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[二部九章]普段怒らない人が怒るのって‥‥‥‥

タイトル通りな日が続きます。


まず、懇々と数時間にわたってお説教をされた。ベッドに寝かしつけられたうえで。

それからさらに未希姉には泣かれ、説教をされ、要にも説教をされた。


『もーーーーーーお説教はこりごりなんですけど。』


「そうは言っても今回は君が悪いよね、葵。ちゃんとわかってる?」


ベッドから体を起こして話を聞いていると、文人が少々厳しい口調で語りかけてくる。


『分かってるってば‥‥‥‥‥でも仕方ないじゃん!!助けを求めるような目をされたらついやっちゃうんだもん!!』


「あーおーいー?」


にっこりと微笑まれる。その笑顔が私は怖いよ。


『うぅ‥‥‥‥分かってる、ちゃんとわかってるよ。途中痛覚切ったのを忘れてたのは悪かったと思ってる。』


「何。そんなことしてたの?」


『あ。』


そしてそこからさらに数時間。


もう、耳にタコとかそんなこと言ってられない。耳がジーンとする。痛い。


『分かった、分かったよ‥‥‥‥ちゃんとする、ちゃんとするからぁ‥‥‥』


「何を?」


『無謀なことしない。無茶も、怪我も、なるべくしない。』


「なるべく?」


『‥‥‥‥‥‥しないとは言い切れないんだもん!』


どうしても、何かを守ろうとすれば争いが大体起きるし、起きた争いには何故か巻き込まれるから、どうあがいたって小さな傷の一つや二つできるものだ。仕方ないと言わせてほしい。


「それでも。好きな女の子が怪我するとこをなんか見たくないし、怪我をするにしても毎回のようにこんなぼろぼろになってたら世話ないでしょ。」


‥‥‥‥‥ぐぅの根も出ないとはこういう事か。


『分かった。確約はできないけど。ちゃんと心にはとどめておくし、何か危ないことだって分かっててやる時には報告するなり、その手段じゃない手段を探すなりする。』


諸手をあげて降参する。

流石にここまで言われて強情を張るほど私はバカじゃない。


「うーん‥‥‥本当なら全力回避を約束してほしいくらいだけれど仕方ないか‥‥‥」


『それは、うん。そうしろと言われたらやれないでもないけど、そんなことしてたら救えない人たちがたくさん増えていっちゃうから。私がやりたいことできなくなっちゃう。』


そう言うと、苦笑して頭を撫でてくる文人。


「葵らしくないのはダメだね。確かに。」


『でしょ?』


そう言って少しだけ髪を撫でるその手の暖かさを堪能する。

‥‥‥‥‥‥いつの間にか、こうやって触れることを許しているけれど、今まではこんな風に他者に身体を触れさせるなんてこと、それこそ髪の毛の一本でも許したことは無かったかもしれない。

いや、シェリーとか、女の子の友達、友情での握手などはしてきたと思う。

けど、こう、なんといっていいのか分からないけれど。

こうやって、壊れ物を扱う様に、大事そうに触れられるのは、文人が初めてなのかもしれない。

内亜から撫でられるのとも、ちょっと違う気がするから。

それを、彼に話したらなんて返ってくるんだろうか。

そう思って彼の顔を見ると、こてんと小首をかしげて、楽しそうに微笑む文人。

‥‥‥‥‥ちょっと、狡いと思うのは私だけだろうか。


『なんで、撫でるの?』


そう問いかけてみると、ふと撫でる手を止める文人。


「嫌?」


『‥‥‥‥‥そうじゃない。どうして、って聞いたのは私の方。』


「ふふ。騙されてはくれないか。‥‥‥‥愛おしいから、かなぁ。まだ、撫でてていい?」


黙って大人しくしていると、肯定と受け取ったのか、また頭を撫でてくる文人。


「文句は言わないんだ?」


『‥‥‥‥‥不快じゃないから。』


そうとだけ答えて、後は好きにしてという様に大人しくベッドに寝転がる。


「そっか。‥‥‥‥今は、それだけで十分なのかもね。葵、初めて会った頃よりも大分表情豊かになった。楽しい?」


そう言われて、そう言えば、と自身の事に思いを馳せる。

何百年とかけて積み上げ、形成してきた記憶と感情。

それを、一部とはいえ決して少なくない量ティナに渡してしまったのだ。

普通、もっと大変な事のはずだ。

だって、たとえ渡した部分が一割だったとしても数十年分。

でも、文人と過ごしてゆくことで、僅か数か月で感情が戻りつつある。

何なら、あの時よりも感情豊かになったんじゃないだろうか。

だって、少なくとも昔の私なら、文人が何でここまで怒るのか分からなかったはずだから。


『‥‥‥‥‥楽しい。』


そう答えることができるのも、文人のおかげだと分かる。


「そっか。」


そう言って微笑む彼の表情を見ると感じる、この心のあたりの暖かさは何だろうか。

それは、なんとなくだけれど誰にも聞きたくなくって。私だけの中で解決したくって。

でも、誰かに話したいような気がして。


(‥‥‥‥‥あ、そうだ。)


一人、そういうことを相談できるかもしれない人物を思いつく。

でも、まぁ。


(一人の時に、ちょっと出かけるついでに行こう。直接話したいし。)


そう思ったから、まだこの気持ちは隠しておこう。‥‥‥‥隠せているかは分からないけれど。

そう思っていると、コンコン、と部屋をノックする音が響いた。


「誰だろ。はぁーい?葵なら起きてるけど。」


「未希だよー、ちょっといいかな。」


文人と顔を見合わせて、二人して首をかしげてからこくりと頷いた。

一体、何の用事だろうか。




|д゜)

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