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闇堕ち令嬢シンシア ~死に戻り少女は死なないことにした  作者: 九條葉月


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冒険準備

 


 ごめーん、依頼金無しになっちゃった☆ というのをロイ君たちに説明したところ、


「――さすがシアさんです!!!!!!」


 なぜだか大感激しているロイ君だった。


「はい!!! さすがです!!!!!」


「神の御慈悲はここにあり!!!!!!」


 そしてロイ君に負けず劣らずテンション高いシーナちゃんとセイラちゃんだった。こわい。


「こ、今度からはちゃんと相談してから決めるようにするから……」


「いえ! お気になさらず!」


「シアさんのやることは正しいですから!」


「神のなすことになぜ異を唱えることがありましょうか!」


 いや結構辛辣にツッコミしてきてない……?


「……女たらし」


 ボソッとつぶやくリリーだった。いやこれ私が悪いの……? 安請け合いした私が悪いのか……。



         ◇



 ロイ君たちの理屈では『お金ではなく人々のために魔物退治をするだなんて! さすが聖女様です!』みたいな感じらしい。こわい。


 正直、依頼金をもらわなくても素材を売るだけで十分なお金になるし、今までAランク冒険者として活動していたからお金に困っていないだけなのだけど……。まぁ、良い方向に勘違いしてくれているのだから、別にいいかしら?


「……そういうところが駄目なのです」


 まるで心を読んだようなツッコミをしてくるリリーだった。


 それはともかく。思ったよりすんなり依頼金無しは受け入れてもらえたので、さっそく魔の森に向かってみましょうか。


 原作ゲームにおける魔の森はレベリングスポットだった。第一部までは戦闘無しでストーリーが進んだから、ここでレベリングしなきゃいけなかったのよね。……貴族令嬢(しかも聖女)にいきなり魔物狩りをさせるのもどうかと思うけど、まぁゲームだしねぇ……。勇者様ご一行が教師役だからいいかって感じ?


 そんな『教師役』である勇者ロイ君たちも、今現在ではまだまだ経験不足な素人さんだ。なので私が教えてあげないとね。


(……ん?)


 原作ゲーム的には私が追放されたことで第一部終了。もうそろそろ第二部が始まるのだけど……。ロイ君たち、まだヒロイン(聖女)を守ったり戦い方を教えられるレベルじゃないわよね? 原作ゲームとは違わない?


(……まぁ、それを言ったら私自身が原作ゲームとはかけ離れているものね)


 そんなものかしらねーっと考えているうちに、森への入り口に到着。舗装こそされていないけど、荷馬車も通れそうな道が森の中へと繋がっている。近くに冒険者ギルドがあるので冒険者が頻繁に行き来しているのでしょうね。


 もちろん道があるとはいえ安全とは限らない。木の上や茂みの中から魔物が奇襲してくるかもしれないからね。つまり腕試しとはいえ死ぬ可能性は十分にある。


 というわけで、まずは装備の確認と行きましょうか。


 本来なら冒険前には街で必要物資を買い出しするものだし、私が事細かにどういうものを買うべきか教えるべきだと思う。


 でもまぁ、今日は『腕試し』だからね。まずはどんな準備をしてきたのか確認してみましょう。


 普通の冒険者パーティーであれば必要な食料や水を各自のリュックで持ち運んだり、荷役(ポーター)を雇って運んで貰ったりするものだ。


 しかし、なんとなんと、ロイ君たちは三人とも空間収納(ストレージ)を持っていたのでリュックを背負う必要がないのだ。普通なら空間収納(ストレージ)持ちというだけで冒険者パーティーから引く手あまただというのに、三人全員……。勇者パーティーって凄い。


 ま、いくら才能が凄くても、知識がなければ何の意味もないのだけどね。


 ロイ君たちが空間収納(ストレージ)から装備や物資を取りだして地面に並べる。食料。水。テント。予備の武器……。それらを確認した私は「へっ」と鼻を鳴らしたのだった。


「――はい、不合格。あなたたち一回死にました」




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