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残る灯り

――帝国暦三二〇年・冬初め 第七騎士団 本庁・執務室――夜。


 庁舎の灯りは、ほとんど落ちていた。

 ひとつだけ。

 残っている。


 第七騎士団、団長執務室。


 中で、レオンとメリエラが向かい会っていた。

「第六の件、通りました」

 メリエラが言う。

「早いな」

 レオンは書類から目を上げない。

「話が通りやすかったので」

 にこやかに。


「次は第十の再編です」

 紙を差し出す。

「ここを切ります」

 迷いがない。

 レオンが目を通す。

「理由は?」

「重複です」

「維持する意味がありません」


「やれ」

 それだけだった。

「承知しました」

 静かな部屋。

 紙の音だけが続く。


 やがて。

「終わりです」

 メリエラが言う。

「そうか」


 レオンが視線を上げる。

「……明日」

 短く言う。

「屋敷に来い」

 一瞬の間。

「慰労と」

「補佐官としての紹介をする」

 それだけだった。


 メリエラが瞬く。

 次の瞬間。

 ぱっと、明るく笑った。

「よろしいのですか?」

「構わん」

 短い。

「行きます」

 即答だった。

 その笑顔は、少しだけ大きかった。


 ■廊下

 扉の外。

 リリアとエリシアがいた。

 足が止まる。

 今の言葉だけが、はっきりと残る。


「……紹介?」

 リリアが小さく呟く。

 エリシアは何も言わない。

 わずかに視線が揺れる。


「屋敷で、ですか」

 静かに。

 それだけ言う。

 リリアが顔を上げる。

 何か言おうとして。

 言葉が出ない。

 一瞬だけ。

 空気が止まる。


 中から、明るい声が聞こえる。

「久し振りなので、楽しみにしております、レオン様」

 メリエラの声だった。


 リリアが目を伏せる。

 エリシアは、そのまま扉を見る。

 何も言わない。


 ただ、わずかに空気が変わっていた。

 夜は、まだ静かだった。


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