表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
139/154

少し楽になった

――帝国暦三二一年・夏終盤 東ロンバルディア帝国騎士団領 第七騎士団 本庁――


 静かだった。

 いや、正確には前より静かだった。

「……終わってます」

 エリシアが小さく呟く。


 目の前。

 本来山積みになっているはずの書類が。

 減っていた、かなり。


 レオンも止まる。

「……本当だな」

 少し驚いていた。


 ■第七騎士団 本庁・事務室

 原因は分かりやすかった。


「リリアさん、こちら終わりました」

 ココだった。

 静かに書類整理を終わらせていく。

 処理速度が速い。

 かなり有能だった。

「ありがとうございます、ココさん」

 リリアが笑う。


 ココが少し止まる。

「……いえ」

「リリアさんの負担が減るなら」

 かなり本気だった。


 その横。

「補給も必要です……」

 フィアナが来る。

「今日は私が補給担当です」

「休憩を挟みましょう」

 ココが静かに返す。

「……交代制にしますか」

「それ、合理的です……」

 何かが決まった。


 リリアだけが困っていた。

「え、えっと……?」


 一方では。

「終わったぞ!! ガハハ!!」

 ニルだった。

 大量の書類箱を抱えている。

 力仕事だけ異常に早かった。


「ニル」

 エリシアが静かに呼ぶ。

「順番が逆です」

 一瞬でニルが止まる。


「……おお」

 書類番号が全部ずれていた。

「すまん!!」

 だが声は大きかった。

 エリシアが静かに睨む。

 ヴァルトが頭を押さえる。

 最近よく見る光景だった。


 ■第七騎士団 本庁・執務室

 クリスが書類棚を見る。

「お前、今日余裕あるな」


 レオンは少し考える。

「……少し減った」

 低い声だった。

 それは、最近ではかなり珍しい言葉だった。

「へぇ」

 クリスが少し笑う。

「ちゃんと増員だったんだな」

「そうらしい」

 レオンは資料を見る。


 終わっている。

 相談案件も。

 確認書類も。

 前より確実に減っていた。


 レオンは窓の外を見る。

 まだ明るい。

「……明るいな」

「まだ夕方だからな」

 クリスが呆れる。

「最近あんな時間まで仕事をしていた、お前がおかしいんだよ」

 少しだけ空気が軽かった。


 ■東ロンバルディア帝国騎士団領 ヴァイス邸

 その日。

 レオンは久しぶりに屋敷へ戻った。

 かなり久しぶりだった。

 静かな玄関、扉を開ける。

 一瞬。

 見慣れない若い家人が止まる。

 そして。

「……どなたでしょうか?」

 沈黙。

 かなりの時間。


 レオンは少し考え。

「……レオンハルト・ヴァイスだ」

 淡々と名乗った。

 家人の顔色が変わる。

「し、失礼しました!!」

 かなり青ざめていた。

 その直後。

「お兄様!?」

 リリアが奥から出てくる。

「帰ってたんですか!?」


 レオンが止まる。

「……帰ってきた」

「久しぶりです!!」

 かなり嬉しそうだった。


 その後ろ。

 一緒に来たクリスが小さく笑う。

「だから帰れって言ったんだよ……」

 レオンは少しだけ目を閉じる。

 騒がしかった。


 でも、少しだけ悪くなかった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ