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探索

いつの間にか眠ってしまった後、瞼越しにまぶしい光が差し込んでくる。


「ん・・・朝か、眠ってたんだな」


目覚めて意識が戻ってきたころ、頬のあたりが妙にこそばゆい。

顔を掻いたら手に蟻がくっついていた。


「うわぁ!?」


よく見ると服や腕にも蟻は張り付いていた。


あわてて体についた蟻を落としていく。

落としている際にもう一つ体の異変に気が付く。


「かゆっ! 蚊にも食われてやがる、最悪だ!」

「シャツのまま寝るんじゃなかった!」


肌がむき出しの腕や肩、首筋、顔など様々なところがかゆい、ただ上着を着ようとしても暑くて着ることができない。


「ちくしょう、何だってんだ!?」


やり場のない怒りがこみあげて大地を強く踏みつけた。


「そうだ、テントは!?」


暗くて確認できなかったが、テントがあればまだ希望が持てる。

そう思って周りを見渡したが、テントはどこにもなかった。


「だよなぁ・・・」


財布やスマホ、椅子などが無い時点でそんな予感はしていた。

あったら嬉しかったが、ない予感はしていたので前ほどは落ち込まなかった。


「水を探さなきゃな・・・」


ここが地球でないのなら自転や公転の向きも不明、太陽の位置も東とは判断できない。

ただ、太陽が昇り始めている。

昼になればさらに高度が上がり、気温も上がる可能性が高い。


異世界転移直後よりは落ち着いてきたので、だいぶ思考がまとまるようになってきた。


「昨日の夜に決めたように水を探すために動くか」


蚊に食われた個所をポリポリ掻きつつ行動を起こす。


「はぁはぁ・・・、まだ見つからないのかよ・・・」


初めはキャンプ雑誌で得た遭難対策の知識で、周りの地形確認をした。

水は基本的に低い所へ流れるので谷や沢、斜面の下などを探す。

動物の足跡や鳥や動物の集まっていそうな場所を探す。

暑くて着られなかった服は、スタート地点に目印として置いてきた。


探索時、水場を見つけてもそこから戻れなくなるのが一番まずいから、帰れるように分岐点やに木に印をつけていく。

自分の持っている知識が、緊急時に役立つことがほんのちょっとだけ嬉しかった。


そう思って水を探したがまだ見つかってなかった。

斜面を見つけて下りながら歩いていく、時計がないので正確な時間はわからないが2時間くらいは歩いただろうか。

太陽の位置は朝より上になっている、地球と同じならもう少しで昼間になってさらに気温は上がる。

流れる汗で水分がなくなってきている、口も渇きを覚え始めてきた。


「御殿場の時にもっと水分取っておけばよかったよ・・・」


予測できないトラブルの対策なんてとれるわけがないが、後悔や愚痴がぶつぶつ出てくる。

しばらく歩いていくと湿った土を見つけた。


「この辺は苔やシダ類もある、水場が近いぞ!」


目を閉じて耳を澄ます、水源が近くにあるなら水の音がする可能性が高い。

集中して周りの音を注意深く拾っていくと、チョロチョロと音が聞こえてくるのが分かった。


「あっちだ!」


音が聞こえるほうへ向かう、のどが渇いているのか速足で向かった。

草むらをかき分けて進んだ先に沢があった。


「・・・水だ」


水を手にすくい、濁りやにおいを確認する。


「特に異常はないが、生水はさすがにまずいよなぁ・・・」


本来なら煮沸消毒を行うべきだが、そんな道具はない。

ここで飲んでお腹を下したらもっと危険だ。


「飲まないで、せめて口だけでもすすごう」


のどは乾いているが少しでも口を潤そうと、手で水をすくい、口の中に入れる。

口の中でゆっくりと水をまわして吐き出す。

口の中が潤うのを感じる。


「ふぅ・・・少し落ち着いた・・・。」


安心感が出てきたのか、自分が汗だくで、歩いてきたときに付着した土汚れも気になってきた。


目の前には飲むのは危険だがきれいな水場がある。

この辺の水流は緩やかで危険性はない。


「・・・ちょっとだけなら、いいよね?」


気温は高い、日差しも強く、体も汗だく。

さっぱりしたい、という願望が高まって水浴びをしようと決めた。


靴を脱ぎ、着ているものを脱ぎ、生まれたままの姿になって水面にゆっくりと足をつけて、滑らないように水場に体を沈めていく。


「うひょぉ、つめてぇ!」


水を顔にかけ、頭までつかる、ほてった体を冷やす。

この清涼感はたまらなかった。


「スタート地点に置いてきた服をここに持ってきて拠点にしよう、煮沸できる道具とか考えなきゃな・・・」


これからの行動に希望が見えてきた、生きるための水が手に入ったのは本当に嬉しかった。


しばらく水の冷たさを感じ、体の火照りも落ち着いたころに水場から出る。


「あぁーさっぱりした・・・」


相変わらず水は飲みたいが、それは我慢だ。


脱いでいた服を着ようとしたら、足に何か黒いものがくっついている。

ヒルだ。


「うおぉ!?」


思わず大声が出てしまった。

急いで裸のままヒルを引っぺがす、ヤマビルとかだと無理に引っぺがすのは推奨されないが思わずやってしまった。

幸い自分の知っているヒルとは違っていたようで、すんなりはがせたし出血もなかった。


「今後は水場に入るときは気をつけなきゃな・・・」


そう思って服を着ようとしたときにガサガサと音がした。

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