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ノアの方舟での一幕 後編

後編です。


案の定というか、求めていた存在、バビロンはカフェで休憩中の様であった。

しかし、前と何かが違う。

少々彼のふわふわとした獣の耳がぴこぴこと動いている。


(まるで何か警戒しているみたいだな。)


そう思いつつ、バビロンの元へと向かい、同席する。


「あ、若狭じゃねぇか!帰ってきたのかよ!」


『まぁな。‥‥‥‥‥時に、バビロン。少し前にここに滞在していたという六花なる存在について主様から話を聞いたのだが。主様から、“バビロンに聞くように。”と言われて今に至る訳だが。』


そう言うと、彼はダンッ!と飲みかけのカップを机に叩きつけるようにしておきながら吠えるように言った。


「今に至る訳だが。じゃねぇよ!!」


『零れるだろう。中身が。』


「それはお前のせいだろうが!何でそれであんな奴の事を聞きに俺のところになんか来るんだよ!!」


少々彼の声は耳に痛い。


『主様が仰ったからだ。一緒にいたのであろう?それだから適任だろうから、と。』


そう耳を塞ぎたい衝動を堪えながら話を聞いてみる。


「あいつはいっつもそうだな!!?」


そう叫びつつも、どかっとソファに座り込んで、少々難しそうな顔をするバビロン。

彼のこのような真面目な顔を見たのはいつぶりだろうか。そう思いをはせていると、ぽつりとバビロンが呟いた。


「‥‥‥‥‥なんていうか、人間じゃねーみたいだった。そもそもなんか色々ズレ過ぎてるっていうか。」


『まぁ、人間ではないらしいしな。』


そう答えると、目を丸くするバビロン。‥‥‥‥知らなかったのだろうか?


「知ってたのかよ!?‥‥‥‥‥まぁ、そんなだったから色々と俺が睡眠の仕方から色々と教え込んだんだよ。ここのルールとか、色々。本当に色々!!」


その六花なる人物に対して余程思うところがあるのか、バビロンは段々と語調を荒くしながら愚痴のように話をする。


「最初は本当に大変だったんだぜ!?初対面で俺の事拘束して襲い掛かってくるしよ———————」


(‥‥‥‥‥あぁ、これは長い奴だな。)


適当に話を流し聞きながら、適当なところで話を切り上げる。


『バビロン、お前のおかげでよく六花の全体像が分かった感謝する。』


そう言って颯爽と席を立つ。


「だっろぅ!?たまには俺も役に立ち・‥‥‥‥‥‥っておい!人の話は最後まで聞けぇーーーーーーーー!!!!!」


吠える彼を放置し、謁見の間へと再度向かう。


(いつも通りと言えば、いつ通りだが。‥‥‥‥‥少々面白い存在の様だったな。)


彼が吠えるのはいつもの事だ。だが、あそこまで感情をあらわにして、時に難しい顔をして話をする存在はそう多くはない。

余程、その六花なる存在から様々な影響を受けたのだろう。

そう思いつつ、再度謁見の間の扉を開ける。

悪戯が成功した葵のような雰囲気を醸しながら、主様はいつものようにそこにいた。


『戻りました。』


そう言って礼をすると、主様はどこか楽しげな声で問いかけてくる。


「良い話は聞けたか?」


『えぇ、まぁ。‥‥‥‥‥というか、バビロンが何を言うか知ったうえで彼に話を聞くよう仰いましたでしょう。』


そう言うと、表情は変わらず、けれどとても楽し気に主様は笑う。


「ははは、精神体だからね。」


内心呆れつつも、彼から聞いた話の中で興味深かった部分をあげてみる。


『‥‥‥‥どうやら、主様の仰る通り、神を二柱再起不能にまで貶めた実力は本物の様でした。端末を通してある程度は見ていらっしゃったようでしたが、その端末を壊し、主様の目が届かないようにしてまで行った戦いは、それは見事だったとか。正直、あのバビロンから“あいつは強い。”などという言葉を聞く日が来るとは思いませんでしたよ。しかし、それゆえかチームワークを知らず、背中を預けることを痛々しいほどに拒否する一面もあったそうです。それを危惧したバビロンが、チームワークとは何たるか、というのをある程度叩き込んだようです。』


本当に、会話の中で彼から出てくるとは思えない言葉を聞いたのだ。


「あいつは、本人が言う通り、本当に強かった。俺のチームが全力で当たっても勝てないくらいには。‥‥‥‥でも、その分というか、すげぇ見てて痛々しい戦い方をする奴だった。なんていうかこう、“自分には誰もついてこれない。だから自分だけでやろう”みたいなのを見せつけてくるような‥‥‥‥‥」


まるで六花とやらに気を使っているようだなと言った瞬間に“そんなわけねぇだろ!!”と吠えられはしたが。

そう、少し考えているうちに、主様から声がかかったのに反応するのに一瞬かかった。


「それで?」


『‥‥‥‥‥、それで、とは。』


何が言いたいのか分からず、そのまま問いを返す。


「あーもう、冷静なようでいて直情的で鈍感な男は困るねぇ。‥‥‥‥‥‥興味持った?」


あぁ、成程。六花なる存在に自分がどういった反応を示すのが知りたかったのか。

少しだけ、考えてから答える。


『‥‥‥‥はい。とても。』


なにせ絶滅したとまで言われる竜種の同族、しかも神々に直接創られたとあっては自分よりも竜種としての特性は色濃く出ているのだろう。

けれど。


『しかし、俺自身から動く必要性は無いと思います。葵との出会いのように、めぐり合うべきならばそのうちに出会うことになるでしょうから。』


良くも悪くも、交わるべき時には交わるし、交わらない存在とは交わらない。

世の中そうできているのは、葵の事で痛感したばかりである。


「成程。そなたの意見は分かった。であれば、またしばしここにいるように。」


『御意。』


まぁ、会うのであれば早いうちの方がいろいろと聞けそうではあるな、なんて思う。

さて、今日もまた、平和な方船の主の護衛をするとするか。





おやすみの間に色々とありました。

また一か月後くらいにバタバタするかもしれないです。

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