表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
捨てられ才女はどうやら繁栄の切り札だったようです~新生活を謳歌していたら、記憶チートで追放先が大発展していました~  作者: りょうと かえ
第3章 領地の可能性

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
11/39

11.爪の使い道

 戻ってからの夜は気持ち良く寝られた。現金なもので不安が軽減されたからだ。

 翌朝、まずイエティの素材を確認して……その後、諸々の資料を確認した。

 その間に王都へもいくつか手紙を送る。内容は懇意にしている貴族や官僚に向けたもの。マイナスなことは書かず、相手を気遣うだけにしよう。

 まだ色々と動くには早すぎる。

今はおとなしく情勢を見守って私は私にできることをやるしかない。

 数日後、レオールから交易の推進について補助員がやってきた。主に山に関する専門家だ。

(本当にありがたいわ……)

 それから私は改めてヴォルデの住民代表たちと会合を持った。

 いずれにしてもヴォルデの民と協力しなければ、この地方に生息する魔獣の管理も進まない。

 住民代表は体格のいいおじさんで、名前をトルドと言った。

 茶色の髭に丸太のような腕の持ち主だ。

 小さな眼鏡の下からカンペ丸読みで挨拶される。

「えー、栄光ある殿下のご尊顔におかれましては、夏の草木よりも――」

「……ごめんなさい、もっと砕けていいわ。呼び方も『コーデリア様』くらいで結構よ」

 トルドと他の代表が目をぱちくりさせる。

「そーいうわけにも……」

「んだんだ。南では代官様への言葉遣いひとつでえらい目になると聞きましたぞ」

 その話は初耳だ。私の隣のルーインも驚いている。

 いや……でも南、ラッセリア公国の南部か。この前の話を総合すると、ディルダは公国南部と西部で好き勝手やっている。

 ディルダの威光を盾に現地の住民に威張っていてもおかしくはない。

「私は大丈夫よ。気にしないわ」

「はぁ……ではそのように……」

 怪訝な目で見られているが、硬さは少し取れた。

 こういうところから交流を始めなければならない。

 で、まず問題なのはヴォルデをどうするか……住民自体にも活気が見受けられない。それは長い間、半ば流刑地のような扱いであったからだ。

 住民自身がやる気を出さなくては魔獣についてもどうにもできない。

 今こそ私の知識を活かしてヴォルデの住民を奮い立たせなければ。

 そのための情報を手を抱えて私はこの会談に臨んでいた。

「このヴォルデはかつて鉱山として有名な町でしたね?」

「まぁ、そりゃあ……。でもそれも何十年も前に衰えましたからなぁ」

 トルドが懐かしそうに目を細める。

 かつてヴォルデはラッセリアでも有数の鉱山地帯だった。魔獣へ有効な金属であるミスリルが産出されていたし。

 だが徐々に採掘量が減り、採算が取れなくなってきて……私が生まれた頃の二十年ほど前に全鉱山が閉鎖されてしまった。

 こうしてヴォルデからは誇りとなる産業が失われてしまった。

「さしあたり、ヴォルデ山脈の鉱山へ案内してもらえるかしら?」

「我々は構いませんが……」

 トルドや住民の反応にはもう諦めの色があった。

 今までも恐らく、このようなやり取りはあったのだろう。

 中央からよくわからない人が来てはちょっと試し、成果が出ずに引き上げる。そのようなことの繰り返しだったに違いない。

 ルーインを伴い、私たちは屋敷からヴォルデの北へと向かう。

 ヴォルデ地方は雪冠の覆う山脈が取り囲む盆地だ。鉱山は山脈沿いに点在する。

 イエティの爪や角、あとはツルハシなどの掘削道具も馬車に積み込み、何台もの馬車の列で北へと向かう。

 移動中、ルーインがこそっと聞いてきた。

「ヴォルデ北部の鉱山は早くに枯れたところですよね?」

「ええ、そうね。本によると鉱山は北から順々に枯れていったとあるわ」

 私は馬車に持ち込んだヴォルデ関連の本にぽんと手を置いた。

「でもそれからは……百年くらい放置されているわ。ただ、地道にやるしかないかも。イエティの素材が手に入って、できることも増えたしね」

 北に近付くと山の冷気を感じる。夏なのに体感的には晩秋くらいの気温だ。

 閉鎖された鉱山の前で馬車から降りる。トルドたちの前で私はイエティの爪を取り出した。

 爪からはまだ氷の魔力が流れ出ている。

私に魔術の才はないけれど、普通の人でも魔力は感じ取れる。このイエティの爪の魔力は私にもわかるレベルだ。

 イエティの爪を見て、トルドがはっと目を開いていた。

「それは……まさかイエティの骨か爪ですか?」

「イエティの爪よ。これでミスリルを探せるんじゃないかしら」

 同行していた帝国の専門家たちも頷いていた。イエティは帝国にはいないが、魔獣の素材を活用する術は身につけている。

 それに私も――帝国に留学していたし。ルーインや専門家に指示を出し、イエティの爪を砕いていく。

 青色の爪が粉になり、風が吹くと魔力を帯びた冷気が漂う。

「イエティで鉱脈を探すなんて、何十年振りかのぅ……」

 住民代表の中で最年長のおじいさんが杖をつきながら唸った。トルドがおじいさんに頷く。

「昔はよくやってたとか……本当に見つかるんですかい?」

「イエティは強力な魔獣じゃが、倒した恩恵も大きい。ヴォルデの鉱山も元はといえば魔獣を倒し、その素材を活用して見つけ出したものじゃからの」

 レオールがあっさり倒したのだが、実はその通りでイエティはかなり強めの魔獣だ。

 遠距離から仕留めるのが上策で、素材の回収も優先しない。

「コーデリア様はお若いのに、よくよく物事を存じておられるの」

「うぅむ、公国の才女という触れ込みは本当でございましたか」

 聞こえてる聞こえてる。

 恥ずかしいけれど……反発されるよりは受け入れてくれたほうがいいか。

【お願い】

お読みいただき、ありがとうございます!!


「面白かった!」「続きが気になる!」と思ってくれた方は、

『ブックマーク』やポイントの☆☆☆☆☆を★★★★★に変えて応援していただければ、とても嬉しく思います!


皆様のブックマークと評価はモチベーションと今後の更新の励みになります!!!

何卒、よろしくお願いいたします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ