ⅡのⅥ
貴方は約束を守れていますか?
死んでも尚、約束を守ろうとした少年と仲間の話はいかがでしょうか?
さあ、約束へ。
俺たちはいつも一緒に遊んでいた。だが、ある日を境に、俺らはわかれた。約束の日にまた会うという約束をして。
―――約束の日 8月某日 神社―――
35度を超えた真夏日。男は待ち合わせより10分ほど早く着いてしまった。近くの自動販売機で買ってきたスポーツドリンクを喉を鳴らしながら飲む。男の小麦色に色に焼けたその肌は、この真夏日に似合ってた。そこに、二人の男女が近づいて来るのが見えた。
「直紀!!晴華!!」
男が近づいてくる男女に、手を振った。男女も顔を見合わせたあと、小走りで男に近づいてきた。二人組の片方、女の方が男に話しかける。
「悠介だよね?ちょうどソコでナオと会ったから二人で来たのよ!!」
女性特有の高い声。男・・・ユウこと悠介は喜びのあまりか、笑みを浮かべていた。女と来た男の方は、その懐かしい景色を眺めていた。女は相変わらず口を忙しく動かしている。暑さを感じていないようにも思えた。
「ハル、ユウが困ってるよ。」
「・・・梨紗!!」
そこにもう一人、リィと呼ばれる女が来た。呆れた表情を浮かべながら笑っている。ハルと呼ばれた女はとても嬉しそうに笑顔を浮かべ、リィに抱きついた。本当に、暑さを感じていないのではないだろうか。ユウは、先ほどナオと呼ばれた男にキョロキョロとしながら話しかける。
「ナオ、アイツ一番に来ると思ったらなかなかこないな。」
「あぁ。待ち合わせ時間は2分前にすぎた。いつも3分前には着いていたのにな、昔は。」
どうやら一人、待ち合わせ場所に来ていないようだ。
―――10年前 8月某日―――
少年が3人、少女が2人。神社の大木のそばにあるベンチに座って会話をしている。
「なあ、リィ。本当に今日、夜には発っちゃうのか?」
帽子をかぶった少年が、一人の少女・・・リィに話しかけた。リィは首を縦に振った。目にうっすらと涙を浮かばせて。少年は悲しそうな、苦しそうな表情で、口を一文字に結んだ。
「アメリカは・・・遠いよ。」
「ナオも、明日から入院でしょ?」
ボソリと呟いた少年に、帽子をかぶった少年が言った。ナオと呼ばれた少年は、肌が夏にも関わらず、真っ白だった。いや、青白い。彼は病気らしい。「ヒクッ」という、泣く声が聞こえた。リィの隣に座る少女が肩を震わせて、涙を着ている白いワンピースに零した。
「泣くなよ、ハル・・・。皆だって、我慢してるんだからさ。」
語尾を震わせて、涙を浮かべる少年は言った。彼自身も泣きたいのは山々なのだろう。
「知夏・・・お前も泣いていいんだよ。今日は我慢しなくて、いいんだよ。」
チーと呼ばれた少年に、帽子をかぶったユウという少年が目をこすりながら、優しく言う。そして、ユウが立ち上がって、涙を堪えながら笑って言った。情けない、笑顔だ。
「10年後!!俺たちが大学4年生になったとき。またこの場所で、今日、会おう!!」
最後の方はもう、涙を抑えきれていなくて泣いていた。でも彼は笑顔だった。ほかの4人もつられたように立ち上がる。
「うん!!」
「じゃあ、12時ね!!」
「遅れないでね。」
「ソレはあんたでしょう・・・。」
これが、彼らの約束だ。ただ、これが全員では集まれないなんて、誰も知るわけがなかった。
―――約束の日 待ち合わせから1時間―――
「なんで・・・一人足んねぇんだよっっ!!」
ユウが手に持っていた、中身の無いペットボトルを地面に叩きつけるように投げた。ナオはそれをなだめるように、彼の肩に手を置いた。
「落ち着け!」
それに習うように、リィとハルも言う。
「もう少し待ってみよう。」
「そーだよ!」
ユウはベンチに座って頭を抱えた。ナオも隣りに座る。時間は経っていくだけだ。それから20分経ったときだった。
「あの・・・ユウさん、ナオさん、リィさん、ハルさんですか?」
一人の少女が現れた。神社の鳥居を抜けて走ってくる。その姿は近所の高校の制服にローファーを履いていた。そして、4人の近くで止まる。
「・・・松下 知夏の妹の松下 知弘です。」
そう言って、頭を下げた。松下とは、ここに来ていないチーこと知夏の苗字だ。ユウは立ち上がり、知弘のもとへ行く。
「・・・チーは?」
そう言えば、知弘は言いにくそうに顔を俯かせた。4人はその意味が分からず、顔を見合う。一体何事かと。知弘は覚悟を決めたように顔を上げ、目の前にいるユウに向き合った。
「2年前の今日、病気でなくなりました。兄の御願いで、皆さんにはお知らせできませんでした。申し訳ございませんでした!!」
そうして再度、頭を下げた。4人はただ、呆然と立ち尽くしてしまった。
「兄が・・・この日に会うんだから、その前に会わせてはいけないと言って。・・・兄の最後の願いでした。どうか、許してください。そして、出来ればお線香をあげて欲しいんです。」
よく見れば、知弘はカバンと何かのケースを持っていた。おそらく楽器の入っているケース。制服はうっすらと汗で濡れている。きっと、部活が終わってから急いできたのだろう。
「兄が最後に・・・ゴメン、約束は守れなかった、と言ったんです。」
約束を守りたかったと思います、と泣きながら言った知弘。その背中をそっと、リィが撫でた。そこにユウ、ナオ、ハルと手を当てて撫でた。
「・・・バカだなぁ、チーは。お葬式行って、お別れさせてくれよ。」
「ちがうでしょ、優しいのよ。チーは最後まで優しい。」
「それも違うよ!優しすぎるんだよ。チー、お別れしたくなかったのかな?」
「あいつ、泣き虫だったから。お別れされたら泣いちゃうからだろ?」
約束は守れなくても、
きっと5人の絆は守れただろう。
暑いこの夏の日。
汗と共に涙が流された。
いかがでしたか?
テストが近いのに小説書いていたので、そろそろ勉強を始めようと思います。
ここまでのお付き合いに感謝を、よろこびを。
どうかご感想をお願いします!!




