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チャッカマン・オフロード  作者: 古川アモロ
第13章「身も蓋もないバイブルを焼き捨てる夜へ」
100/249

第100話 「アモロ」



挿絵(By みてみん)



 神父ルディの勧誘(かんゆう)

 物語は、全13種のアイテムを探すストーリーへ……行かない。



「悪いけど、断るね」

 断るフォックス。

 

「!? オーナー?」

 ずっこけるトラ。


 お構いなしにフォックスはふんぞり返って続けた。


「神父。助けてもらったことは(おん)に着るぜ。けどアタシ達は、アイテムを外すために旅をしてんだ。アイテムをそろえるなんざ冗談じゃねえ」

 椅子に腰かけたままルディを見すえる。

 いや見上げる。

 なんと怖い顔をするのか、この女は。


「あんたがレインショットを殺して、復讐を成し()げられたのは、アタシ達がいたからこそだ。たとえ偶然にせよな。これで帳尻(ちょうじり)が合ったと思わねえか?」

 メチャクチャ言い出した。



「ちょ……ええ!?」 

 困るトラ。

 


 フォックスを見すえるルディ。

 ガイコツの顔で見つめられると、本当に怖い。


「……詭弁(きべん)だと思わないかね? 私は、マリィくんの(かたき)()ってあげたつもりでもいるのだが」

 こっちもムチャクチャ言い出した。

 あろうことか、フォックスのとって最大の禁句であるマリィを持ち出す。


 どんどん表情がこわばるフォックス……


「つまりアタシの殺すべき宿敵を、かっさらったとも言えるわけだ。恩着せがましいんだよ」


「恩に着ると言ったじゃないか。あれは嘘かね?」

「はぁ? 言ってねぇけど」

 (にら)みあい。

 

「こんなことは言いたくないのだが、いまから警察に突き出すこともできるんだよ? これは脅迫(きょうはく)と受け取ってくれて構わない」

 脅すルディ。


「じゃあ、さっきの女どもを人質に取るまでだ。ニニコをシーカに(さら)われてんだ。ズルいとは言わせねえぜ?」

 脅すフォックス。



 一触即発―――



 その空気を破ったのは、いままで空気状態だったトラ。

「タイム」

 あわててフォックスに耳打ちをした。


「オーナー、ここは言うこと聞いときましょうよ。意地はっても、俺たちのが不利っすよ」

 ヒソヒソ。

「バカ! こいつらだって、そのテログループだかゲリラだかを殺してんだぜ? ましてレインショット殺害の現行犯じゃねえか。警察(サツ)にタレこまれて困んのは、向こうも一緒なんだよ!」

 ヒソヒソ。


交渉(こうしょう)するにしても、ケンカ(ごし)はやめてくださいよ」

 ヒソヒソ。

「お前が言うな! アタシたちの目的は “ アモロ ” を探すことだろーが。忘れたのか」

 ヒソヒソ。



「ぜんぶ聞こえているんだけどね!」


 聞こえていたらしい。

 ルディが声を荒げる。


 その直後―――


「ハハハハハハハハハ! なんだそうか。そういうことか! ははは!」

 笑いだした。

 ガイコツが、カクカクと上下する。

「ハハハハハハハ……」



挿絵(By みてみん)



 あっけに取られるトラとフォックス。

「な、何がおかしいんだよ!」


「ははは! す、すまない。君たちは “ アモロ ” を探しているのか。なんだ、それならそうと、早く言ってくれればいいのに……ハハハハハ!」

 

 ルディの言葉に、2人の表情が変わる。

 い、いまなんて!? 

  

「な……!?」

「し、知ってんのか!? アモロがなんなのか?」


「ハハハ。知っているもなにも、すべて解決だよ。もしかして知らなかったのかね? アモロとは鎧……いや、13のアイテムのひとつさ」



 明かされる真実―――アモロの正体は、アイテム!?


 マジ?



 飛び上がる2人。

「んにゃ!?」

「マ、マジ!?」


「ははは、本当だとも。ハハハ」

 ようやく笑いのおさまったルディが、さっきまでとはまるで違う、明るい口調(くちょう)で説明を始めた。


「ははは……いいかね?

 まず、トラくんの『足枷(あしかせ)』、

 フォックス君の『()籠手(ごて)』、

 シーカ君の『煙羅煙羅(えんらえんら)』、『()()』、

 ニニコ君の『()白闇(しろやみ)』、

 マリィ君の『()義肢(ぎし)』、

 私の『()(もり)』、『穢卑面(エヒメ)』、


 そして、


 『独楽(ドグラ)』、

 『井氷鹿(イヒカ)』、

 『アモロ』、


 ……以上の13個だ」



挿絵(By みてみん)


挿絵(By みてみん)



 ここにきて、アイテムの全容が明らかになった。



 お待たせしました。

 物語はついに佳境(かきょう)へ―――

 






   ちょっと待って。



「おお!! ま、マジかよ……ちょっと待って。()らん」

「すげえすげえ……ちょい待ち。えー、足枷、焼き籠手、朽ち灯……なにが以上だ! 2つも足んねえぞ!」

 

 指折り数えるトラ。 

 確かに、11個しか()げてない。

 あと2つは?


「残りは秘密だ」

 内緒(ないしょ)にするルディ。


「ブチ殺すぞ」

「ブチ殺すぞ」

 ハモる、トラとフォックス。

 

 ブチ殺すとか言われても、なお平然とルディは教えてくれない。


「11個そろったら教えよう。言っておくが、この()(もり)から聞いて、私はすべての呪いについて知っているのだ。あとは居場所だけ……さて、どうするかね?」

 

「う……キッタねーぞ、てめえ」

「アンタ、ぜってーに天国行けねえぞ」

 悪態(あくたい)をつく2人。

 いや、悪態をつくぐらいしかできない。

 

 こんどこそ、こんどこそ、ほかの選択肢のない勧誘(かんゆう)



「まずは “ アモロ ” を探すんだよな?」

 いちおう聞いてみるトラ。

 しかし―――


「ダメだ。まずは “ 井氷鹿(イヒカ) ” だ。アモロは最後だ」

 きっぱり。

 きっぱり断る、したたかなルディ。


 ぐむぅ。

 唇をかむトラとフォックス。考える。考えこむ。

 フォックスの答えは―――


「チッ! 足もと見やがって……わかったよ。ほかにどうしようもねえしな」

 承諾(しょうだく)


「トラくんは?」

「ケッ、しゃーねーなーって思ってるよ」

 しぶしぶ、承諾。



「これですべて問題なしだな……神よ、感謝いたします」

 神に感謝するルディ。

 そっとフォックスに右手を差し出す。

「ありがとう。2人とも、本当にありがとう」


 フォックスと握手。

 ()籠手(ごて)が、ガチャリと音を鳴らす。

「……ああ、よろしくな」


 次に、トラと握手。


「ついでによろしく。トラくん」

「あいよ。こちらこそな、神父……ついで?」


 ルディの、傷だらけの(てのひら)よ。どれほどの修羅場をくぐってきたのか―――いや、それより聞かねばならないことがある。



※ ※



「ところで聞きてえんだけどさあ。ニニコとシーカは、今どこにいんだ?」


「……さあ?」

 肩をすくめるルディ。


 トラの(ひたい)に血管が浮き出た。

「さあ!? ふざけんな!」


「と、言われてもね。何度も言うが、私には “ 探索(たんさく) ” が出来ないんだ」

「シーカの居場所は!? ケー番とか知らねえのかよ?」


「ケー番とはなにかね?」

「の……オッサン!!」


「??? ケー番って、なにかね?」


 たちまち言い争いになる。

 念のために補足(ほそく)しておくが、ケー番って携帯電話番号のことですよ?



 ハァとため息をつき、フォックスは右手を持ち上げた。


「ニニコとシーカはどこだ?」

 2人の会話を不毛(ふもう)と判断し、ほっといて探索する。



  『あっち』


   ビシ……

 

 ()籠手(ごて)が、どこか遠くを指さす。

 しかし、籠手の答えはとんでもないものだった。


『南南西の方角(ほうがく)、140キロ……ガネットプリンスホテル最上階……』

 

 

 顔色が(くも)るフォックス。

 イヤな予感がよぎる……


「おい、ホテルとか言ってるぞ」

「待ちたまえ……大丈夫だ。シーカ君も、別に変なことはしていない」


 フォックスの心配をよそに、ルディは軽く天井を見上げてつぶやいた。

 なんでそんなことが分かるのか?


 ……見ている、のか?


「なんでわかる……もしかして、いま見てるのか(・・・・・)?」

「ああ、まあね。心配いらないよ。シーカ君もニニコ君も、部屋で食事しているだけだ……んん? ちょっと待ってくれ」


 待ってくれ、とフォックスの言葉を制止したルディ。ごそごそと、ポケットから携帯電話を取り出した。


「待ってくれ。えー……0、7、4、2……4、2、0……1……」


 どこかへ電話をかけ始めた。

 なんで携帯電話を持っていて、ケー番の意味が分からないのか?

 ピッ、ピッ。

 PLLLL、PLLLL、PLL。

 PL!

 つながったらしい。

 

「もしもし私だ、ルディだよ。シーカくんかね?」



「はあ!?」

「なん……」

 ガタッ!

 ガタッ!

 立ち上がるトラとフォックス。

 

 シ、シーカだと?


 おどろく2人をほっといて通話は続く。

 受話器の向こうから、たどたどしい声が聞こえてきた。

 間違いなくシーカの声だ。



《そ、そ、そっちは? ど、どうなって、る?》

「ああ、こっちは問題ないよ。それより言うことはないのかね?」


《エ、エ、エビ、美味い》

「ちがう。高速道路から、私を落としたことだ」


《ご、ご、ゴメン》

「よろしい。フォックスくんに代わるから、待ってくれたまえ」



 わけのわからない会話のあと、フォックスに電話を差し出すルディ。

 

「い? アタシ!?」

 とつぜん携帯を手渡されて、驚くフォックス。

 おそるおそる受け取る。


「…………もしもし?」

《や、やあ》



 受話器から聞こえたのは、のんきなシーカの声。



挿絵(By みてみん)



sbnb様から100話記念イラストをいただきました!

ありがとうございます、戦友よ。



挿絵(By みてみん)



いやあ、よくもここまで続いたもんです。

それからもうひとつ……



途中からなんですが、この男↓ の名前を変えました。

イラストは三村たま様からいただいたものです。




挿絵(By みてみん)


ロリレット君。

突然、シーカになってて驚かれた方もおられるようでスイマセン。

ちょいと思うことがあり、自主規制です。


今後もチャッカマン・オフロードをよろしくお願いいたします。

ご高覧、本当にありがとう!



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いま書いてるやつよ。

 ↓

チャッカマン




イタいぜ!



チャッカマン




マンガ版 チャッカマン・オフロード
 

 
i274608/

アニメーション制作:ちはや れいめい様



ぜひ、応援よろしくお願いします。


― 新着の感想 ―
[一言] ようやく100話目まで来ました! とーーっても気になるタイトル名でしたので、すっごく気になっていたのですが……(自主規制)だったのですね。 とにかく息もつかせぬストーリー展開で、先がどうなる…
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