天上の大天使
「おえ」
道化が喉にお餅を詰まらせたみたい。どうしたのかな?
大天使山本が、フカヒレのスープを食べているときは、下界(ぼくやきみや、彼らが住んでいるあの、ヘドロまみれのあそこのことさ)では雨が降る。酸性の雨なので、浴びると皮膚が溶けてモードな仕上がりになるよ。注意してね。
「おい、道化!」山本が急に道化を呼びました。道化は床下の貯蔵室で腐ってライトグリーンになったお餅を頬張っていたところだったので、主人の声にひどく驚きました。腐り餅はこれを好機と見て道化の喉を塞ぎました。道化はよろけながら、紫色の顔をして登場しました。
「げほ、げほ、、、私は、、、」
道化は鬱陶しい餅を嚥下しました。人間一人が本気になれば、餅を飲み下すことなんて、簡単なことですからね。
「失礼、私が道化でございます。ぜひこき下ろしてくださいまし。それこそが私のたったひとつの幸福。ですが、お忘れなく。あなたが私をこき下ろす時、あなたは私以上に、私にこき下ろされているということを、汚いジジイがアスファルトに吐き出した痰を、愛しそうにすすりあげているような状態だということを」
「私は、大天使山本だ」
「ええ、そのようですね」
「すべてが許される」
「そのようですね、そして私はいつだって罰を受けている」
「憐れだな。人生はよっぽだ美しいものに満ちているというのに、、、」
「おお、まさしく、あなたは強者だ。そんなあなたには、この歌を捧げます
むすぶ手の 雫に濁る 山の井の 飽かでも人に 別れぬるかな
」
☆あなたが幸福そうな微笑みをたたえながら、至福のときとでも言うようにこの文章を読んでいるのは百も承知です。そんなあなたにメッセージ。あなたが生きている時代から、数百万年前に、紀貫之と言う人がいたんです。彼はろくなもんじゃなかったが、耳だけは異常に良かった。で、天上で歌を詠む道化の声が聞こえたんだな。
彼はそれを神の声だと思って、疑わなかったらしいよ。無知っていうのは恐ろしいね。




