[二部八章]そういうとこだぞ!!
ちょっと甘酸っぱい話になります。ホントそう言うとこだぞ!!ってRPでも言ってました。
全く油断も隙もあったものじゃない。
その気になったらこの小さかったはずの青年は私を抱えて部屋の中を自由に物色できてしまうのだ。
流石に魔術をかけてそれと見え無くしているものも多いけれど、中には危険なものだってもちろん存在はする。
だからなるべく漁ってほしくな——————————
「未希、これなんだ。」
『それは標本!触らない!見ない!後出て行く!!』
手に取ったアイテムが危険なものじゃないか確認しながらになるからどうしても気が散る。
あー、こんなことなら座ったままちょっと背伸びするだけで届く位置に異形関連物おいておくんじゃなかった。正直本気で後悔し始めている。
天使としての特性が強いとはいえ、私は魔術師としてならそこそこの実力も持ち合わせている。まぁ、普段使いできるようなものばっかりで、攻撃系統の魔術はほとんど使えないんだけど。
でも、まぁ、うん。偽装の魔術の一つや二つ使うくらいなら全く問題ないし、むしろそうしておかないと万が一こういう風に強引に入ってこられたときに対応ができなくなってしまう。
異形として存在して、葵ちゃん関連の事を最近は特に調べているけれど、如何せんあの子の中身はごちゃごちゃしすぎて、ありとあらゆる神話や都市伝説から何がどの特性を持ち、あの子にとってどんな影響を及ぼすのかを調べるためには工房とも呼ぶべき場所はどうしても必要となってくる。
けれど、こんな風に日常的に部屋に入り込まれると、どうしてもやれるはず、やれたはずのものができなくてもどかしい。
(‥‥‥‥‥いい加減、私の外見年齢が変わらないことが都市伝説になりそうだからここを去ろうかな‥‥‥でもなぁ、なんか葵ちゃん近くにいる気配はするから離れがたいんだよなぁ。)
そんなことを考えながら手を動かしていると、唐突にぎゅむっと抱きしめる力を強められた。
『な、何?』
変なものでも見つけたかとそのまま要君を見上げると、彼はどこか何とも言えないような表情で私を見つめていた。
「‥‥‥‥‥別に。なんとなく。」
こつんと頭の上に顎を乗せられてちょっと重たいし邪魔だ。
それに、なんと言うべきか‥‥‥‥年齢を経るごとにスキンシップが激しくなっているような気がする。
いい加減、言っておかないといけないのかな。そう思って私は作業の手を止めて要君に語りかける。
『あのね、要君。こういうことは好きな人とかにしかしちゃだめなんだよ。決して君の知的欲求を満たすために私を拘束するために行っていい行為じゃないんだよ。』
よし、言えた。こんなところで良いだろうと手を進めようとした。
「あん?昔っから好きだけど何か?」
ん?
『今なんて言った要君』
「だから昔から好きだって。」
『‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥』
?
「気づかねーとは慧眼も腐ったな、と言う訳で作業をそのまま続けてろ。」
うん??
『ちょっと待って?????要君、事態が呑み込めてない。なんて?』
「あ?だから実験そのまま続けてろって言ったんだよ。」
いや、そこじゃない、そこじゃないのだ。
『その前、前。ちょっと待って?それどころじゃない、実験どころじゃない。』
「昔から好きって話か?」
しれっというけど照れるとかそう言うのは無いのだろうか。こう、羞恥心とかそういう物はいずこ?
『えー、と。好きって、こう、おねーさんとして好きとかそう言う感情であってるよね?』
「そうだな。違うが。」
『え?』
「ん?」
‥‥‥‥‥‥‥おっと?雲行きがこう、妖しくなってきた気がする。
ちょっと確認しよう、そうしよう。それで分かるはずだから。
『要君、その好きは英語で?』
「Love.」
めっちゃくちゃ流暢な英語で言われた。
体が熱くなる。なんだこれ、なんだ、なんなんだろう、これ。
「Loveでもあるし、勿論Likeでもある。でもお前の聞きたい質問に対する答えは前者だ。」
『いつから?』
声が若干裏返ったのが自分でも分かる。顔が赤くなる感覚がとても、こう、何とも言えない気持ちを呼び起こす。
「段々とだからその辺りは答えられねぇな。分からない、が正解だ。」
『めちゃくちゃ本気っぽい答えが返ってきた。』
「本気だが?だからさっさと納得しろ。」
そんな無茶な。流石に私だって一人の女の子(異形だけど)だもの、好きと言われてそのままはいそうですかとはいかない。
『研究見たいからって理由でからかってるなら即刻辞めてほしいし私今ちょっとその言葉が気になりすぎてどっちにしろ集中できないんだけど!?』
「都合のいいように解釈してもらって構わないんだが。」
『そういうとこだぞ要君!!君の院内の女の子たちの評判の良さは聞いているけれどそれこんな辺鄙なとこで実験に明け暮れてる私にまで振りまく!?』
実際、要君の顔立ちは整っていると思うし、患者さんたちからの人気も高いからちょっとしたファンクラブみたいなものまでできているらしい。なんでも、クールなのもそれはそれでいい、とかなんとか。でも流石に私には関係ないと思っていた。うん。本気で思ってた。
「どうせ顔だろ。それ以上を知って俺を見てるやつは未希しかいねぇよ。」
それ以上。それ以上とは何だろうか。
とりあえず、心臓の鼓動と呼吸を整えよう。いや、鼓動は止めちゃだめだ。整えるだけ、整えるだけ。
そう言えば、帰ってきたらすごい数の人が見てくださってるみたいですごくびっくりしました。
いつもありがとうございます。
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