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揺れる距離

――帝国暦三二〇年・冬初め 第七騎士団 本庁・中庭――昼。


 人の少ない時間だった。

 リリアは書類を抱えて歩く。

「落としますよ」

 横から、手が伸びる。

 自然に支えられる。

 顔を上げる。

 メリエラだった。


「ありがとうございます」

 柔らかく笑う。


「……最初」

 メリエラが言う。

「年下かと思いましたか?」

 リリアが瞬く。

 速答

「はい」

 あっさりと。

「小柄でしたので」

 悪びれない。


 メリエラの眉が、わずかに動く。

「そうですか」

 短く。

 ほんの少しだけ。

 不機嫌だった。


 リリアは気づかない。

「でも」

 続ける。

「今は違うと分かります」

 素直に。


 メリエラはそれを見る。

 少しだけ。

 考えるように。

「……でしょうね」

 小さく返す。


 並んで歩く。

 静かだった。

「あなたは」

 メリエラが言う。

「ここにいるべき人です」


「そう、思います」

 リリアは少しだけ驚く。

「……ありがとうございます」

 柔らかく返す。


「でも、そこは、譲れません」

 静かに言う。

 リリアが首を傾げる。

「何を、ですか?」

 メリエラは答えない。

 少しだけ笑う。


 今度は。

 あまり柔らかくなかった。

「いずれ分かります」

 一歩、離れる。

「では」

 去っていく。

 リリアはその背中を見る。

(……なんだろう)

 分からないまま。

 それでも、少しだけ。

 空気が変わった気がした。


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