だいぶ個性的でした
――帝国暦三二一年・夏初め 東ロンバルディア帝国騎士団領 第七騎士団 本庁――
第十二騎士団所属者への説明会が開かれていた。
新設騎士団。
当然ながら、説明事項は多い。
前に立つのはエリシア。
いつも通り隙がない。
「第十二騎士団本部は現在建設中です」
静かな声が響く。
「ですが」
「完成後も、基本業務は第七騎士団本庁を共同使用します」
一瞬。
新任がざわつく。
「共同……?」
「はい」
エリシアは頷く。
「執務室、書庫、会議室なども共有です」
「つまり」
「団長は、基本ここにいます」
全員の視線がレオンへ向く。
レオンは死んだ目をしていた。
すでに疲れていた。
■第七騎士団 本庁・会議室
説明後。
紹介が始まる。
「第十二騎士団副官」
「カイル・レヴェルトです!!」
勢いよく立ち上がる。
「未熟者ですが!!」
「どうか厳しくご指導ください!!」
声が大きい。
周囲は少し驚く。
さらに。
「書記官、フィアナ・ルークスです」
フィアナが静かに頭を下げる。
「よろしくお願いします」
一瞬、まともそうだった。
だが、その直後。
フィアナの視線がリリアで止まる。
「……今日も可愛いですね」
抱きついた。
「ふわふわです……」
幸せそうだった。
リリアは困ったように笑う。
「ふ、フィアナさん?」
少しだけ困っている。
だが拒否はしない。
一方で。
「離れてください」
メリーは真顔だった。
「近いです」
「冷たいですね……」
フィアナは少し悲しそうだった。
新任たちをみて静かに思う。
(個性的ですね……)
(かなり……)
その時。
「なお」
エリシアが話を戻す。
「慣れるまでは、指導係をつけます」
「フィアナさんは、リリアさん」
「はい?」
リリアが止まる。
「わ、私ですか?」
「問題ありますか」
「い、いえ……!」
リリアは慌てて首を振る。
フィアナは嬉しそうだった。
「ありがとうございます……」
もう抱きつきそうだった。
少し危なかった。
「そして」
「カイルさんは——」
エリシアが言いかける。
その瞬間。
「ぜひお願いします!!」
カイルが勢いよく頭を下げた。
「エリシア副官殿にご指導いただけるなど光栄です!!」
一瞬、空気が止まる。
珍しかった。
エリシアが。
嫌そうな顔をした。
「……嫌です」
即答だった。
会議室が静まる。
クリスが吹き出しかける。
レオンも少し驚いていた。
カイルは止まる。
だが、数秒後。
「ありがとうございます!!」
嬉しそうだった。
悪化した。
エリシアが眉を押さえる。
「なぜ喜ぶのですか……」
珍しく、本気で困っていた。
■第七騎士団 本庁・廊下
その後。
ヴァルトが小さく笑っていた。
「面白いな」
エリシアは真顔だった。
「全く面白くありません」
「なら決まりだ」
静かに言う。
「カイルはヴァルトが見る」
カイルが目を輝かせる。
「ありがとうございます!!」
ヴァルトは少し笑う。
「礼を言われるとはな」
エリシアは小さく息を吐いた。
珍しく、本当に安心した顔だった。
……新設第十二騎士団は、前途多難だった。




