鬱陶しい前書き
小説っていう形式の優れているポイントは、大嫌いなあいつや、気になるあの子を、気兼ねなくぶっ殺したり、やりたい放題に強姦できたりできるところだ。でも、ほかに優れているポイントは一つもない。だからもし、良識的で日常的な内容を扱う小説を見つけたら、早いところ警察に通報して燃やしてもらったほうがいい。だって、その小説には良いところがひとつもないんだから。
こんなふうにして始まる文芸批評の本を僕は知らない。だってそんな風に書いたら、地球上のほぼ全ての小説は、お尻を拭くパルプ紙にも劣る紙くずってことになってしまうからね。そしたら、文芸批評家の人たちが批評するための本、つまり大事な食い扶持もなくなってしまう。彼らだって人間なんだ。お金が欲しいんだよ。だけどね、僕はたとえ人間でなくなってしまったとしても、くだらない小説を糾弾するような性格の人であって欲しいと思っているんだ。
これから始まるのは最も啓蒙的で美しい小説だ。親切な批評家たちが教えてくれたことをことごとく無視して、僕の脳みその屋根裏部屋でいじけている、怨念そのものみたいな批評家の声だけを聞いて、僕はこの小説を書くことにする。
あと、こんな小説を読もうとしてくれている人がいるとすれば、その人を安心させるために、ある一句を紹介したい。
最後の一文字まで、構想は出来上がっています。




