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信じる理由

――帝国暦三二一年・春終盤 東ロンバルディア帝国騎士団領 第七騎士団 本庁 執務室――


「……クリスが来ていません」

 メリーの声。

 レオンは書類から目を上げない。

「理由は」

「不明です」


「……官憲から連絡が入っております」

「クリスさんが、拘束されたとのことです」


「痴漢の疑い、とのこと」

 リリアが目を丸くする。

「えっ……?」


 メリーは小さく言う。

「……あの人なら、あり得なくはありませんが」

「そんな……」

 リリアは首を振る。


 しばらくして。

 扉が開く。

「……悪い、遅れた」

 クリスだった。

「どういうことだ」

 レオン。


「冤罪だ」

 即答。

「やってねえ!」


 静かな沈黙。

 誰も頷かない。


「そんなこと、ありません」

 リリアだった。

「クリスさんがそんなことするはずありません」

「だって」

「シエラさんがいるのに、そんなことするわけありません」

 一瞬の静寂。

 クリスがわずかに止まる。

「……ああ」

「まあ、そうだな」

 乗った。


 ――数分後。

 シエラが来た。

「……何ですか」

 クリスは廊下に呼び出し、頭を下げる。

「頼む」

「擁護してくれ」


「……理由を」

「痴漢の冤罪だ」

「今はお前の言葉が必要なんだ」

 シエラは黙る。


「……条件があります」

「内容は」

「今回の件が収まった後」

「私の両親にお会いください」

 一瞬の沈黙。

「……は?」

「正式な場です」

「逃げずに」


 クリスは目を閉じる。

「……分かった」

「約束する」

 シエラはニコリと頷く。

 執務室に戻る。

「問題ありません」

 シエラが言う。

「彼はそのようなことをする人物ではありません」


 空気が変わる。

 ミナが頷く。

「……シエラが言うなら」

 ヴァルトが小さく息を吐く。

 エリシアは一瞬だけクリスを見る。

 そして、視線を戻す。


 疑いは、消えた。

 クリスは、それを見ている。

 わずかに息を吐く。

「……俺の信用って」

「……俺助かったはずなんだがな」


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