察知
「いいかげんにしろ」
「マジすみませんでした」
リリー(マイ専属メイド)に土下座したあと。私たちは魔の森から帰ることにしたのだった。装備も不十分なままで森に突っ込ませるわけにもいかないし。
私としては一旦街へと戻ってロイ君たちの装備やら食料やらを買いたそうと思ったのだけど。
「……ぬぉおおおおぉお……」
「ぬぐぅううううう……」
「痛たたた……」
ぴくぴくとしているロイ君たちだった。鑑定結果によると――筋肉痛。え? 即座に筋肉痛とか早くない?
「それだけ無茶をさせただけでは?」
リリーのツッコミはなぜか理解できなかった。不思議なこともあるものだ。
しかし、筋肉痛ね? ロイ君たちが持っているポーションを使ったり、回復魔法をかければすぐに治るけど……やめておきましょうか。筋肉痛は筋肉が強くなろうとしている証。回復魔法を使ったらその意味がなくなっちゃうものね。
「とりあえず、ロイ君たちには砦に戻ってゆっくりしてもらうとして」
私は一度街に行きましょうかね。討伐した魔物を売っちゃいたいし。……保護した女性たちに解体してもらうにしても、まずは解体用の刃物を買ってからじゃないと無理だもの。
「とりあえず冒険者ギルドに向かうとして……鍛冶屋と装備屋、あとは保存食が買えるお店も確認しておきましょうか」
「ではお供しますね」
当然のようについて来るリリーだった。……(私に)ぶん投げられた上にロイ君たちと衝突したのにケガ一つなさそうね。さすが吸血鬼だわ……。
◇
まずは冒険者ギルドに向かい、建物の中に入る。ちょうど良くギルドマスターのデーニッツさんがいたから彼と話を進めましょうか。
「こんにちはー。魔物を狩ってきたんですけどー」
「おう、早いな。さすがだ。何を狩ってきたんだ?」
「とりあえずブラッディベアを一頭と、あとは雑魚を何匹か」
「……ブラッディベア?」
「はい」
「そんな簡単に倒せる魔物じゃ……いや、お前さんならできるのか……。あの巨体だと運搬も大変だろう? 人を貸そうか?」
「いえ大丈夫です。空間収納に入れてきましたから」
「空間収納にブラッディベアが入るって……。あー、じゃあ、裏に訓練場があるから、そこで出してもらえるか?」
「訓練場で、ですか? 解体場ではなく?」
「おう。まだブラッディベアを見たことのない冒険者も多いからな。バラす前にどんなもんか教えておくのもいいだろう」
「おぉ、ちゃんとギルマスをやっているんですね、見た目に似合わず」
「見た目に似合わないのはお前さんもだろうが」
鋭い突っ込みをされてしまった。ずいぶん打ち解けることができたわねぇと私が喜んでいると、
「――ん?」
何かを察知した私だ。
そして、リリーも。
「魔族ですね」




