謎仕事の男の正体
涙を手で拭ってからハロルドさんは
「ところで、緑大蛇は強い攻撃魔法が使えるんだが、大丈夫だったか?まあ、大丈夫だから狩れたんだろうが…」
私は姿を消して空から風の鎌で首を刈ったと伝えた。
「そうか。緑大蛇が気の毒になってきたな。レン、今回は無事だったが魔物には気配に敏感な奴とか魔力や力が強い奴も沢山いる。人にもな。防御も常に考えろ。」
そうか、ちょっと浮かれて失念してた。自分ができる事は相手もできるかもと考えなければ。その後ハロルドさんと〈防御について私ができそうな事〉というテーマで話し合った。大変参考になりました。
そろそろ時間になったのでハロルドさんと別れ倉庫に向かった。
「おう、できたぞ。」
緑大蛇の素材と肉で31万5千ガル。皮は一匹分80万ガル。ちなみに火の魔石が出たそうだ。魔石は今必要ないから割とどうでもいい。合計111万5千ガル。私は大きな金コイン1枚、小さな金コイン1枚、大きな銀コイン1枚、小さな銀コイン5枚と緑大蛇の皮二匹分を受け取った。まさかこんな大金になるとは。物凄くドキドキしながらリュックに仕舞った。
「またよろしくな。処理は優先するぜ。」
「はい、またよろしくお願いします。」
ギルドを出た。どうしよう、こんな大金持った事がない。とりあえず宿代は大丈夫だな。ってか部屋とか借りられるんじゃない?アパート的な?いや、急ぐとろくな事がない。今日も宿に泊まって落ち着いて考えよう。
頭の中でぐるぐる考えながらジェローム商店に向かった。
「いらっしゃいませ。」
今日も素敵な笑顔で男性が迎えてくれた。カウンターに行き
「買取を頼みたいのですが…」
と声をかける。
「買取は奥です。ご案内します。」
木のテーブルと椅子がある部屋に案内された。しばらく待つと
「お待たせいたしました。」
笑顔素敵男が登場した。なんとこの人が店主のジェロームさんだった。謎仕事の男とか思っててすいません。
「品物を見せていただけますか?」
微笑みを浮かべたジェロームさんに促された。私は慌てて緑大蛇の皮一匹分と砂糖1瓶をリュックから出しテーブルに置いた。
「おお!これは素晴らしい!こんなに傷の無い美しい皮は初めて見ました。緑の発色もきれいに出ている。それに、これは砂糖ですね。ちょっと失礼…。」
ジェロームさんは小皿に砂糖を少し出して味見をした。
「品質も良いです。この砂糖はどのようにして入手されたのですか?」
「ちょっとしたコネがあって…」
「という事は今後も入手できる可能性があるのですね?また入手されたら是非当店にお持ち下さい!お願いします!それと緑大蛇はご自身で倒されたのですか?」
「はい、一応冒険者をしてますので…」
「まだお若いのに随分強いのですね。今後黒鰐なども入手されましたらお声かけいただけると嬉しいです。緑大蛇の皮は150万ガル、砂糖は3万ガルでいかがでしょうか?」
高!私がびっくりした顔をすると
「多少色を付けさせていただいてます。今後も良いお付き合いができれば幸いです。それでは手続きをしてきます。暫くお待ち下さい。」
ぼーっとジェロームさんを見送った。イケメンから良いお付き合いを望まれるなぞ人生初だ。いや私、勘違いすんな。これは商売の話だぞ。
ジェロームさんが戻りお金を受け取った。それをリュックにしまいつつ私は何となくジェロームさんに尋ねた。
「そういえばジェロームさん、良い不動産屋さんをご存知ないですか?そのうち部屋を借りたいと考えてまして…。」
「それでしたら私もいくつか物件を所有しております。宜しければご案内しましょうか?私は今すぐでも大丈夫ですよ。」
商売熱心だな、この人。改めて謎仕事の男と思っていた事を心の中で謝罪した。断る理由は特に無いのでジェロームさんの提案に乗ることにした。




