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[二部八章]呑まれた呼吸

キャーキャー言いながら書いてます。楽しいですね(JKのノリ


『顔、顔。確かに要君の顔立ちは整ってると思うよ、私でもかっこいいと思うし。けどなんていうかこう、深夜までちゃんと病院の事やってたりとかお父さんの代からずっと小さいころから学校はちょっとさぼってたかもだけど勉強はしっかりしてきてたし、努力家なのが要君の凄いところだと思うんだよ。真夜中までちっちゃいころから医学書呼んでる中学生とか普通いないし。

まぁ、なにがいいたいのかわかんなくなってきちゃったけど、こう、要君は凄いって言うことかな。私も尊敬するよ。』


「‥‥‥‥‥そう言うとこまで見たうえで俺の事を評価してくれる人間ってのは案外少ないもんでな。それこそお前が言う通り幼少からやってきたことを知ってる存在に救われてここまで来れたってのはそりゃ惚れる要因にもなるだろ。」


少し、寂しげな声に聞こえた。

だから私は作業の手を止めて、ぽすりと要君の腕の中に納まってみる。


『それはそうかもしれないけど。でも、私だけじゃないよ、見てくれてる人。要君が頑張ってる姿を一番見てるのは確かに私だろうけど、私だけじゃない。お父さんだって、要君がちっちゃいころから頑張ってるのを知ってるからこんな若くってもこんなに大きな病院の院長を任せてるんだろうし。でもさ、それってつまり私が一番知ってる、ってだけで、それだけで要君に好き、って言われるのはちょっと不思議な感じがするなぁ。』


そう言いながら彼の体温を感じる。

少し、抱きしめる力がまた強くなった気がする。


「その辺の女よりかはよっぽど好きだ。」


『あはは~‥‥‥‥なんか要君の一面しか見てない子達と比べられると急に分からなくなるなぁ。』


「‥‥‥‥っはは、そりゃそうだ。」


ケラケラと笑いつつも、要君は私をぎゅっと抱きしめたまま離さない。

その状態が心地よいと、少しでも思ってしまうのはいけないことなんだろうか。


『‥‥‥‥あはは。要君の好き、が、本当にLoveの方ならちょっと嬉しいなぁ。‥‥‥‥夢、見てないわけでもないし。』


そう呟きつつ、私はそのままの体制を受け入れて作業を続ける。

うん。本当にLoveの方だったらすごくうれしい。だって、私だって異形で天使だとは言え、女の子でもあるし感情だってある。

恋とか、愛とか。分からないけれど、そう言ったものに対するあこがれ位はその辺の女の子と同じくらいには抱いたりすることだってある。

私の場合、存在が存在だから難しいだけであって。


「今は?」


そう問いかけられて、少し考える。

今の私がそう言った色恋沙汰に対してどう思っているか。‥‥‥‥なんとなく誤魔化したくなくて、素直に答える。


『今は、そうだなぁ。葵ちゃんの事で忙しいけど、それもどうにかなる目処自体は立ってるし。恋人、とか、そういう物自体に憧れ位はあるかな。‥‥‥‥難しいものだとは、分かってるけど。』


段々と、手先に意識が集中してきて何を言っているのか分からなくなってきた。

あぁ、でもそうだ。


(こうやって、誰かに抱きしめられる温かさを知ったら、それが無くなったとき、ちょっと寂しくなるのかもしれない。)


「ふーん。‥‥‥‥‥初めに戻るが、本気で好きだって言ったら?」


本気で、か。

もしも。もしも、要君が何の他意もなく私の事を好きって言ってくれているとしたらそれは


『ふふ、うれしいなぁ。すごく。』


「‥‥‥‥‥好きだって、だから言ってるんだけどな。」


頬をふにっとつつかれて、そのまま彼を見上げる。

どこか、熱を感じる視線で私を見る要君。

‥‥‥‥いつの間に、こんなに大人になってかっこよくなったんだか。

それに、身長もいつの間にかとっくに抜かされているし。


『まったく。いつの間にこんなに身長伸びたのやら。』


「だいぶ前からだな。未希はちびっこいし。」


『もう。天使様にひどいこと言うなぁ~、要君は‥‥‥‥、ぁ。』


咄嗟に口元を押さえるがもう遅い。


「天使様?」


『‥‥‥‥‥比喩表現だよほら、天使みたいにちっちゃくってかわいいってこと。』


嘘がつくのが下手糞だなと彼の目が言っている。分かってるよそんなの!!でも仕方ないじゃないか。天使は基本嘘がつけない存在なんだから。


「誤魔化しても無駄だが?」


『やー、知らないったら知らない。知ってたとしても教えるものじゃないなー。と言う訳で解散、ほら帰った帰った。』


そう言って腕の中から抜け出そうにもしっかりと拘束されていて抜け出せない。


「言わないと力技で聞きだすぞ。」


『やれるもんならやってみなよあはは、』


ふ、と。彼の瞳が間近に迫った。

呼吸をしようとしたのに、その呼吸が呑み込まれる。

事態を把握するのに数秒かかった。

柔らかなもので口を塞がれていて、でも要君の手は私を抱きしめるのに使われていて、それ以外に柔らかいものなんて

そこまで考えるので精いっぱいだった。


『ん、ぅ』


自分から漏れた吐息が恥ずかしい。

抵抗しようとする前にその柔らかなものは離れていって、自分の呼吸が乱れているのだけが分かった。


「ほら、早く作業に戻れ。」


私を混乱させた犯人はしれっとした顔で私の手元を見つめる。

全く、困ったものだと手元に集中しようとして、気が付いた。


(あれ、力はいらない。)


『‥‥‥‥‥ばか』


精一杯の罵倒をして、作業を続けようとするのに。

先の熱が引かないから、集中ができないじゃないか。





基本、天音三姉妹が出てくる話がメインストーリー、それ以外がサブストーリー的な感じで進めてるのですが、真っ先に一歩進むのが要さんだったのはちょっと水紫も意外でした。

次辺りで勝手に要さん視点でも書こうかなぁ。

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