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人間園  作者: 博家 賭生
3/6

人間か動物か

よ!

トラックでの旅、いや「輸送」と呼ぶべきモノが始まったから、三日後が経ち、アキラとエルザはようやく、これから数年を過ごすことになる場所に到着した。道中、アキラたちのトラックは高速道路で何度か停車し、九人全員がトイレに行けるようにし、その後、脱水症状で死なないように少量の食べ物や水が与えられた。九人に睡眠の機会はほとんどなかった。というのも、アキラたちの車は絶えず動いていたので、そんな状況で眠るのは非常に困難なものだ。だから、若造たちがようやく目的地に到着した時、他のすべてを覆い尽くす唯一の欲求は、睡眠への欲求だった。


しかし、睡眠という贅沢は、まだアキラたちには許されていなかった。横たわる姿勢を取る前に、すべての若者たちは医師による検査を受け、病気を発見して治療してもらう必要があった。


少年たちと少女たちは二つのグループに分けられ、それぞれ別の診察室へと連れて行かれた。そこでそれぞれの医師が待っていた。そして、一人ずつ順番に診察室に呼ばれ、専門医が全身を検査し、採血を行うまで、各人は約三十分間を費やした。


アキラの順番は最後だったため、彼は白い扉の隣にある小さな柔らかい椅子に座って、約一時間半を過ごした。待っている間、アキラは同じく動物園に振り分けられた他の少年たちと話をした。最初に医者の診察室に入ったのは十九歳のパブロで、彼の先祖はスペインで生まれた。


次に十八歳のルカが診察室に入り、アキラと十六歳のサンティアゴだけが残されて順番を待った。しかしさらに三十分後、サンティアゴもまた医者の指示に従って診察室へと向かい、アキラを一人残していった。


この間ずっと、アキラには多い数の考えがあった。それらは妹と別れたあの日から変わらず、アキラに安らぎを与えなかった。「この人たちは一体誰なんだ? なぜこんなに強いんだ? どうすれば俺も同じようになれる? ここは一体どこなんだ? なぜ俺たちはここに連れてこられたんだ?」――このような考えは、アキラの頭の中に次々と浮かんでは答えを見つけられず、宙ぶらりんのまま残された疑問のほんの一部に過ぎなかった。しかし、最も大きな疑問、いやむしろそれはエルザに対するアキラの不安だった。恋人たちが引き離されて以来、アキラはほとんど五分おきに彼女のことを考えてエルザが無事であることを願い、また会えると信じていた。


長い待ち時間の末、ついにアキラの検査の番が来た。彼が診察室に入ると、見たことのない道具や物の山が目に飛び込んできた。アキラの目は、目の前にあるものに圧倒された。祖母は2026年に存在した現代の人間の技術について話してくれたが、アキラが今見ているのは、それらとは全く異なる機器だった。


検査の間中、アキラはこれらの人々に質問を投げかけたが、それらはまるで空中に浮かんだままで、相手に届くことはなかった。なぜなら、アキラは気になることすべてについて、何一つ答えを得られなかったからだ。


「ここはどこ? 何をしているんですか? これは何のためですか? あなたたちは誰ですか?」


アキラは大きな診察室にいた。そこには白いコートを着た三人の男がいた。一人はコンピュータの前に座っていた。コンピュータは、アキラがかすかな特徴と断片的な記憶でようやく認識できたモノのうちに一つだった。しかし、他のすべての医療機器はアキラにとって完全に見知らぬものだった。これらの人々は、アキラには意味がわからず、ただ奇妙にしか聞こえない言葉を絶えず発していた。「チョウ()オン()()ケンサ(検査)シン()デン()()、Xセン()ケンサ(検査)」。最後に、アキラは椅子に座らされ、静脈から採血された。


しかし、自分の体から血が流れ出るのを見た瞬間、アキラの目の前には三日ほど前の出来事が走馬灯のようによみがえった。目を覚ますと、自分が同族の血の海の中にいたあの光景だった。この一瞬の映像は、アキラには永遠にも思えた。でもすぐが終わると、アキラは意識を失った。医師たちがアンモニアを含ませた脱脂綿をアキラの鼻に近づけて、何とか彼を正気に戻した。しかし、意識を失った後も、アキラは落ち着くことができず、テーブルの上にある採血用の試験管を見て、パニック発作(ほっさ)が続いた。


今度は、アキラが意識を失う代わりに、大声で叫び始めた。アキラの脳は、アキラ自身にもわからない理由で、両親と弟の遺体という映像を自分に見せていた。たとえ自分の両親の遺体を実際に見ていなくても、アキラの精神は、この赤い液体で満たされた小さな試験管から発せられるショックと恐怖に対処できず、アキラに、かつて自分の目で見たことのない光景を想像し見せ始めた。


医師たちは状況が手に負えないと判断し、迅速にアキラに鎮静剤を注射した。すると、アキラの目の前を永遠に続いていた家族の死の映像が終わって黒い画面が現れると、アキラはようやく静かになった。数時間後、アキラは心電図を取ったときと同じ診察台の上で目を覚ました。彼は体を起こし、部屋に残っていた唯一の人を見た。


「部屋の隅のドアから出てけ。そこであなたを迎え、住む場所へ案内されるだ。」白いコートの医者が言った。


「俺の彼女、エルザはどこにいるの? いつ彼女に会える?」アキラはすでに完全に絶望していたが、それでも奇跡を信じて質問した。


そして幸運なことに、その奇跡は実際に起こった。今まで彼の質問に一つも答えなかった医者が、こう言った。


ケンサ(検査)結果が正常なら、明後日にまた会えるよ。」


「検査」という言葉はアキラには馴染みがなかったし、文の後半を聞いて最初の部分はすっかり忘れてしまったが、アキラは大喜びし、医者の指示に従って診察室の奥のドアから出ていった。


そこでは見知らぬ人がアキラを待ってた。アキラを新しい家に案内した。その家は、さらに九つのまったく同じ家々と並んで建っていた。そして、この場所を「家」と呼ぶことは決して間違いではない。これまでのアキラの住んでいた家と比べれば、この場所は富豪のための豪華な別荘と言っても誇張にならない。


ドアを開けると、アキラは小さな廊下に入り、それがテレビとソファのある広大なリビングへと続いていた。人生で初めてあまりに多くの物を目にしたアキラは、自分の村の外の生活について、自分がどれほど無知であるかに圧倒された。


祖母の話の記憶を頼りに、アキラは自力でこのものを特定することができた――テレビ、ランプ、絵画、肘掛け椅子、ソファ、カーペット。その他にも、リビングには小さなコーヒーテーブル、戸棚、カーテン、シャンデリアがあっていた。


部屋に入って数秒後、アキラは自分の近くのどこからか突然聞こえてきた話し声に驚いた。しかし、近くには誰もいなかった。視線を壁のテレビに向けると、そこに動く映像が映っていた。テレビが勝手に点いたが、それにはある理由があった。


テレビでは三十分間のビデオが流れてて家の中の様々な物、ガジェット、家具の使い方を説明していた。アキラが最も驚いたのは、トイレが家の中にあり、外にないということだった。ビデオの最後には、スマートフォンの使い方が説明されていた。


この部分がアキラを最も惹きつけた。それを使えば、世界のどんな場所にでも電話をかけ、何万キロも離れた相手の声を聞くことができると知ったのだ。ためらうことなく、アキラは電話を手に取り、連絡先の中からエルザの名前を探そうとした。そして幸運なことに、そこにはあった。現在地球上に住むすべての人々の読み書き能力は六歳児程度であったが、祖母と両親のおかげで読み書きを教えられていたアキラは、約十分間かかったものの、なんとか電話帳の中から「エルザ」という名前を見つけ出すことができた。


ためらうことなく、アキラは通話ボタンを押し、ビデオで見た通りに電話を右耳に当て、スマートフォンの端から発信音が聞こえてきた。その同じ頃、約五十メートル離れた場所で、エルザは自分の電話の着信音を聞いた。最初は突然の見知らぬ音に少し驚いたが、やがて部屋の中で音の発生源を見つけて近づいて画面を見ると、そこには「アキラ」と表示されていた。同じ説明ビデオを参考に、アルザは画面上の緑色のボタンを押し、着信に応答して電話を耳に当てると、アキラの声が聞こえた。


「エルザ?! エルザ、君か? いるのか? 聞こえるか?」発信音が消えた瞬間、アキラは叫んだ。


しかし返ってきたのは沈黙だけだった。するとアキラがもう一度質問を繰り返すと、今度は女性の泣き声が聞こえた。恋人のことを心配した彼は、大声で叫んだ。


「エルザ、大丈夫か? どこにいる? なぜ泣いているんだ?」


「私は大丈夫よ… もう二度とアキラに会えず、アキラの声も聞けないんじゃないかって怖くて… 君が私の名前を呼んだ瞬間、涙が自然と溢れてきて、抑えられなかったの。」彼女は必死に涙を拭いながら、辛うじて言葉を自分の口から絞り出した。


「ああ… 本当に良かった。俺ももう二度と会えないんじゃないかって怖かったな。」アキラは、まるで溜め込んだ重荷をすべて肩から降ろすかのように、深く息を吐いて答えた。


その後、若い恋人たちは疲れも睡眠欲もすっかり忘れ、何時間も話し続けた。窓の外で日が沈み、完全な暗闇が訪れても、二人の恋人は電話から離れられず、互いに眠りに落ちるまで話し続けた。別れの挨拶もせず、通話を切ることも忘れて寝た。


翌朝、長い睡眠から目覚めたアキラは、外に出て空気を吸いたいと思ったが、家のドアは鍵がかかっていた。鍵を探したが無駄だった。次にアキラが思いついたのは窓から出ることだった。しかし、窓もまた固く閉ざされてて、開けることはできなかった。五度目の脱出試行の後、ようやく彼はドアが開く音を聞き、廊下に出ると、見知らぬ人が待っていた。その男は言い始めた。


「お前はまだ外に出てはいけない。だから、俺たちが出てもいいと言うまで、ここにいろ。」


アキラが何か尋ねようとした瞬間、男は耳を傾けずに、ドアを閉めた。アキラに質問を聞くチャンスを一切与えなかった。


アキラにできることは何もなかったので、アキラは電話機を取り、恋人に電話をかけた。しかし、今度はエルザは電話に出なかった。彼女がまだ寝ているのかもしれないと考えてアキラはもう少し待ってからもう一度掛け直した。リモコンを手に取ってテレビの前のソファに座ったアキラは昨日の説明ビデオで見た通りの操作し、チャンネルを切り替えて、自分が興味を持てるものを見つけようとした。


何も面白いものを見つけられないでいると、アキラの耳にドアベルが聞こえてきた。あのビデオのおかげで、アキラはすぐに誰かが訪ねて来たのだとわかって、ドアを開けに行った。驚いたことに、今回は特に苦労せずにドアを開けることができた。敷居の向こうには、手にトレイを持った黒いタキシード姿の男が立っていた。それでその男は言い始めた。


「こちらが朝食です。どうぞごゆっくりお召し上がりください! お食べになったら、トレイと汚れた食器はすべて、キッチンの隅にある引き出しに捨ててください。」そう言ってタキシードを着てた男は食べ物の乗ったトレイをアキラの手に渡し、立ち去った。


トレイの上のドーム型の蓋を持ち上げると、アキラの鼻にこれまでにない多種多様な香りが漂い始めた。全部、アキラがかつて経験したことのないものばかりだった。朝食には、新鮮な果物や野菜、炒めた鶏卵、数種類のベーカリー製品が運ばれてきた。飲み物はオレンジジュースだった。鶏卵もほとんどの果物も、アキラは人生で初めて見るものだった。彼が以前に見て食べたことのあるパンは、まったく異なる形と色をしていたので、アキラがそれがパンだと気づいたのは、一口かじってみてからだ。最初は新しい食べ物を試すのが怖かったが、馴染みのあるキュウリとトマトのサラダを食べ終えた後、アキラは残りの食べ物にも手を出すことにした。


そして驚いたことに、それはアキラがこれまでに食べた中で最も美味しい食べ物だった。彼は十七年間、単調な食べ物ばかり食べてきたため、「どうして食べ物がこんなに美味しいんだ?」と思った。


しかし、次の疑問はアキラを驚かせるというよりも、警戒させ、不安にさせた。生涯を通じて、両親は彼に、食べ物や住まいはただで手に入るものではないと教えてきた。それらは「ただで」得られるものではなく、働き、種をまき、水をやり、雑草を抜き、収穫し、料理をしなければならない。そしてそれ全部した後だけで、初めて「食べ物」という貴重なものを手に入れることができる。そして今日、アキラは何もせずに、この美味しい朝食をただで食べた。「これはただでは済まないはずだ…」とアキラは考え込んだ。なぜ自分たちがここに連れて来られたのか、この人々は何者なのか、もう一度考え抜いた。


しかし、自分の考えに完全に集中する間もなく、アキラの電話が突然鳴り始めた。受話器を取ると、聞き覚えのある声が聞こえた。


「すごい! こんなに美味しいなんて! アキラはもう朝食食べたの? も~最高だった! こんなに上手いものを食べたのは初めて!」エルザは明るく元気な声で言った。


「エルザ、これが何も不自然だと思わないのか?」アキラは、自分の彼女よりもはるかに低い口調で尋ねた。


「どういうこと?」エルザは理解できない様子で尋ねた。


「俺たちは広くて暖かくて居心地の良い家に連れてこられ、美味しい食べ物を与えられ、トイレやシャワー、お湯の出る浴槽まである。何も要求せずに、これらすべてをただで与えられるなんてありえない! 絶対に何かが怪しいんだ!」


しかし、アキラの恐怖は、恋人にはまったく理解できなかった。彼女はただ、与えられた環境を楽しみ、そこから最大限のものを得ようとしていた。


「ねえ、なんでそんなに心配するの? この親切な人たちは、私たちが快適に過ごせるようにすべての便利なものを与えてくれたのよ。何が問題なの? あの森での生活で、私たちは少しくらいの快適さを得る権利があると思うわ!」


「親切な人たちだって?!?!?」とアキラは大声で叫んだ。彼は電話越しに聞こえた自分の言葉を信じられなかった。まるで、実際には彼女が言ったのではなく、壊れた携帯が何か誤って伝えたのだと確認したかったかのようだった。


「そうよ、何かおかしいの?」恋人の大声に少し驚きながら、エルザは答えた。


「その親切な人たちは、俺たちの両親を殺して食ったんだぞ! それを忘れたのか?!」


アキラの問いに対して沈黙しか返ってこなかった。エルザには答える言葉がなかった。あるいは、答えたくなかったのかもしれない。いずれにせよ、一分間の沈黙の後、エルザは画面上の赤いボタンを押して通話を切った。


恋人の口から今聞いたばかりの言葉を信じられず、アキラは彼女との会話をしばらく控え、事態を悪化させないために頭を冷やすことにした。


アキラが落ち着いて平静を取り戻そうとする無駄な試みは数時間続いた。彼はリビングのソファに座ったり、寝室のベッドに横たわったりしながら、今自分を悩ませていることについて考えていた。そうこうしているうちに、昼食の時間になった。


前回と同様に、彼の家のドアベルが鳴り、アキラがドアを開けると、またしても最初と同じように簡単に開いた。彼の前に立っていたのは、同じタキシード姿の同じ人で、今回は朝よりも約1.5倍ほど大きなトレイを抱えていた。トレイを渡すという使命を果たすと、男は即座に振り返り、アキラの家とは反対方向へと歩き去った。


朝の時、アキラはショック状態にあり、ドアが開いている間に外に出てみようという考えが浮かばなかった。でも今回は、彼はドアを閉めたふりをして、実際には少しだけ隙間を残しておいた。そして、食べ物を運んで来た男を見失うと、アキラは右足を敷居の外に踏み出した。しかし、その瞬間、大きなサイレンが鳴り響き、一分も経たないうちに、アキラの家の前に軍服を着た五人の男が集まった。


どうやら家の外には出られないと理解したアキラは、中に入って昼食に取りかかった。昼食は朝食よりもさらに豪華で美味しかった。軽い野菜サラダ、シーフードスープ、そして三種類の肉を詰めたジャガイモのパンケーキが提供された。村に住んでいた頃は、アキラはこんな量の食べ物を一日中食べることもなかったし、ましてや一度の食事で食べ切れるものではなかった。両親は食べ物を捨ててはいけないと教えていたので、たとえ無料で手に入れたものであっても、食べ残したものはすべて冷蔵庫にしまい、夕食のために取っておいた。まるで、これほど二度の大きな食事の後に、三度目もあるとは信じられないかのように。


昼食後、アキラがようやく苦しめる考えを一時的にでも手放すことができた時、彼は昨日のビデオを見ているときに、祖母から以前聞いたことのある言葉をいくつか耳にしたことを思い出した。その言葉は「映画」と「ドラマ」だった。


テレビをつけ、どの映画を見たいかを選んでモニターから二メートル離れたソファにゆったりと座ると、アキラは映画を見始めた。見ているうちに、アキラの頭には祖母が映画について話してくれた記憶がよみがえってきた。そして今、アキラは祖母が言った言葉のすべてが嘘ではなかったことを確かめることができた。だから心の中でおばあさんに謝罪し、三本目の映画を見終わった後、彼は勇気を振り絞ってエルザに電話をかけることにした。


エルザもまた、一日中アキラと同じように、今朝の会話について考え、自分なりの結論を出していた。電話に出ると、彼女が最初に口にしたのはこの言葉だった。


「ごめんなさい、私…」


「エルザ、俺の方こそごめん! 君に乱暴な口調で接してしまった!」


「ははは!」


「はははは!」


お互いに謝罪し、この状況を笑い飛ばした後、二人は自分たちが慣れ親しんだ場所を離れ、未知の環境に飛び込み、そこにはパニック、ストレス、恐怖、そして何が起こっているのか全く理解できないという状況が一気に襲いかかってきたのだという結論に達した。エルザはただ、数日前に起こったことをできるだけ早く記憶から消し去りたかった。一方アキラは、謎に包まれたすべての事柄の真相を探ろうとしていた。異なる意見を持つことは普通だということで意見が一致した後、恋人たちはすぐに他の話題に切り替えた。


アキラは今日見た映画について話し、エルザは自分の見たドラマについて話した。会話の途中、二人の家にミリ秒単位で正確に夕食が届けられた。カップルが黒いタキシードの男たちから食べ物を受け取った後、再び電話を耳に当てて会話を再開した。


「そういえば、このドアベルのことで思い出したけど、今日の昼間にすごい大きなサイレンが聞こえたの。すごく大きくて突然だったから、耳が詰まった感じがしたわ。アキラも聞こえた? 何だったのかしらね。」


「え? 本当に?!」アキラは、電子機器を通して聞こえる言葉を再び信じられないかのように尋ねた。


「うん、そうだけど、何か?」


「それは俺の家のサイレンだった! 外に出ようとしたら鳴ったんだ!」


「まさか! 本当?! それってつまり、私たちはすごく近くにいるってこと?」エルザは期待を込めて聞いた。


「そうだと思う! 明日が待ち遠しいよ。本当に会いたい!」


「うん。私も。愛してるよ。」とエルザは優しくささやいた。


「俺もだよ、エルザ。」アキラは一瞬もためらわずに答えた。


さらに夜更かして話し続けた後、ようやく七度目の別れの挨拶で二人は通話を切り、それぞれ自分のベッドで眠りについた。早朝、ドアベルが鳴り、誰かが来たことを知らせた。ドアを開けると、いつも食事を運んでくるあの男が立っていた。それでこう言った。


「ついて来てください。」


ついにアキラは家の外に出ることを許された。彼が切望していたことだ。野生の森に住んでいた頃、彼は起きている時間の九割を外で過ごすことに慣れていたから、この二日間は四つの壁の中に閉じ込められているように感じられた。まさに拷問だった。そして、かつて柵の中の森で暮らしていた時代は、もはや檻の中に閉じ込められているようには思えなくなっていた。


家を出ると、アキラは自分の家の隣に並ぶ家々を見渡し、そこから黒いタキシード姿の男たちを伴って見覚えのある顔が一つ一つ出てきて始めた。するとアキラが恋人の姿を見つけると、すぐに両腕を広げて彼女のところへ駆け寄った。エルザも同じことをした。出会った若いカップルは、お互いを抱きしめ合った。外から見れば、今にも押しつぶされそうに見えたかもしれない。しかし実際には、それは優しく柔らかい抱擁だった。


八人全員を一か所に集めると、アキラたちは今日から別の家に住むことになると告げられた。より正確に言えば、ここではない場所にある家だ。外装も内装も、平方センチメートル単位までまったく同じ家だった。他の男たちを統率しているように見える人が話し終えると、サンティアゴが彼に尋ねた。


「あともう一人の女の子はどこにいるんですか? 俺たちは九人だったはずです。」


「今は八人だ。彼女は検査結果が悪くて、君たちと一緒には行けない。」


「では彼女はどうなるんですか?」エルザが友人のことを心配して聞いた。


「それは君たちの知ることではない。さあ、ついて来い。余計な質問はするな。」


そると、この場所の新参者たちはその指示に従った。約二百メートル歩いた後、彼らは重厚な金属製の装甲ドアをくぐって信じられないほど美しい庭園に足を踏み入れた。すでに晩秋だというのに、ここではすべての植物、花、木々が緑に輝いていた。それはまさに奇跡だった。


八人全員が自分の目で見ているものを信じられなかった。アキラたちはこの場所の美しさだけでなく、その壮大さにも圧倒された。それは広大な場所で、数万平方キロメートルにも及び、一周するには少なくとも数時間はかかるだろう。


色とりどりの花や果物、植物に加えて、庭園には木々のない小さな円形の広場があった。そこにはベンチが置かれ、座って休むことが必要ならできる。ある木々はあまりにも高くそびえ立ち、その真下に立っていても、てっぺんを見るのは困難だった。八人全員がこの衝撃から立ち直って正気を取り戻すと、軍服を着てた男は一人の若者の男性を連れてきてこう言った。


「彼がここでの責任者だ。質問はすべて彼にしてください。」


そう言って軍服を着ていた男は振り返り、アキラたちが入ってきたのと同じ重い金属製のドアから出ていった。そしてその時、アキラは、それまで自分の視線を釘付けにしていた木々のてっぺんから目を下ろし、自分の目の前で閉まったばかりのドアを見た。ドアなら、そこは何かの部屋それとも家はあるはずだ。そしてまさにその場所に、アキラとエルザ、そして彼らの同族たちはいた。そのドアは、巨大なガラスドームに繋がっていた。その下にこの庭園があり、アキラとエルザはこれからここで暮らすことになるという意味を持っていた。


若い男性に自分たちがどこに来たのか尋ねると、アキラたちはこのような答えを得た。


「動物園が何か知っている?」


八人のうち五人がうなずいた。すると、この男性は自分をトーマスと名乗り、残りの三人に動物園とは何かを説明した。トーマスは、六十年以上前、宇宙人が襲来する前に、なぜ、何のために、誰のために動物園が存在していたかを説明した。そして、彼はこう締めくくった。八人の若者たちがまさにここ――「動物園」にいる。


それに対して、アキラは少し戸惑った声で聞いた。


「でも、それは俺が想像していた動物園とはちょっと違うな。それに、ここには動物がいるはずだ。どこにいるの?」


「動物は、俺たちだ。」とトーマスは答えた。

これ、面白いかな。

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