奥さんの怒り
「お父ちゃんおかえりー!」
奥さんに続いて8歳くらいの髪の短い女の子が、コダめがけて駆けていき、コダに飛びついた。
肉を持っていない片方の腕でコダが抱きあげる。
「おぉ、ラビただいま! いい子にしてたか?」
「うん、今日はね、お母ちゃんと一緒に草鞋を作る手伝いしてた、これお父ちゃんの草鞋!」
「おっ、良く出来ているじゃないか、いい子だ!」
「えへへ・・・」
「ラビがいい子だったから、今日はごちそうだぞ~!」
「ほんと!? 狩りできたんだね、やったぁ!」
コダとラビは楽しそうに話している。
思っていたのと違っている・・・。
コダの若さで子供がいるっていうから、1歳前後だと思っていたが予想を大きく外れていた。
コダも奥さんも見た感じは20代前半だと思ったけど、じつは30代なのか?
村長の見た目も若かったし、ここの世界の人たちは年を重ねても、見た目が若いままなのかもしれない。
コダは片手で持っている、肉の葉包みを奥さんに渡していた。
「ところでコダ、そちらの人は?」
葉包みを受け取ったコダの奥さんが自分を見る。
やっぱり身長が高いせいか、少し驚いた感じで見られていた。
「お父ちゃん、あの人だぁれ?」
娘のラビもコダに抱えられたまま、自分に指をさして聞いている。
「こいつはハルってんだ、オラの友達だ!」
「紹介するぜ、こっちはかーちゃんのドネ、娘のラビだ」
いつの間にかコダの友達判定を受けていた。
コダのコミュ力はすさまじいな・・・、でも友達って言われるのは、なんか嬉しかった・・・。
「おぉー、お父ちゃんのともだち!」
「コダ、あんたまさかとは思うけど・・・」
「あぁ、オラんちで面倒を見ることにした!」
ドネは眉間にしわを寄せて、深いため息をついた。
その後、かなりの剣幕でコダに詰め寄る。
「あのねぇコダ! うちだって食べ物の余裕ないのよ!?」
「この前だってよその家にうちの芋あげちゃうしさ・・・。助け合いも、もちろん大事だけど・・・、私やラビのことも考えてよ!」
「悪いって、でもハルは悪い奴じゃねぇんだ。ただよ、前居た村から追い出されてな・・・」
コダもドネに詰められて申し訳なさそうにしている。
自分も申し訳なくなってきた・・・。
ラビは夫婦喧嘩に驚かず、慣れた様子でコダから離れてこっちに来た。
少しの間、ドネはコダに対して不満をぶつけた後、落ち着いたのか許しが入った。
「もぅ・・・相変わらずのお人好しなんだから・・・。いいわ、その人を家においても」
あ、デレた・・・。
ドネもコダにべた惚れのようだ。
「その代わり、ハルにもきちんと仕事してもらいますからね!」
キッ!っと鋭く自分を見るドネ。
「はいっ! お世話になります! しっかり働かせていただきます! どうかよろしくお願いします!」
思わず姿勢を正し、村長の時のように深くお辞儀を行った。
「まぁ、いいわ。ご飯食べるでしょ、中に入りなさい」
一応の納得はしてもらえたのか、家に入る許しを得た。
ドネはそのまま家に入っていった。
「お母ちゃんに許してもらえてよかったね!」
「ふぅ、かーちゃんの許しも貰えたし、よかったよかった!」
この世界の女性は結構強いのかな・・・。
というかコダ、絶対もめるのわかってたじゃん・・・。
そう思いながら三人で家に入った。




