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[二部九章]自覚するこころ

前話の続きです。


『どうやって話したらいいのかな。‥‥‥‥あのね、ちょっと最近こう、一緒に行動する異性が現れてね。で、‥‥‥‥‥‥なんだか恥ずかしいけれど、こう、すき、って言われて。私は、その時はあんまり本気にしてなかったというか‥‥‥‥だから、割と適当に答えちゃったんだけど。』


「ふんふん。もしかして、一緒に行動するにつれて、惚れちゃった?」


‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥急になんてことを言うのだろうか。

いや、違う、違うくない。そう、そこを相談しに来たんだ。相談しに来たん、だけど、


『ま、まだそうか分からなくって。だけどこう、従者に聞くのも聞きづらくって‥‥‥』


「あー、内亜さんは聞きにくいだろうし、その、ノワール?さんも聞く感じそういった心の機微については詳しくなさそうだもんねぇ。‥‥‥‥‥それで?」


それで、とは。

回答に困って固まっていると、シェリーがクスクス笑って助け舟を出してくれた。


「その人の事。考えるとどんな感じになるの?ほら、心がポカポカするとか。」


『それは、確かにある‥‥‥‥』


「じゃあそのぽかぽかは、他の異性や同性には感じない?」


『ん。』


「ふふ、じゃあ、ちょっと想像してみてほしいんだけど。その人が葵以外の、他の異性と一緒にいたらどう思う?」


なんだろう。先ず以て想像がつかない。想像がつかないけれど。


『‥‥‥‥‥‥‥ちょっと、もやっとするかもしれない。』


「触れられるとこのあたりきゅうってなる?」


そう言いながら、つん、と私の胸のあたりを示すシェリー。

なんだろうか。背負っている責任の重さもあるんだろうけれど、彼女は前回会った時よりも大分大人びたように感じる。


『‥‥‥‥‥‥‥、なる。けど、ちょっと恥ずかしくってむずむずする。』


「じゃあ、葵が思った想いがそうなんじゃない?」


『え、そうって?』


「だから‥‥‥‥‥んんー、ま、いいか。その相手のこと考えると、きゅうってするんでしょう?それは、その人の事が好き、以外にはありえないと思うなぁ。‥‥‥‥‥葵は、なんだろう。確信が欲しくって私に話をする機会をうかがってたみたいな言い方してたから。‥‥‥‥どう?あってる?」


‥‥‥‥‥‥言われてみれば、確かにそうだ。私は、すごくこう、文人の事を考えるだけで、シェリーに示された、胸のあたりがきゅうってする。苦しくなる。


『文人の事、すき、なのかな。』


言葉に出してみる。‥‥‥‥‥‥不思議と、その言葉はしっくりときた。とても。


「うん。そうじゃなかったら、そんな可愛い顔しないと思うなぁ。」


頬杖を突きながら、私を見つめるシェリー。

慌ててカバンの中から鏡を取り出す。‥‥‥‥‥‥私は、実のところあまり自分を鏡で見るのが好きじゃなくって、自分を見る使い方をするのは凄く珍しい事なんだけれど。

映した自分の表情は、頬が桜色に染まっていて、なんだろう。表現しがたいけれど、とても、とても見慣れた‥‥‥‥‥‥


(あぁ、そうか。)


すとん、と気持ちが心に落ちる。

文人が、私にする表情と、よく似ている。


(すきなんだ。文人の事。)


「ん?分かったみたいな顔してるね。‥‥‥‥‥ふふ、どんなところが好ましいのか教えてほしいな?よかったらでいいんだけど。」


そう言われて、少し文人の事を考える。


『私の事、異形だって分かってても、怪我をしたり、無茶したら、ちゃんと怒って、悔しんでくれる。‥‥‥‥‥文人は、悪くないのに。それに、これは、どうなのか分からないけれど。』


少しだけ考えてから、口に出す。


『撫でられると、ほっとして、もっとしてほしいなって、なる。』


瞳を閉じて、髪を撫でられるあの瞬間を思い出す。‥‥‥‥それだけで、こころがほわほわする。


「‥‥‥‥‥‥そんなに好きなんだ。ふふ、葵、今すっごく可愛い顔してた。」


そうニコニコされてもちょっと困る。

その感情が表に出ていたのか、シェリーはくすくす笑うと私の手をぎゅっと握ってきた。


「お互い、がんばろうね。恋も、それ以外も。葵と私は、時の歩み方が違うけれど。少しだけ、追いつけるように、私も駆け足で進まないといけないときもあるから。」


‥‥‥‥‥‥シェリーの言葉の後半は分からなかった。きっと、自分に向けた言葉だっただろうから。でも。


『そうだね。がんばらないと。』


ふわりと笑みが零れる。こころが温かくなって、なんだかゆっくりと時間が流れてゆくような気がした。


「で、いつ告白するの?」


『こくは、っ!?!!?!?』


シェリーのこの問いを聞くまでは。

こくはく、こくはく。‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥え?


「あはは、まっさか葵のそんな表情見ることになるとは思ってなかった!けど、うん。告白はするんでしょ?しないんなら、ちょっともったいないんじゃない?折角自覚したんなら、早い方がいいし。」


そうニコニコ笑顔で言われても、困る。非常に困る。


『あ、あの、シェリーはどうやって言ったの?』


必死に私自身の事から目をそむけたくって聞いてみる。


「私はねー、只管本気だって認めてヴァイスが折れるまで粘ったー。」


‥‥‥‥‥つ、つよい。


『シェリー、すごいね‥‥‥‥‥』


「えっへへー、んじゃ、葵がどうやったら告白できるか、二人で考えよっかぁ。」


『え、それはさすがに、』


「いーのいーの。ほらほら。もっと恋バナしよ、恋バナ!!」


ぐいぐいと来るシェリー。‥‥‥‥‥誰かちょっと助けが欲しくなってきた。





恋バナ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥いや、縁がないわけじゃないんですけど学生時代どうだったっけなぁ‥‥‥‥‥

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