表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
闇堕ち令嬢シンシア ~死に戻り少女は死なないことにした  作者: 九條葉月


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

57/59

閑話 下半身


 


「――はっはぁ! こりゃあいい! 良い女が揃っているじゃねぇか!」


 魔王軍四天王のグリッジは『女』のニオイを嗅ぎ付け、城壁内の中庭にやって来た。そこでは五人ほどの女が何か作業をしていたのだ。


 女。

 明らかに非戦闘員。

 しかも、若い。


 グリッジの力では一度使えば(・・・)裂けて死んでしまうだろうが、逆に言えば一度は使えるのだ。そんな女が、五人。つまりは五回楽しめる。


 穢らわしい欲望を隠そうともしないグリッジ。


 そんなグリッジの登場に女性たち――そういうこと(・・・・・・)にトラウマを持つ彼女たちは身を寄せ合って恐怖に耐えていたし、そんな反応がますますグリッジの嗜虐心を高まらせていた。


(なんと穢らわしい……)


 味方でありながら。魔王軍幹部相手でありながら。嫌悪感を抑えることのできないジール。


 別に、あの女たちに同情しているわけでも、ましてや助けようと思っているわけでもない。なぜなら魔族と人間族とは長年殺し合ってきた『敵』なのだから。


 だが、いくら敵だからといって、魔族の誇りを捨てていい理由にはならない。戦いとはあくまで『覚悟』を決めた者同士が行うべきもの。あのように戦闘職にない女を、自らの欲望のままに犯すなど……。


(魔王様に報告しなければな)


 このような単細胞ではいずれ魔王様の覇業の邪魔になるだろう。いや、もはや今回の聖女襲撃で魔王様の計画を台無しにしかねない。


(斥候として、今回の顛末を全て見届けてから魔王様の元へ戻るべき。……しかし、ここはもう見切りを付けて撤退するべきか?)


 ジールがそう悩んでいると、


「――待て!」


 何とも威風堂々とした声が、中庭に面した建物から降ってきた。


 ジールが見上げると、建物の二階から少年が飛び降りてきた。


 そしてケガなく、最小限の衝撃で着地してみせる少年。


(ほぉ)


 グリッジのような筋肉の塊ならともかく、非力な人間が二階から飛び降りて無事とは……。なんという身体能力かと敵ながら感心してしまうジールであった。


 そんな少年の背後には二人の少女がいたが、彼女たちは少年ほどの実力がないのか飛び降りることなく姿を消した。おそらく階段を使うのだろう。


 四天王が一人、グリッジを前にして恐れることなく大剣を抜く少年。


 そんな彼を見て、グリッジはいやらしく口端を吊り上げた。


「そのニオイ……。お前、女だな? ははっ! こりゃあ楽しめそう(・・・・・)じゃないか!」


 ニオイで別種族の性別を見抜く。いったいどういうことなのかまるで理解できないジールだ。もはや下半身で思考しているのではないかと思いたくなるほど。


 しかし、そんな下半身男の本能は鋭かったらしく。大剣を構えた少年――いいや、少女は驚きで目を見開いたのだった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ