ⅡのⅧ
会いたくて仕方ない人、
その人に別れを告げられたなら?
その人を見つけるまで探す・・・。
さあ、夢の続きはここで・・・。
暑い・・・その上、セミの鳴き声がうるさい。額に汗が流れ、俺を苛立たせる。そこに、アイツが大好きだった歌手の曲がながれた。音は携帯からだった。携帯を開き、電話に出る。
「・・・俺。」
「大智だけどさ、お前・・・逆オレオレ詐欺か?!響輔だよなぁ?!」
大智は俺の親友で、幼馴染の彼氏だ。あの幼馴染と付き合えるなんて、大智は良い奴過ぎる。それにしても、今日はいつもと様子が変だ。もしかして・・・。
「あぁ。・・・もしかしてお前、アミと喧嘩でもしたのか?」
図星なのか、大智は暫く喋らなかった。あぁ・・・またかお前ら、と思いながらため息を吐けば、大智はどもりながら喋り出した。
「な、なあ?今日さ、久々に祭り行かねぇ?お前にとっては嫌なものだろうけどさ。」
「まぁな。・・・たまには良いかもな、祭りも。」
そう言ってから、待ち合わせ場所などを決めて、電話を終えた。俺の頭には、数年前の今日が頭に浮かんだ。そう、アイツとの最後のお祭りで、お別れをされたあの夏――――――――――。
―――数年前―――
周りには人、人、人。音は溢れかえり、浴衣姿の人や、うちわを持つ人、甚兵衛姿の人が俺の隣をすれ違う。俺は待ち合わせ時間よりも10分ほど早く、ココについてしまった。アイツはまだだろうか・・・。探したくても身動きが取れず、首を右へ左へと動かすだけ。
「ごめん、待たせた?」
後ろから、アイツの声がした。聞き間違えることのない、アイツの声。その声に振り返れば、白地に花火を咲かせた浴衣を着ているアイツ。あまりの美しさに、声が出ない。ソレを不思議そうに首を傾げながら、アイツこと歌音は見てきた。それがまた、可愛くて仕方なかった。つい、口角が上がる。
「全然。よくわかったね、この人ごみの中。」
「あぁ・・・。まぁ、目立つからね。」
そう言って俺の髪の毛を指さした。俺の髪は生まれた時から、クウォーターのせいか銀色がかったオレンジの髪だ。歌音はこの髪の毛が綺麗だと言ってくれる。浴衣を褒めようかとも思ったが、恥ずかしくて言い出せない。
花火が上がり、お祭りが終わりを告げようとする。最後の花火が夜空に、大きく散った。それを見た後、俺は歌音を家に送っていた。幼さがあるその横顔を、いつまでも見ていたいと思った。そんな時に、
「響輔。明日さ、いつもの公園に来て。」
いつも学校帰りや、デートの帰りに行く公園のことだ。明日は予定がなくて、歌音と遊ぼうと思っていた。ドッキリで、明日の朝にでも電話をしようかと考えていたのに・・・。だけど、そんなのは歌音からの初めてのデートのお誘いだった、ということで、どうでも良くなった。
「イイよ。1時にいつもの公園でもいいか?」
「えぇ。」
彼女の返事が聞こえると、家に着いた。彼女は俺の目の前に立って、くるりと振り向いた。髪が揺れるのが、振り向くその仕草が綺麗で、息を飲む。
「送ってくれてありがとう。また明日ね・・・おやすみなさい。」
「・・・あぁ。お休み。」
まさか翌日が、お別れなんて知らずに・・・。
―――翌日―――
やはり待ち合わせ時間よりも早く来てしまう、俺。でも、今日は彼女が先にいた。木の陰にあるベンチに座る彼女は、どこか落ち着きなく見えた。
「あッ・・・、響輔。」
「よう!!暑いな、今日も。」
そう言って、俺は隠し持っていたスポーツドリンクを渡した。本当は自分のために買ったけど、先に来ていた彼女に渡す。彼女はありがと、とつぶやいた。そして、ソレを受け取り、一口飲んだ。
「・・・あのさ、響輔。」
急に俺に背を向けた歌音。少し鼻声で、俺の名前を呼ぶ。そして、振り返った。
「ごめんね、お別れしよう。今まで、ありがとうね。・・・大好きだった!」
顔を見せないで、そう言って歌音は走って、俺の横をすれ違う。昨日のお祭りの人もすれ違ったけど、それとは違う、悲しみを残して。その時に、腕をつかもうとしたけど、かすってしまった。追いかけたくても、恐くて追えない・・・。自分の無力さを、俺は知った。
「なんで・・・過去形で言うんだよッ!!『だった』なんて、俺は今も好きなのにッ!」
その声は虚しくも、蝉の声に邪魔をされ、俺の心に残るだけ。涙が止まることを知らないのか、溢れては流れるだけだ。足が震えて、彼女を追う事さえできなかった。ついには足に力が入らなくて、地面に膝をついた。セミはただ、鳴いている。俺もただ、泣いている。
次の日、お昼ごろに彼女の家に行けば、彼女はもういなかった。近所の人に引っ越したのだと聞かされた。彼女の親しい友だちはそれを聞いていたらしく、俺が知らないことに酷く驚いていた。そして・・・大智も知っていた。
彼女に大智と彼女の親しい友だちだったアミは、俺のことをよろしく頼むと言っていたらしいが、この時の俺は数年後まで、それを知らない。
―――お祭り(現実)―――
大智の愚痴を聞いていれば、そこにアミが来て、只今絶賛喧嘩中。俺はそこから無事逃げ出し、木陰に座っていた。そこに、見覚えのある・・・いや。忘れられない、彼女の姿が。動揺をバレないように、でも、自分に気づいて欲しくて声を出した。幼さが薄れ、大人びた彼女に。
「うげっ!」
ソレを絶っっ対、気づいているのにも関わらず、歌音はムシをした。でも、俺は見逃さなかった。彼女が一瞬、泣きそうな表情をしたこと。だからつい、名前を呼んでしまった。
「歌音!」
これが俺らの再開と、2度目の恋のはじまり。
また、出逢えた奇跡に、彼女に、神さまに感謝します。
グチャグチャですいません。
前回の続き的なものです。
ここまでのお付き合い、感謝します。
どうかこれからも、よろしくお願いします。
感想やダメだし、待っています!




