表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
127/154

共同運用、開始です

――帝国暦三二一年・夏中頃 東ロンバルディア帝国騎士団領 第七騎士団 本庁――

 

騒がしかった。

 いつもより、かなり。

「狭いですね……」

 フィアナが小さく呟く。


「増えたからな」

 クリスが遠い目をする。

 

 第十二騎士団、新設直後。

 当然、庁舎はまだ完成していなかった。

 結果、第七騎士団本庁。

 共同運用。

 かなり人口密度が増えていた。


■第七騎士団 本庁・事務室

「こちら、第十二用です」

 フィアナが書類棚を整理していく。

 動きは早い。

 かなり有能だった。

 だが。

「……リリアさん」

 

 リリアが止まる。

「はい?」

「少し休憩しませんか?」

 真顔だった。

「え、まだ午前ですよ?」

「補給は重要です……」

 意味が分からなかった。

 

「カイル副官」

 エリシアが静かに呼ぶ。

「書類提出順が逆です」

 一瞬、カイルが止まる。

「も、申し訳ありません!!」

 かなり勢いよく頭を下げる。


 そして。

「ありがとうございます……!!」

 嬉しそうだった。

 エリシアが少し黙る。

 最近、彼に怒りづらかった。


■第七騎士団 本庁・執務室

 レオンは資料を見ていた。

「……増えたな」

「増やしたんだよお前が」

 クリスが即答する。

 執務室内。

 第七。

 第十二。

 書類量も、人も増えていた。

 だが、以前ほど混乱していない。

 

 レオンが少し止まる。

「……回っているな」

「まあな」

 クリスは棚を見る。

「フィアナがだいぶ処理してる」

「カイルも、まあ……」

 

 遠く。

「申し訳ありません!!」

「ありがとうございます!!」

 また聞こえた。

「……独特だが」

 クリスが苦笑する。


■第七騎士団 本庁・廊下

 リリアは資料を運んでいた。

 その後ろ。

 フィアナが付いてくる。

「……重くないですか?」

「大丈夫ですよ?」

「持ちます……」

「だ、大丈夫ですって」

 少し押し問答になる。

 

 これを親衛隊達が静かに見ていた。

「姫様がお困りだ」

「だが悪意はない」

「難しい……」

 かなり真面目に悩んでいた。


■第七騎士団 本庁・食堂

 昼。

 人数が増えた分。

 食堂も騒がしい。

「第十二って、まだできたばっかなんだろ?」

 クリスが聞く。

 カイルは頷く。

「は、はい……」

「まだ慣れなくて……」


 エリシアが静かに言う。

「慣れてください」

「はい!!」

「ありがとうございます!!」

 やはり嬉しそうだった。


 クリスが小さく呟く。

「その反応、未だに慣れねぇ……」

 

一方、フィアナはリリアを見ていた。

 かなり見ていた。

「……リリアさん」

「はい?」

「補給、足りてますか?」

「た、多分……?」

 かなり曖昧だった。


■第七騎士団 本庁・夕方

 仕事終わり。

 レオンは窓の外を見る。

 建設途中の少し遠い第十二庁舎。

 少しずつ形になっているようだった。


「完成したら静かになるか?」

 一瞬、クリスが少し考える。

「……どうだろうな」

 その直後。

「リリアさん、補給を」

「少しだけお世話を……」

 騒がしかった。


 かなり、クリスが遠い目をする。

「無理かもしれん」

 レオンは少しだけ目を閉じる。

 頭は痛かった。

 

 だが、以前より。

 少しだけ空気は柔らかかった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ