長男もイケメン
「空き地ならこの家の周りや他にもいっぱいあるから好きに使っていいけど、砂糖の実は南に行かないと手に入らないわよ?」
「ああ、それなら明日ちょっと行ってこようかなと思ってまして。」
アンジェリカさんがぽかんとしてる。
「レン、すっごく遠いのよ?ああ、魔法で行くのね!いいわね~、私も一緒に行きたいわ!ちょっとジェグラシムに相談しましょ!レンも来て!」
いや、水丸と一緒に飛んで行こうと思ってたのに。アンジェリカさんに館の執務室に連行された。そこには領主さんともう一人男性がいた。
「アンジェリカ?どうした?何か問題でもあったのか?!レン、大丈夫か?!」
「あなた、落ち着いてください。何も有るわけないじゃないですか。そうじゃなくて、実はね…」
私と一緒にオワイアント領に行きたいと領主さんに伝えるアンジェリカさん。これにはさすがに領主さんも眉間にシワを寄せた。隣の男性も困惑顔だ。
「アンジェリカ、100万歩譲ってレンだけなら許可できるが、お前は無理だ。危険すぎる。道中、盗賊や魔物に襲われたらどうするんだ。お前に何かあったら私は…」
「そうですよ母上。母上に何かあったら父上のショックは計り知れないです。おやめください。」
おお。領主さんの息子さんなのか。って事は私のお兄さん?ジェロームさんといい、この男性といい、すごいイケメンだ。私が男性を見つめていると、目が合った。男性は微笑みを浮かべる。
「はじめまして、レン。私はアルフィリオ。この家の長男です。今、養女の手続きに必要な書類を揃えたところです。後でサインをお願いします。いや、こんなに素敵な妹が出来て嬉しいです。これからよろしく、レン。 」
素敵な妹とか、お世辞でも照れる。
「い、いえ、こちらこそ突然すいません。よろしくお願いします。」
アンジェリカさんが不満げに言う。
「書類の話は後にしてちょうだい。私はレンと行きたいと言っているの!レンの魔力はすごいのでしょう?危険なんてあるわけ無いじゃない。私だってたまには自由に旅行してみたいわ。大切にされているのは解るけど息が詰まりそうよ。」
そうか。私はアンジェリカさんの気持ちが少しわかった。でも家族の気持ちも理解できる。
アンジェリカさんを連れて安全に、か。うーん。あっ!
「領主さん、私、絶対安全なテントを持ってます。あれを上手く使えばアンジェリカさんも安全に旅行できるかもです。実際に出してみてもいいですか?あの辺りなら置けると思います。」
ジェグラシムはあんなスペースに置けるようなテントをアンジェリカに使う気か?と思ったが、レンが言うのならと思い頷いた。レンが出したテントはごく普通の一人用テントに見える。
「レン、いくらなんでもこれをアンジェリカに使えと言うのはちょっと…」
「まあ、領主さんも中に入ってみて下さい。皆さん入れるようにしたので。」
アンジェリカさんは目を輝かせウキウキで真っ先にテントに入った。
「まあ!すごいわ!あなた、ちょっと来て!」
アンジェリカさんの声に驚いた二人もテントに入る。私も最後に入ると男性二人は呆然としていた。
「このテントはこちらに転移された際に神様的な方がくれた物です。あらゆる攻撃や自然災害にも耐えられます。私が許可した人しか入れませんが。中に必要な物があれば用意できますし、トイレとお風呂も付いてます。これを利用すればアンジェリカさんの希望が叶えられるかもと思ったんですが…」
アンジェリカさんはトイレやお風呂のドアを覗いて興奮中だ。領主さんはなんかプルプル震えてる。
「レン、決めたぞ!私もオワイアントに一緒に行く!このテントを私の馬車に設置すれば向こうでも行動しやすいぞ。アルフィリオ、留守は任せた!」
アルフィリオさんは、留守は任せたじゃねーよ、という顔で領主さんを見つめていた。




