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## 彼が聞くと、彼女は黄昏のように笑って言った。
ある日の昼休み。
俺が弁当を食べようと教室を出ると、本多さんが待ち構えていた。
「……え、どうしたの」
「お弁当、一緒に食べよう!」
「……」
え?
「……はい?」
……どうしてこうなったんだろう。
今俺は、誰もいない屋上で——
本多さんと顔を突き合わせ、弁当を食べている。
「どうしたの、橘山くん。どうしてこうなったんだろうって顔して」
「……すごいね本多さん、その通りだよ」
俺がため息交じりにそう言うと、本多さんはころころと鈴を転がすように笑った。……笑いごとじゃないんだけど……。
「ねぇ、なんで俺は本多さんと弁当食べてんの?」
俺が真剣に聞くと、本多さんはぽかんとして、ついでぶはっと噴き出した。
「笑いごとじゃないんだけど」
「ふっ、あははははっ……!」
「だから」
それからしきりに笑い続けて、本多さんは口を開く。
「橘山くんってさ、まだ公園通ってる?」
「え、通ってる、けど……」
「じゃあさ」
本多さんは、そして。
黄昏のような、美しい笑顔を浮かべて。
しゃらり、鈴のような清らかな声を奏でた。
「——これから、一緒に公園通わない?」
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