ⅡのⅦ
逢いたいけど、逢ってはいけない。
そんな相手、いませんか?
2人の想いを・・・さあ、
「うげっ!!」
暑い7月の末にあたしとあたしの親友と弟とその親友で遊びに来ていた。ココはとあるお祭り会場。そこで会いたくなかったアイツにあった。相変わらず無礼者で、変わっていないことがよく解った。それにしても、失礼な反応だ。「うげっ!!」とはなんだ、あたしのセリフだ!!アイツに気づかないふりをしながら、あたしはあいつの前を通り過ぎようとした。なのに・・・。
「歌音!!」
アイツはあたしの腕を掴んで、それを阻止してきた。あたしが呼ばれたのに気がついた弟たちは、不思議そうに首を傾げた。・・・もう、面倒くさいことになった!!やっぱりメイクしてくるんだった!!
「歌音?その人、知り合いなの?」
「お前、誰だよ。」
弟があたしに聞いてくる。あたしの親友はアイツに威嚇する・・・親友は気を許さない奴にはこういう態度をとる。アイツとバイバイのお別れをしたあとに彼女とは出会ったから、多分、警戒をしているんだと思う。それをあたしは制した。
「ユキ、その人は知人だから大丈夫だよ。」
「・・・歌音、俺のこと無視しないでよ。」
弟が地味に沈んでいるのを気にしない、あたし。その弟を「まあまあ、響」となぐさめる弟の親友。さらに言うならば、あたしの親友ユキの彼氏。アイツは手を離してくれない。セミの音が休むことなく鳴いているのが、何故か大きな音に聞こえた。
「暑いからそろそろ離してくれないかな、キョウスケ・・・。何時ぶりかな?」
「歌音・・・中学2年の時ぶりだな。少し、いいか?」
あたしは首を縦に振った。だって知ってるから、彼がとても頑固者であたしが勝てるわけがないことを。ユキは心配そうにあたしを見つつ、アイツことキョウスケを睨んだ。「ごめんね、後で。」そう言って、3人と別れた。
「あいつ、誰だよ。お前のこと呼び捨てにしてただろ・・・」
「関係ないでしょ?・・・あたしたちはただの『知人』なんだから。」
キョウスケは何故か不機嫌らしく、眉間にシワを寄せて低い声で問い詰めようとする。でも、あたしは『知人』という言葉を強調して、キョウスケに答えた。ちらりと彼の口元を見れば、唇を噛み締めて歪ませた。ひっそりと思うのは、綺麗な形をした唇なのに・・・ということ。彼は顔が嫌味かと思うくらいに整っている。数年ぶりに見ても、すぐに気がついてしまうほどに。
「知人でも・・・知りたいと思っちゃいけないのかよ、お前のこと!!」
「・・・はぁ?そこまでのこと言ってないでしょ、別に。それに、さっきのは弟。」
「え?!あれが・・・確かに、少し似てたかも?」
疑問符がついていることには触れないで話を進める。早く3人のもとへ帰りたくて仕方ないあたしはつい、貧乏ゆすりをしてしまう。
「なあ、もうあの日には戻れないのかな?俺たちは。」
あの日・・・あたしは転校するときに言ったのだ、さよならと。一方的にだけど、お別れをした。・・・大好きだったけど、今だって忘れられないけど。それはあたしだけの秘密で、誰にも言えない秘密。
「なんで!?なんでそんなこと言うの?」
「え、歌音?!な、なに泣いてんだよ!!」
涙が止まんないから仕方ないでしょ?それに、泣かせてるのはあんただしッ。
「なあ、歌音。泣かないでくれよ」
「なんで?泣くも泣かないもあたしの勝手でしょ・・・」
グス、とハナをすする。あー!!もう恥ずかしい・・・メイクしてなくてよかった。マスカラ落ちると怖いからね。まあ、ウォータープルーフだけど・・・ね。
「なんでって・・・好きな人が泣いてるの!!自分のせいじゃなかったら怖いだろ!!」
「・・・え?」
嗚呼もう、醜態を晒してばっかりで嫌だ。それに・・・何言ってんのよ、キョウスケは!!本当に、今日はどうかしてるよ。グズッと再びはながなった。
「なあ、歌音・・・まだお前のこと好きなんだ。まだ好きでいさせてくれないか?」
彼は意地悪。どうせ断ったって、頑固だからどうにもならないのに!!この言葉が声にならない、それがどうにももどかしい!!
「あたしだって・・・本当は別れたくなかったよ!!でも、好きだったから別れたんだよ・・・あたしだってまだ、忘れられなかったんだよ!!・・・っ好き。」
逢いたくない彼は1番逢いたかった人で、大好きな人だった、今も大好きな人。・・・キョウスケ。
この関係は複雑でもどかしさがある。
だけど・・・恋は終わることを知らなかったから仕方がないでしょ?
ねえ、響輔
なあ、歌音
「大好き」
自分で考えていたものと全くと言っていいほど違うものになってしまいました!!
いかがでしたか?
ここまでのお付き合い、大変ありがたいです。
有難う御座います!!
どうかこれからもよろしくお願いします!!




