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【書籍化】捨てられ才女はどうやら繁栄の切り札だったようです~新生活を謳歌していたら、記憶チートで追放先が大発展していました~  作者: りょうと かえ
第5章 予見

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29.順調に

 私の領地経営は順調に進んで、夏も過ぎていった。

 熱い風の日が少しずつ減っていっている。

 エベラルド領との交易も軌道に乗り、資金を再投資して整備に回す流れもできてきた。

 公国や帝国の工事業者も徐々に増え、サイクルの回転が速くなる。

 屋敷から本を読んでいると、道を広げる工事業者が見える。

 鉱山と精錬施設だけではなくてヴォルデの主要な道全般を整備しているのだ。

 今、私はルーインを伴ってヴォルデ南部への調査に向かっている。

 馬車の旅は道の整備により、快適になっていた。やはり揺れないのは良い。

「道と馬車に投資するだけで大きく違いますね」

「道は全ての基本よ」

「皇臣問答から格言ですね。いつも読んでおります」

「ふふっ、ルーインは勉強熱心ね」

 前々から思っていたが、ルーインの事務処理能力は極めて高い。

 段取りを構築するのと細かいところを取りまとめる能力に長けているのだ。

 今のヴォルデという地で、ルーインは劇的に成長しているように思えた。

(しかもこの場所が良かったかもね。誰もルーインのことを知らないし)

 王都では出自も含めてルーインのことを皆が知ってしまっていた。

 だから私の側仕えでもルーインは王族の待遇だ。ルーインが望んでいなくても、である。

 彼はディルダに疑われることを避けるため、私的な交際や社交界への参加を極力慎んでいる。

 ルーインが王族らしく振る舞うのは王族全員が参加する式典などの時だけ。

 だが、このヴォルデでは誰もルーインのことを知らない。

 私の側近だと思われているだけなので、ルーインもそのように仕事ができる。

 心なしかルーインの顔色も良くなり、威厳が出てきたような……。

「ディルダよりも良い王様になりそうね」

「……コーデリア様、それは」

「わかっているわ。ふたりきりだからよ」

 ルーインが心の奥底で何を考えているか、実のところはわからない。

 彼は自分には不要だと思ったことを押し込めることができるから。

 言葉が途切れ、私は本題に戻る。

「南の鉱業はどうかしら?」

「ミスリルは低純度で、高収益は難しいかなと。ですが赤魔鉱が産出されました」

 赤魔鉱は炎の魔力を秘めた鉱石だ。しかし含まれる魔力が少なくて利益にはなりづらい。

 公国でも生産されるものの、主要品目ではなかった。

「でも最近は赤魔鉱も注目されているみたいよ」

「どのようなところでしょうか?」

「石炭と一緒に加熱すると、燃料効率が良くなるかもなんですって」

「そ、それは凄いことでは!?」

「レオールから借りた新しい本にすこーし書いてあったわ」

 ほんの数行だけど、各国で実験がスタートしているとか。

 まぁ、公国はやっていないんだけど。

なぜなら石炭を主に使うのは鉄道で、その鉄道後進国だからだ。

「レオール様がご興味を持つかもですね」

「ええ、そうね。次の手紙に書いて、どう反応するか見てみましょう」

 最近は相当なペースでレオールへ手紙を書いていた。内容は簡素で報告事項とたまに雑談。

 ほぼ仕事の話ともいう。

 驚くのはレオールもきちんと返事を返してくれることだった。

内容は私と同じでほぼ仕事のことだけれど。

 でも彼の文字は丁寧で、品格がある。

 今、エベラルド領の夏は湖の魚が美味しいらしく、手紙とセットで塩漬けされた魚が送られてきていた。

(ディルダよりもよほどマメね)

 あの夫は気分屋で、このようなことをしなかった。それに比べると――そこまで考えて、馬車が南の鉱山のひとつに到着する。

 そこではすでに数十人が採掘に従事して活気を呈していた。

 木箱に入った鉱石を色々と見ている様子。

 私たちも馬車から降りて向かう。赤髪の人がちらほらと働いていた。

「ここの鉱山では南部の人もいるようね」

「本当ですね。出稼ぎでしょうか」

 ラッセリア公国の南部には赤みがかった髪の人間が多い。

 旧来からヴォルデに住んでいる人とは違うので、すぐにわかる。

 現場責任者のお爺さんに話を聞くと、最近南部からの労働者が増えているのだという。

「受け入れはマ、マズかったですかね?」

「いいえ、問題ないわ。皆、公国の子ですもの。あなたたちも慣れているようね」

「うちらはまぁ、鉱山が盛んだった頃は色んな人が来たもんで。慣れておると言えば慣れております。昔は他国からもよう来たものです」

 たまに高価な鉱石が出たと噂が回れば、人がどこからともなく集まってきたのだとか。

 昔はおおらかだなと思いつつ、採掘事業にはこのようなところがある。

「問題がないのなら任せるわ。何かあったらいつでも相談に乗ります」

「ありがてぇことにございます。コーデリア様のご期待に応えるよう頑張りますんで」

 そして鉱山の周辺を視察していると……おっと、先日のアレコレで顔を合わせた商人もいた。

「これはコーデリア様……!」

「面白い鉱石でもあった?」

「ええ、鉄の含有量がそこそこ多いようでございます。多くの利益はなくても、手堅いかと」

 私は多くの人の顔を見てきた。彼の顔には畏れはあるけれど、嘘はないようだ。

「赤魔鉱でもその話をしていたの。小さな利益でも集まれば相応の量になるんじゃないかって」

「仰せの通りかと。特に帝国は多量の品々を必要としています。しばらくは商いになると思われます」

「そうね。頑張りましょう」

 私の言葉に商人がほっとした様子を見せる。

「西のほうから困ったことがあったら、また報告してね」

「もちろんでございます……!」

【お願い】

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