善人
さて。ロイ君たちとも合流したところで。
まずはセイラちゃんの転身(?)を説明しないとねぇ。今もロイ君たちの側じゃなく、私の後ろに控えているし。
でも、これってどう説明したものかしら? 「あなたたちの大切なパーティーメンバーはもう私の手の中よ!」みたいな? うーん闇堕ち令嬢っぽい。さすがにないか。
あとは「セイラちゃんって私を信仰しちゃってお仕えするみたいなのよ~」とか? うーん、あたまおかしいと思われるかしら?
私が悩んでいると、セイラちゃんが一歩前に出た。
「二人とも。私は真なる信仰を得ました」
わぁ正面突破。
当然ロイ君とシーナちゃんは大混乱だ。
そんな二人の様子に構うことなくセイラちゃんは語る。怒濤の勢いで。私がいかに素晴らしいかを。いかに聖女としての気品に溢れるかを。それはもう私信者一号であるリリーが何度も首肯するほどに。
「あ、はぁ……」
「そ、そうなんだね……」
明らかにドン引きする二人だった。是非もないわね。セイラちゃんってたぶんパーティー内の引率者だったのだろうし。
「セイラの選択は尊重したいけど、回復役が抜けちゃうと僕たちも――あ! そうだ! シアさん! 僕たちも付いていっていいですか!? パーティーを組みましょうよ!」
キラキラとした目を向けてくるロイ君だった。
「それ! いいと思います!」
と、シーナちゃん。
「はい。素晴らしい考えかと」
と、セイラちゃん。
こちらとしても、一緒のパーティになれば魔王とバレたときも安心かなと思っていたので断る理由はない。
「じゃあ明日にでもギルドに行って申請しちゃいましょうか。リーダーはロイ君でいいわよね?」
「え?」
「え?」
「え?」
ほぼ同時に首をかしげる三人だった。かわいい。じゃなくて。
「……私がやれと?」
「むしろシアさん以外の誰が適任だと?」
「ここには勇者様がいるじゃないの……」
「いえ、本物の死者蘇生ができる聖女様に比べると弱いというか……」
勇者より強い聖女ってなんやねん。と、突っ込もうとするとセイラちゃんがやれやれと肩をすくめた。
「主様は分かっていませんね」
私に仕えると言ったわりには態度が雑じゃない?
「歴史上何人も現れた勇者様と、ほぼ確実に史上初となる死者蘇生ができる主様。どちらが重要かなど考えるまでもないでしょう?」
ゲームなら大抵の聖職者ができたのだけど……。というかロイ君が隣にいるのに勇者を軽んじるような発言もどうかと思うのだけど。いや当の本人は「そうですね!」と納得顔なのがまた。
「あー」
まぁいいか。ロイ君たちはまだまだ成長途中だし、私が引率者を兼ねてリーダーをやってしまえば。
「あまい……闇堕ちしても善人は善人ですか」
訳知り顔をするリリーだった。うっさいわ。




