まだまだね
「うーん、連携自体は悪くないのだけど、真っ直ぐすぎて予測しやすいわよねぇ」
地面に転がる勇者パーティーに向けてため息をつく私だった。
「いい? 魔物相手ならアレで十分だけど、『勇者』であるなら知性ある魔族や魔王を相手にするのだから、もうちょっと搦め手を覚えないと駄目よ?」
「…………」
「…………」
「…………」
へんじがない。ただのしかばねのようだ。
「か、搦め手と言われましても……」
お、ロイ君が復活した。回復魔法を使う手間が省けたわね。
「そんな難しく考えなくても、自分がやられて嫌なことをやればいいのよ。集中を削がれるとか、大剣を上手く振れない場所で戦わされるとか、斬りかかったところで視界をふさがれるとか」
「うーん……」
長考に入ってしまうロイ君だった。真面目ねぇ。まぁ普通に暮らしていた村人にいきなり戦術的な戦いをしろというのが無理な話かしら? しかもロイ君って底抜けの善人だし。
ここは一度すごい搦め手を見せて、ロイ君の常識を破壊してしまえばいいのでは?
「嫌な予感がするのですが?」
と、心を読んだかのようなツッコミをしてくるリリーだった。気のせい気のせい。
そんなやり取りをしている間にシーナちゃんとセイラちゃんも復活したので、もう一回手合わせしてみることにした。
「――う、うわぁあああ!」
やけくそっぽい叫び声を上げながら突っ込んでくるロイ君。なんだか悲壮な顔をしているのは気のせいかしらね?
ま、いいか。
さっそく搦め手を見せることにした私は、近くにいたリリーの首根っこを掴んだ。ガシッと。
そしてそのまま、力とパワーでリリーをロイ君に向けてぶん投げた。
「は、はぁああああ!?」
想定外すぎたのか絶叫するロイ君と、
「はぁ……」
宙を舞いながら深々とため息をつくリリーだった。
「ふぎゃあ!?」
飛んできたリリーを避けることもできず衝突。下敷きになるロイ君だった。ふっ、まだまだ未熟ね……。




