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ヒューゴさん


「じゃあ、あなた。私はレンを離れに案内してくるから後はよろしくね。」

慌てる領主さん。

「いや、アンジェリカ。これから異世界の道具や魔石の研究について話があってだな。あいつも呼んだしもうすぐ来るはずなんだが…」

「あら、異世界の道具ならレンがそこに出したのでしょう?なら研究の話に今レンはいらないじゃない。今後の事はあなた方でゆっくり話し合ってくださいな。じゃあ行きましょう、レン。」

私はアンジェリカさんに手を引っ張られて部屋を出た。館から少し離れた場所の立派な二階建ての一軒家に案内される。

「レンにはここを使って貰おうと思っているの。中に案内するわね。」

トイレ、キッチン、お風呂どれも高価そうな石が使われている。大理石のような石の床。素敵なダイニングテーブル。気楽に生活するには全てが立派すぎる。

二階は部屋が4つあり、全ての部屋に立派なベッドがあった。

「本当にここに住んで良いのですか?正直立派過ぎて少し気後れしてしまいます。」

「あら、レンはもう私の娘なんだからこれくらいは当たり前よ。異世界風の方が良いなら好きに改装してもらっても大丈夫だし。この家には立ち入らないよう使用人には伝えるから安心していいわ。」

良かった。私は少しほっとした。

「本当に良くして頂きありがとうございます。あの、あちらでお茶でもいかがですか?朝から怒涛の展開すぎて私も少し休憩したいです。」

アンジェリカさんが微笑む。

「レン、もう親子なんだからそんなに堅苦しくしなくていいのよ。でも、お茶はいただこうかしら!ジェグラシムから聞いたプリンを私も食べてみたいわ!」

《水丸ももう一個!》


アンジェリカさんさんはプリンにとても感動したようだ。プリンは比較的簡単に作れるお菓子のイメージだがこの世界には無いのかな?(私は作った事はないが)アンジェリカさんに聞くと

「うーん、甘いお菓子といえば焼き菓子くらいかしら。こんな冷たいお菓子は食べた事がないわね。砂糖も冷蔵庫も安価な物ではないしお菓子を気軽に食べる文化は無いわ。フルーツはわりと食べるのだけど。」

「そもそも何故砂糖が高価なんですか?」

「砂糖の実はここから遠くにある南国の暑い国でしか栽培できないのよ。寒さにとても弱い植物なのですって。だから輸入にお金がとてもかかるの。」

そうなのか。ってか、砂糖の実?一度見てみたいな。


プリンに満足したアンジェリカさんと一緒に応接室に戻った。やっぱり研究者の人の話も聞いたほうが良いと思って。ドアを開けるとスキンヘッドのおじさんが興奮して冷蔵庫をいじくり回しているのをどん引きした様子の三人が見守っている。アンジェリカさんが私の耳元でそっと

「やっぱり離れに戻らない?」

とささやき部屋を出て行ってしまった。でも私は領主さんに見つかった。

「レン。戻ってきてくれたか。ちょっとあいつが興奮して大変でな…。おい、ヒューゴ、いい加減にちょっと落ち着け!この娘がレンだ。お前さっき会いたいって言ってただろ!」

ヒューゴさんがこちらをちらっと見た。そして走り寄ってくる。

「レン、他の道具もみたいんだがだせるか?もちろん魔石を使う道具だ。」

「ヒューゴ!挨拶くらいしたらどうなんだ。私の娘だぞ!」

ヒューゴさんは領主さんを睨みつけ

「挨拶なんかどうだっていい。研究用の道具がもっと必要なんだ!」

おお。これは確かに変人かも。私はとりあえずコード式掃除機、炊飯器、トースターを出してみた。

「おおお!なんだこれは!どのように使うのか教えてくれ!ほら、魔石もあるぞ!」

あ、炊飯器の説明どうしよう。こっちにもお米ってあるのかな。まあ、とりあえず魔法でだすか。

私は無洗米とペットボトルの水、計量カップも出した。

「まず、こちらは炊飯器です。こちらのお米を炊くのに使います。この世界にお米があるのかは知りませんがとりあえず炊いてみます。」

私はとりあえず三合でセットした。

「時間が少しかかるのでつぎは掃除機の説明をしますね。」

お米を見たジェロームさんが、

「レン、コメはこちらの世界にもありますよ。この国ではあまり食べな…」

「コメの話はいい。掃除機の話を聞く。」

ヒューゴさんがジェロームさんがの話をぶった切った。

「これは主に床の掃除をする道具です。スイッチを入れるとホコリや砂を吸い取ってくれます。」

ヒューゴさんが床に這いつくばって吸い込み部分を見てる。

「この部分を外すと狭い隙間も掃除できます。」

「レンちょと貸してくれ!」

あ、気をつけないと、という間も無くヒューゴさんは自分の口を掃除機に吸われていた。私は慌ててスイッチを切った。

「…紫の魔石だけなのにすごい力だ。で、レンこれはなんだ?」

何事もなかったかのようにトースターを指差すヒューゴさん。背中を向けたハロルドさんの肩が震えている。

「…これはトースターです。実際に使ってみましょう。」

私は食パンを出して実際に焼いてみた。チン、と音が鳴る。

「はい、これで出来上がりです。パン以外にも色々こんがりと焼くことができます。」

パンは無言でヒューゴさんが食べてしまった。熱くないのかな。

そして突然泣き出してしまった。

やっぱ熱かったのか?

「私は、私はようやく自分にふさわしい研究対象と出会う事ができた。ありがとう、本当にありがとうレン。」

私は大人の男性が泣く姿に戸惑って思わず領主さんを見た。領主さんはにっこり笑って私の頭を優しくポンポンしてくれた。


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