[二部九章]魔力に触れる。
状況説明等の解説回です。
「さて、このつついたところから勢いよく水が溢れるのが普通、そして、魔術も同じく、扱おうとすると同じように、その人当人が持つ魔力の総量によって調節しやすい出力があるんだよね。」
『‥‥‥‥‥‥総量‥‥‥』
「例えばだけど、私は天使とかそう言った治癒系統の力を持っていてね。魔力の総量自体はそこまで多くは無いんだ。だから、細々とした力を使って治癒に当てているわけなんだけど。」
葵のお姉さんだと聞いた時から人間じゃないんだろうなとは思っていたけれど、まさか天使だとは思いもよらなくって、つい要兄の方を見る。すると驚くことに少々不機嫌そうな顔をした要兄がそこにはいた。
「おい未希。文人にはすぐに説明するのか?」
「だって彼はもうこちらに足突っ込んでるからね。むしろ知らない方が危ないんだよ。要君もこれからちゃんと教えるから安心してね」
なんとなく、距離感が近い気がする。
ふと、いいなぁ、という感想が零れる。
「さて、話を戻そう。普通なら勢いよく噴出する魔力を、葵ちゃんは魔力の総量全部を制御することで出力の蛇口を作って操作してるんだよね。でもこれって、噴出しようとする魔力たちを無理やり抑え込まないといけないからめちゃくちゃ大変なんだ。それをしれっとやってのけるのが葵ちゃんの凄いところ。そして、そのやり方のまま文人君に害が出ない程度に抑えた魔力を流し込んで修行というか、魔力の流れを感じててもらったと思うんだよね。」
『‥‥‥‥‥‥それってつまり、僕は結構スパルタ指導されてたって事?』
「うん。基礎すっ飛ばして応用超えてプロの領域教え込まれてるね。だから、葵ちゃんの壊れかけた蛇口を抑え込むような形で君が魔力を流し込んでくれていたから葵ちゃんはまだ今目を覚まさないだけで済んだ。けど、君の咄嗟の処置が無かったら、葵ちゃんの制御を失った魔力が暴発してドカン、なんてこともあったかもね。」
‥‥‥‥‥‥すごく普通の顔をして話しているけれど、結構危なかったんじゃなかろうか、それ。
「まぁ、結果オーライオーライ。ありがとう。本当に。」
そう言って頭を下げられて、ちょっと困惑する。
僕は“こう”なる前に守れなかったことを後悔しかけていたのに、そんな風に言われたらちょっと納得するしかなくなるじゃないか。
『えっと、どういたしまして‥‥‥‥‥‥?』
「うん。それで、魔力についての説明はとりあえずこんなところかな。あとは、現場で何が起きたかについて聞きたいんだけれど、わかる範囲で良いから教えてくれないかな。」
そう言われて、気持ちが引き締まる。
あまり、思い出したくはない。白と空色が似合う彼女についての記憶が、あの時の事を思い出すと深紅に染まってしまいそうになる。
けれど、こういうことは分かるなら言わなくても済むかもしれないけれど、分からないのだから専門家であるだろう彼女の姉に任せるのが正解だと判断して、ゆっくりと状況を思い出しながら説明をする。
『‥‥‥‥それで、彼に話しかけた瞬間、触手みたいなのが見えた気がしたんだよね。こう、ちょっと透明っぽかったから見間違いかもしれないけど‥‥‥‥それで、それが見えたと思った瞬間に葵が倒れて、駆け寄って‥‥‥‥今に至る、かな。』
言い終わってから、未希さんの反応を見る。
難しそうな顔をして、僕の方を向いて問いかけてきた。
「ねぇ、葵ちゃん、何か言ってなかった?」
『途切れ途切れだったけど、それでも良ければ。多分、“アザトース”、って言ったと思う。』
「うん、なら確定だ。刺客だね。」
刺客。一体どうして、と問いかけようとして、彼女の方を見ると、ふわり、と何か目に見えないものが葵にかけられたような気がした。
「おい未希。今なんかしたか?」
要兄が先に問いかけたので、黙ってその答えを待つ。すると、未希さんはにっこりと微笑んで言った。
『ちょっとした目くらましってところかな。要君も、この間私の部屋の本来の姿見せたから多少は魔力を感じることができるようになったみたいだね、上々。さてと、じゃあ二人にはこれを渡しておこう。』
そう言って懐をごそごそと探る未希さん。一体何が出てくるんだろうかと思ってみていると、ペンダントのようなものが二つ出てきた。それを僕と要兄にそれぞれ渡す未希さん。
「これが護身用お手軽魔術封印アイテム!名前はねー、えっと」
「今から考えるならいらないぞ。んでこれの説明をしろ。」
「いけずぅ‥‥‥‥‥‥とりあえず二人とも、そのペンダントに刻印されている文様を見てほしいんだけど。」
ふたりとも同時に刻印された文様を確認する。
『星の中に、瞳?』
「うん、そう。“エルダーサイン”って言って、クトゥルフ神話においての魔除けとされる文様だよ。まぁ、神格には通用しないんだけど、その刺客になら多少ひるませるのに使えるだろうからね、持っておいてほしいんだ。」
「何でその刺客とやらには通用しないのか、何故俺たちに渡すのか確認してもいいか?」
鋭い視線を送りつつ未希さんを見つめる要兄。
けれど未希さんは特に怯むこともなく頷いた。
「はいはーい。それじゃあその説明に移ろうか。」
そう言えば、ユニークアクセス数が1900人を突破しました!!すごい‥‥‥‥‥
ブックマーク登録してくださった方もまた増えたみたいなのでうれしや‥‥‥‥
やー、一応毎日どんな感じで皆さん読んでるのかなーって確認はするんですけど、多い日はついにやけますね。すみません。いつもありがとうございます。
さてこれからも頑張ります!見逃さなければ2000人突破お祝い幕間書きたいんですけど‥‥‥‥誰を登場させてほしいとかあったら教えてくださいね。Twitterでも感想欄でもどちらでも歓迎です。




