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姫様不在につき、本庁機能低下(後)――姫様奪還作戦、敵は味方で団長だった

二話完結の挿話後半

 帝国暦三二〇年 初夏

 東ロンバルディア帝国騎士団領

 第七騎士団 本庁夕方。


「戻りました」

 エリシアが報告する。

「早かったな」

 レオンは顔も上げない。

「業務は完了しています」

「そうか」

 それで終わる。


「……で」

 クリスが周囲を見回す。

「もう一人は?」

「……まだ戻っていません」

 空気が変わる。

「遅いな」

「遅いですね」


 ざわり。

 ざわり。

「第十騎士団だろ?」

「はい」

「……戻ってないのか?」

 静かに、熱が上がる。




 帝国暦三二〇年 初夏

 第七騎士団 本庁 大廊下


「……行くぞ」

 エゼルが立つ。

「はい」

 マフガランが頷く。

 背後に、ぞろぞろと人影。

「目的は一つ」

「姫様の奪還」

「異論は?」

「ない!!」

「対象は」

「第十騎士団本庁!!」


「敵は」

 短い沈黙。

「第十騎士団長」

 ざわり。

「どこのどいつだ」

「顔を見てやる」

「覚悟はできてるんだろうな」

 完全に暴走している。


 その頃。

「……待て」

 レオンが立ち上がる。

「やばいな」

 クリスも同時に動く。

「止めるぞ」

「はい」

 二人、即座に廊下へ。

(遅れた)



 帝国暦三二〇年 初夏

 第十騎士団 本庁 前

「返せえええええ!!」

「姫様を返せ!!」

「働かせすぎだ!!」

「搾取だ!!」

「ブラックだ!!」


 門前、大騒ぎ。

「第十騎士団長出てこい!!」

「どこのどいつだ!!」

「顔見せろ!!」


 第十騎士団の騎士たちが困惑する。

「……なんだあれ」

「第七の連中だな」

「何しに来たんだ」


 そのとき。

「何をしている」

 レオンが到着する。


「……団長?」

「団長だな」

「……どっちの?」

 レオンが唖然として。

「どっちもだ」


 混乱。

「え?」

「は?」

「え?」

 三回繰り返される。


 その横で。

 クリスが息を切らしている。

「はあ……はあ……」

「間に合ったか……」

(間に合ってない)


「用件は」

 レオンが淡々と聞く。

 エゼルが一歩出る。

「姫様の奪還です」

 真顔。

「我々の姫様を返してください」

「お前たちのではないが、まだ仕事中だ!」

 当惑しながら答える


「では突入を――」

「するな」

 即止め。

「終わらせて帰す」

「本当ですか」

「本当だ」


 そのとき。

「お待たせしました」

 リリアが出てくる。

 いつも通り。


 だが、その後ろ。

 第十騎士団の騎士、書記官たちが並んでいる。一斉に頭を下げる。

「ありがとうございました!!」

「助かりました!!」

「処理が三日分進みました!!」

 深々と。


 リリアは少し困ったように微笑む。

「いえ、当然のことですので」

 それで、ようやく離れる。

「遅くなりました」

 一言。


(……そっちか)

 全員が理解する。

「姫様!!」

「お迎えに参りました!!」

「戻ります」

「はい!!」


 クリスが呆れながら。

「ほれ解散!!」

「解散!!」

 一瞬で統制が戻る。

(……何だったんだこれ)


 第十騎士団側、呆然。

 レオンは額を押さえる。

 クリスは壁にもたれる。

「……疲れた」




 帝国暦三二〇年 初夏

 第七騎士団 本庁


「戻りました」

 リリアが微笑む。

「遅かったな」

 レオン。

「申し訳ありません」

「問題ない」

 それで終わる。

 その横で、クリスがぽつり。

「……エリシアは普通に帰ってきたのにな」


「副官殿は」

「大丈夫です」

「何が」

「副官殿は副官殿ですので」

「だから何だよ」

 誰も答えない。

 第七騎士団は、

 今日も騒がしかった。


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