういうことか! ははは!」

 笑いだした。

 ガイコツが、カクカクと上下する。


「ハハハハハハハ……」




挿絵(By みてみん)




「うわ、なに!?」

「な、なにがおかしいんだよ!」


 あっけに取られるトラとフォックス。

 というか、ドクロの仮面で大笑いされると怖い。



「ははは! す、すまない。君たちは “ アモロ ” を探してるのか。なるほど考えたな、たしかにアモロなら呪いを解けるか」

 ハハハ!

 ハハハハ!


「そうか、アモロか! それならそうと、早く言ってくれればいいのに……ハハハハハ!」

 


 ルディの言葉に、2人の表情が変わる。

 い、いまなんて!? 

  

「な……!?」

「し、知ってんのか!? アモロがなんなのか?」


「ハハハ。知ってるもなにも、これですべて解決だよ。もしかして知らないのかね? アモロとは鎧……いや、13のアイテムのひとつさ」



「んにゃ!?」

「マ、マジ!?」

 飛び上がる。


 明かされる真実。

 アモロの正体は、アイテム!?


 マジ?



「本当だとも。なんならすべて教えてあげようか」


 ようやく笑いのおさまったルディ。

 さっきまでと、まるでちがう明るい口調になった。


「まず、トラくんの『 足枷(あしかせ) 』、

 フォックス君の『 ()籠手(ごて) 』、

 シーカ君の『 煙羅煙羅(えんらえんら) 』、

 おなじく『 ()() 』、


 ニニコ君の『 ()白闇(しろやみ) 』、

 マリィ君の『 ()義肢(ぎし) 』、

 私の『 ()(もり) 』、

 それから『 穢卑面(エヒメ) 』、


 そして、


 『 独楽(ドグラ) 』、

 『 井氷鹿(イヒカ) 』、

 『 アモロ 』、


 ……以上の13個だ」




挿絵(By みてみん)


挿絵(By みてみん)




 ここにきて、アイテムの全容が明らかになった。



 お待たせしました。

 物語はついに佳境(かきょう)へ―――

 



 いやいや。

 ちょっと待って。



「マジかよ!! すげえ…………()らんぞオイ」

「ちょい待ち。えー、足枷、焼き籠手、朽ち灯…………ど、どこが以上なんだよ!」

 

 指折り数えるトラ。 

 確かに、11個しかない。


 あと2つは?



「残りはヒミツだ」

 内緒(ないしょ)にするルディ。


「ブチ殺すぞ」

「ブチ殺すぞ」

 トラとフォックスがハモる。

 


「11個そろったら教えよう。言っておくが、この()(もり)から聞いて、私はすべての呪いについて知ってるんだ。あとは居場所だけ……さて、どうするかね?」

 

 ブチ殺すとか言われても、ルディは教えてくれない。むしろ平然としたものだ。なんとなく、仮面の下で笑っているような気がする。


 いや、その前に聞き捨てならない。



「なあルディ、さっき言ったのはマジなんだよな?」

「さっき……? 私がなにか言ったかな」


「アモロなら呪いを解けるって、たしかに言ったよな? どうやってだ。具体的に教えろよ」

「……さて、そんなこと言ったかね? 覚えがないな」


「……教えて?」

「もっと我々の関係が深まれば教えてあげよう。どうするかね?」


 

 明らかになにか隠しているルディ。

 だが……これはダメだ。


 教えてくれそうもない。

 



「う……キッタねえな」

「アンタ、確実に天国行けねえぞ」

 ブーブーと悪態(あくたい)をつくトラとフォックス。

 いや、悪態をつくぐらいしかできない。

 

 今度こそ。

 今度こそ、選択肢のない勧誘(かんゆう)



「まずはアモロを探すんだよな?」

 いちおう聞いてみるトラ。


 しかし―――


「ダメだ。まずは井氷鹿(イヒカ)だ。アモロは最後だ」

 きっぱり。

 きっぱり断る、したたかなルディ。


 ぐむぅ。

 唇をかむトラとフォックス。


 考える。

 考えこむ。

 フォックスの答えは―――


「チッ! 足もと見やがって……わかったよ。ほかに行くとこもねえしな」

 承諾(しょうだく)


「トラくんは?」

「ケッ、しゃーねーなーって思ってるよ」

 しぶしぶ、承諾。



「これですべて問題なしだな。神よ……感謝いたします」

 祭壇に向かって一礼するルディ。

 そして、そっとフォックスに右手を差し出した。


「ありがとう、2人とも。これからよろしくお願いするよ」

「まだ釈然(しゃくぜん)としねえけどよぉ……まあ、とりあえず世話になってやるぜ」


 フォックスと握手。

 もちろん彼女の右手を覆う、籠手との握手だ。()籠手(ごて)が、ガチャリと音を鳴らした。



 次に、トラと握手。


「よろしく、トラくん」

「あいよ。こちらこそなルディ」


 ルディの傷だらけの(てのひら)よ。

 いったい、どれほどの修羅場をくぐってきたのか。


 いや、それより聞かねばならないことがある。



「けどルディ。アイテム集めるんなら、()義肢(ぎし)のことはマズかったよな。軍艦に置きっぱなしだぜ、どうすんだ?」

 首をひねるトラ。


「ああ、水な義肢ね……それは…………うん。たぶん海軍か、海上警察が持って行っちゃったんじゃないかな。たぶん」

 

 ルディの声が、すこし裏返ったように感じる。

 要領を得ない反応に、トラのほうが驚きの声をもらす。


「いや、たぶんてオイ。もしかしたら水な義肢のやつ、もうほかの誰かに憑りついてるかもしれねえぜ」

「まあ、その可能性もある」


「どうすんの?」

「そのときはそのときだ。新たに水な義肢に呪われた被害者を、また勧誘に行くさ」


「んな……」



 絶句するトラ。

 そんなズサンな計画でどうする……と言いそうになった。


 どうもこのルディの考えてることは、根っこの部分がよくわからない。壮大な話をしたかと思えば、いいかげんなことを言ったり。

 どうも(つか)みどころのない男だ。



 しかし、フォックスは気にする様子もない。何本目かわからないタバコをふかし、じろりとルディを見上げる。 


「トラよお、水な義肢のことなんかどうでもいいだろ。お前、なにアイテム集めに積極的になってんだよ。ほっときゃいいんだ」

 スパー。


「いや、積極的になってくれたまえ。ほっとかれては困る」

 たしなめるルディ。


「じゃあまず、アタシがいちばん気にしてること解決してくれよ。ニニコとシーカは、今どこにいんだ?」


「……さあ?」

 肩をすくめるルディ。



「さあ!? おい頼むぜ」

「と、言われてもね。何度も言うが、私には “ 探索(たんさく) ” が出来ないんだ」


「シーカと連絡方法は? ライナとか知らねえの?」

「ライナとはなにかね?」


「の……オッサン!」

「ライナって、なにかね?」


 たちまち言い争いになる。

 念のために補足(ほそく)しておくが、ライナとはコミュニケーションアプリ「LINA」のことだ。



「ハア……もういい。籠手よ籠手さん、ニニコとシーカはどこだ?」


 ため息をつき、フォックスは右手を持ち上げた。

 探索……

  

 ガシャン!



『あっち』

 ビシ……!

 ()籠手(ごて)が、南の方角を指さす。


『南南西の方角(ほうがく)、940キロ……』

 


「おいちょっと、940キロて。まさか国境超えてんじゃねえのか」

 顔色が(くも)るフォックス。



「待ちたまえ……ふむ、ふたりがいるのは、どうやらホテルの部屋だな。この広さはスイートルームか? 贅沢(ぜいたく)だな」


 フォックスの心配をよそに、ルディは軽く天井を見上げてつぶやいた。

 ホテル?

 スイートルーム?

 なんでそんなことがわかるのか?


 ……見ているのか?



「なんでそんなことが……もしかして、いま見てんの(・・・・)?」

「まあね。シーカ君もニニコ君も、部屋で食事してるようだな……んん? ちょっと待ってくれ」


 待ってくれ、とフォックスを制止したルディ。ごそごそと、ポケットから携帯電話を取り出した。なつかしい、ふたつ折りの携帯電話だ。


 いまどきこんなの使ってるとは……さすがにライナを知らないだけのことはある。



「待ってくれ。えー……0、7、4、2……4、2、0……1……」


 電話をかけ始めた。


 PLLLL、PLLLL、PLL。

 PL!

 つながったらしい。

 

「もしもし? 私だ、ルディだよ。シーカくんかね?」



「はあ!?」

「なん……」

 ガタッ!

 ガタッ!

 トラとフォックスが飛び上がる。

 

 シ、シーカ!?


 おどろく2人をほっといて、ルディは通話をつづける。そのうち携帯から、たどたどしい声が聞こえてきた。

 間違いなくシーカの声だ。



《そ、そ、そっちは? ど、どうなった?》

「ああ、こっちは問題ないよ。それより、なにか私に言うことはないのかね?」


《エ、エ、エビ、美味い》

「ちがう。高速道路から私を落としたことだ」


《ご、ご、ゴメン》

「よろしい。フォックスくんに代わるから待ってくれ。はい」


 はい。

 と、フォックスに電話を差し出すルディ。

 


「い? アタシ!?」

 とつぜん携帯を渡される。

 いや、そんな急に……おそるおそる、フォックスは受け取った。


「…………もしもし?」



《や、やあ、フォックス》



 受話器から聞こえたのは、のんきなシーカの声だ。あまりにもあっけらかん(・・・・・・)としすぎて調子が狂う。


 ……いやいや。

 なんでいきなり電話をかけられるのか? 


 どうやって電話番号を知ったわけ?

 



挿絵(By みてみん)





sbnb様から100話記念イラストをいただきました!

ありがとうございます!



挿絵(By みてみん)



いやあ、よくもここまで続いたもんです。

それからもうひとつ……



途中からなんですが、この男 ↓ の名前を変えました。

イラストは三村たま様からいただきました。




挿絵(By みてみん)



ロリレット君。

突然、シーカになってて驚かれた方もおられるようでスイマセン。

ちょいと思うことがあり、自主規制です。


今後もチャッカマン・オフロードをよろしくお願いいたします。

ご高覧、本当にありがとう!



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いま書いてるやつよ。

 ↓

チャッカマン




イタいぜ!



チャッカマン




マンガ版 チャッカマン・オフロード
 

 
i274608/

アニメーション制作:ちはや れいめい様



ぜひ、応援よろしくお願いします。


― 新着の感想 ―
[一言] ようやく100話目まで来ました! とーーっても気になるタイトル名でしたので、すっごく気になっていたのですが……(自主規制)だったのですね。 とにかく息もつかせぬストーリー展開で、先がどうなる…
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