異世界の星空
「どこだ、ここ・・・?」
意識を取り戻して、ジャケットを脱いだがまだ暑いので上着を脱いでシャツ一枚になる。
それでも暑くて汗が出てきた。
「ここ御殿場じゃない・・・」
本来の気温と全く違う、聞こえないはずの虫やカエルの鳴き声が聞こえる。
まだ夜で明かりもなく、周りが見えないけどこの環境の中ではっきりと判断できる。
「そうだ、星・・・」
ここが御殿場じゃないならどこにいるのか、少ない情報を集めるためにも夜空を見上げた。
そこには御殿場で見ていた時より多くの星が見える夜空だった。
「すげぇ・・・」
夏の星空のように5月の夜空より多くの星が輝いていた。
汗がにじみ出て、不快感があらわになっても夜空の美しさに見入ってしまった。
「あれ天の川かな、あんな濃い部分が見えるなんて・・・」
5月の日本で天の川の濃い部分が見えることの違和感に気づく。
「ということは南半球か・・・?」
「え、何で南側にいるんだ・・・?」
天の川の濃い部分が見えるのはこの時期、南側のほうだ。
御殿場にいたはずの自分がなぜこんなところにいるんだ?
今までいたはずの場所から、違う場所にいることへの焦りが出てくる。
「南半球側なら南十字星があるはずだ!」
自分が知っている知識を確認して、落ち着こうとした。
「南十字星がない・・・」
代表的な星座が見当たらない。
そもそも南半球で見えるほかの星も見当たらない。
よく見たら天の川も違っている。
「え、地球じゃない・・・?」
時期と、星の配置で地球のどの辺にいるのかが大体推測できる。
でもこれは地球で見られる星ではない。
だんだん、とある言葉が這い寄ってくる。
「もしかして、異世界・・・?」
否定したくても、星の配置がそれを許してくれない。
その事実を受け入れ始めたときに、一言漏らした。
「・・・仕事、どうしよう・・・」




