冒険者ギルド
翌日。
新しくパーティーを組んだということで、私たちは連携確認も兼ねて魔の森を探索してみることにした。ロイ君によると魔の森に聖剣があるらしいし、レベリングに最適だからね。
「とりあえず、今日のところはロイ君たちの実力確認ということで、森の浅いところをウロウロしてみましょう」
「はい!」
元気いっぱいに返事をしたロイ君の頭を撫でてから、まずは領都の冒険者ギルドへ。パーティー結成の届け出をしなきゃいけないし――ちょうどいい依頼があるならお金儲けができるからね。
あと、依頼を受けないにしても、魔の森は冒険者ギルドの『ナワバリ』だろうからね。入るなら一言断りを入れるべきでしょう。
冒険者ギルドに入ると室内にいる全員から視線を向けられた。まぁ『聖女』だから仕方ないか。ここに来るまでも街の人から声を掛けられたり祈りを捧げられたりと大変だったし。
受付のところにちょうどギルドマスター・デーニッツさんがいたのでご挨拶を。
「デーニッツさん、こんにちはー」
「!? こ、これはこれは聖女様――」
「ちょっとちょっと、冒険者相手にそんなバカ丁寧な対応をするギルマスがどこにいるのよ?」
「んなこと言われましても――いや、そうだったな。冒険者なら貴族だろうが物乞いだろうが平等に扱うのが冒険者ギルドだ」
「うんうん、ご立派です」
「ったく、調子が狂うなぁ。んで? 今日はどうしたよ?」
「ロイ君たちと冒険者パーティーを組むことになったからご報告にね」
「おいおい、ずいぶんと豪勢なパーティーじゃねぇか」
デーニッツさんは明言こそしなかったけど、まだまだ半人前なロイ君たちを含めて『豪勢な』と評したのだから、たぶんもう領主様から『勇者』について話が行っているのでしょう。
個人情報は……? とは思うけど、勇者の活動については冒険者ギルドが総力を挙げてサポートするべきとなっているのでこれは仕方ないわよね。そもそもその世界には個人情報保護法なんてものはない。
受付さんが魔導具の水晶を取り出してくれたので、それの上に私の冒険者証を置く。すると『ピッ』という音と共に新しいパーティーが登録された。うーん、なんともハイテクというか、中世ヨーロッパ風の世界観にそぐわないわね……。ゲームの世界だからしょうがないか……。
ロイ君たちが登録している間にデーニッツさんから情報収集だ。
「この子たちの腕試しを兼ねて魔の森に行こうと思っているのだけど、なにか丁度いい依頼はないかしら?」
「そうだなぁ、聖女様――じゃなくて、シアは剣も魔法も使えるからな。依頼とか関係なく魔物を狩りまくって欲しいってのが本音だぜ」
「なんとも雑な感じね?」
「まぁ、そう言うなって。この前の世界の終わりのせいで騎士も冒険者も数が足りていないんだ。依頼は出ていないが、討伐した魔物の数と難易度によってギルドから報酬を出すからよ」
「ふーん、まぁそういうことなら」
討伐依頼の場合、冒険者の取り分としてはまず依頼主からの依頼金が支払われる。『村の周りの魔物を討伐してくれー』とか『行商に使う道の安全確保をー』みたいな感じで。ギルドの仲介料を引いた金額をね。
その上で魔物から取れる素材が冒険者のものとなる。場合によってはこちらの方が依頼金より高額になることもあるわね。
今回の場合は依頼主を冒険者ギルドってことにして、魔物の討伐数に応じた依頼金(相応の金銭)を支払ってくれるということなのでしょう。
「いいわ。でも依頼金はいらないわよ。世界の終わりと盗賊団の襲撃があったばかりで何かとお金が必要でしょうし」
「こっちとしては助かるが、いいのか?」
「いいわよ。なにせ私は『聖女様』だからね。困っている民は見捨てられないのですーみたいな感じで?」
「なんだかありがたみがねぇなぁ」
「なんてことを。……それに、魔物を狩りすぎたせいでギルドが倒産したら大変だもの」
「ははっ、シアの実力ならそれもそうか。んじゃ、頼むわ。他の冒険者には邪魔しないよう言っておくからよ」
「えぇ、お願いするわね」
そういうことで話は纏まった。
……あ、依頼金を受け取らないことはロイ君たちと相談するべきだったかしら? うーん、ずっとソロ(&リリー)で活動していたからその辺の感覚がなぁ。抜け落ちているのよねぇ。




