家ゲット
ミーヤの街をジェロームさんと歩く。何となく視線を感じるのは気のせいなのだろうか。一軒目は街の中心から外れた住宅街にある一軒家だった。どう見ても富裕層が住んでいるだろうという外観だ。手入れの行き届いた庭がザ・お金持ちという雰囲気を醸し出している。外から見ただけで私は
「これは無いわ~。」
と呟いた。こんな管理が大変そうな家は無理。
「レンさんくらい将来有望ならと思ったのですが。それでは二件目にご案内致します。」
ジェロームさんはあっさりと二件目の物件に向かいだした。二人並んで街を歩く。やはり視線を感じる。途中すれ違った女性にめっちゃ睨まれた。ジェローム大人気だな。
二件目はギルドから近い場所にあるとても歴史のある、というか、古い平屋だった。玄関手前に狭いスペースがある。テントがギリギリ置けそうな感じだ。中はトイレ、シャワー室の奥に小さなキッチンのあるスペース、その奥に8畳くらいのフローリングの部屋があった。
「立地は良いのですが見た通りとても古いです。その分家賃はこの場所にしては安めの月15万ガルとなってます。」
「中の改装とか自分でしても大丈夫ですか?」
「中も外も好きにして頂いて大丈夫です。なにせ取り壊し寸前ですから。」
自分の好きにして良いのか。失敗してもテントがあるし。街中にある自分専用の家は魅力的だ。
「気に入りました。ここにします。」
一度ジェローム商店に戻り賃貸契約をした。半年分90万ガルを支払った。
「ジェロームさん、ありがとうございました。」
「いえいえ、こちらこそ。また何かありましたらご相談下さい。」
ジェローム商店を出て家に帰った。人生初の自分の家だ。今日はこれから家の改装を頑張ろう!
まずボロい石造りの平屋を同じような石でできた二階建ての箱のような家にした。イメージが簡単だったので。玄関のドアはごく普通の木製。玄関前スペースは全部石畳にしといた。草むしり面倒くさい。
家の一階。玄関は白い大理石をイメージ。トイレは日本の家のと同じ物をイメージして出した。タンクの上部に見た事がないスペースがある。魔石を入れないと駄目らしい。手持ちの魔石をセットした。シャワー室、キッチンは無くし、とりあえず物置きにする。奥に広めの湯船があるお風呂を作った。蛇口からは水とお湯が出る。シャワーと湯船用で魔石が二個必要だった。
二階はとりあえず半分畳、半分フローリングにしといた。疲れてきたので細かい事は後にしよう。私は畳の上にごろんと寝転がった。
ジェロームは困惑していた。
あの少女は(お買い得)だと俺は思った。どうにかして目の届く範囲に置きこちらの要望を聞いて貰えるように誘導したい。そんな事を考えていると少女から家を探していると相談をうけた。これは好都合だ。最初は無理目の家を案内し、次にひどい家を案内する。それから、とっておきと言い、うちの離れを紹介しよう。きっと気に入るはずだ。何やかんやと色々世話を焼いた上でこちらの要望をそれとなく伝えれば上手く動いてくれるだろう。しかし目論見は外れた。まさかあのボロ小屋を気に入るとは。一応常識的な家賃で提案したが、若い女性が気に入るとは思いもしなかった。
そんなジェロームの思惑を微塵も感じる事もなく私は屋上バーベキューをしよう!と準備を始めた。




