095 ここでも宴が開かれるとは思わなかった
オーガ族の王様、ホムラさんが高らかに告げた事。
それは・・。
「今より宴を開く!!!!」
だった。
一瞬何を言われたのか耳を疑った。
何で突然宴?
でもホムラさんはにやりと笑ったままこう続けた。
「ここにいる人間、リタは俺様が呼び寄せた客人だ!人間だが、今お前達が目にしたとおり、こいつは穴に閉じ込められた者達を救ってくれた!最も大切な幼き子供もだ!!俺様達はそれに対してこいつに感謝しなければいけねぇ・・!だから宴を開こう!!リタへの感謝を伝え、同族が無事に救出された祝いの宴を!!!酒を持って来い!肉をふんだんに使え!!盛大にやれえ!!!」
お・・・・・おおーーーーーーーーーーー!!!!!!
最初は目を丸くしていたオーガ族の皆さんは、状況とホムラさんの宣言を理解した途端、活気に満ちた声を上げた。
それで地面が揺れたのは気の所為じゃない絶対。
その後、次から次へと酒樽が持ち込まれて巨大な大鍋を皆で囲む形の宴が始まった。
ホムラさんは玉座みたいな所に腰かけて、赤い大皿でお酒を飲んでる。
私は大鍋からよそったお肉がいっぱい入ったスープの器を持ったまま、固まっていた。
あまりの急展開に頭が付いて行けてないからだ。
何というか・・スライム族の人達が開いてくれた宴とは全然違う。
酒樽をそのまま持ち上げて飲んでる人もいるし、豚のような魔物の丸焼きを一人で食い尽くす人もいる。
オーガ族は何から何まで豪快だ・・。
「リタ、食べないんですの?美味しいんですのよ我が国自慢の肉鍋は」
「あ、い、いただきます!」
ひょこっとモモ姫が顔を覗き込んできた。
にっこり微笑まれてしまい、私は食べない訳にはいかないと思ってスープを一口すすった。
「・・・・あ、美味しい」
「でしょう!」
モモ姫はぴとっと私にくっ付く。
「あ、あの・・・」
「ああ・・・このぽよんっとしててもっちり感触・・・理想的すぎますわ~~~」
太い二の腕を無遠慮にもみもみされる・・。
褒められてるんだろうけど・・嬉しくない・・。
その様子を微笑ましい目で見ているのがクレナイさん。
彼女はホムラさんのすぐ傍にいる。
それだけでなく、ホムラさんの周りには物凄い美人な人達が集まっていた。
「リタ、紹介するぜ。こいつらは全員俺の妻だ」
9人いるっていっていたけど・・こんなに美人さんぞろいとは!!!
さては王様、相当な面食いだな・・!
「こいつの名前はアカネ。ちょっと男まさりだがそこが気に入ってる」
「よろしくな!」
ホムラさんは一人ずつ、奥さんを紹介してくれた。
まずはアカネさん。
夕焼けのような色の髪で気さくに握手を交わしてくれた。
「こっちはロカ。アカネとほぼ当時に妻に迎えた」
「よろしくお願いします」
ロカさんは赤みがかかった黒髪をお団子ヘアにしていて、この人は優雅な仕草で頭を下げてきたので私もお辞儀した。
「こいつはセイカ」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
おかっぱで紫色の髪のすっごく綺麗な人だけど、無表情でじっと見られる・・。
じー・・・と見られて見られて・・・ぺこり、と何も喋らないままお辞儀をされた。
「こいつは滅多に喋らねーけど、気にしないでくれ」
そ、そうなんだ・・。
「んでこいつはベニだ」
「はじめまして」
わっ!クレナイさんにそっくり!!
「ベニはクレナイと双子だ。そっくりだろ?」
「わたしが姉なの。妹のベニと仲良くしてあげてね」
「よろしくね」
双子かぁ・・。
どうりで。
クレナイさんにはないけど、ベニさんの方は口元にホクロがあるんだ。
でもほんとそっくりだなぁ・・。
「よっろしくねリタちゃん!!!」
「こいつは最近妻に迎えたばかりのモミジだ」
驚く事にオレンジ色の髪をポニーテールにしているこの子は私と同じ年だという!
いや、結婚できる年齢だけど!
はぁ・・進んでる子は進んでるんだなぁ・・。
「んで、右から順番に紹介するぜ。ツバキ、サザンカ、シャクヤクだ。三姉妹で妻達のまとめ役をしてくれている」
「可愛らしいお嬢さん、クレナイから話は聞いた。色々迷惑かけてごめんよ」
「ホムラ様は思い立ったら即実行のお方ですから~」
「無礼を許しておくれね。ホムラには後できっちり言い聞かせるから」
「おいおい、俺様は何もしてないぜ」
「あんたが一番の元凶だよ!」
「ぐ・・・」
それぞれ濡羽色の綺麗な髪には、名前と同じ花飾りをつけててよく似合ってる三人の奥さん達。
三人は奥さん達の中でも年が上のようで落ち着いていて、頼りになる印象だった。
とくにシャクヤクさんが一番年上らしく、一番落ち着きのある女性に見えた。
さっきの言葉からしても、シャクヤクさんにはホムラさんも頭が上がらないよう・・。
しかしよくもまあ、こんな美人ぞろいな奥さんを集めたなぁ・・。
「面食い・・・」
「あ?」
ぼそっと言ってしまったけど、ばっちりホムラさんには聞こえたようだ・・。
やっべ。
でもホムラさんは怒る事もなく、がははは!と笑った。
「そりゃあ妻にするなら見目麗しい方がいいだろう!だが俺様は外見だけで選んだ訳じゃねぇ・・俺様の妻にはおもしれースキル持ちでないとなぁ。性格の方は悪くても俺様が調教してやればいいだけの話だし!」
調教って・・聞かなかった事にしよう、うん。
でも話の内容からしてどうやら、奥さん達は凄いスキル持ちらしい。
「変わったスキルであればあるほど、珍しいスキルであればあるほど、俺様は興味がそそられる・・お前みたいにな」
くい、と顎を掴まれた。
「お前はその両方・・、変わってて珍しいスキルを持ってる。すっげぇそそられるぜぇ・・・」
ぞくっ。
な、何か・・・肉食に睨まれた草食動物になった気分・・。
妙な雰囲気になってきた、その時であった。
「リタから離れろ、下衆野郎」
ぴたり、とホムラさんの首筋に剣を押し当てるのは・・。
「ま、マイム・・・?ムゼン、さん?」
「リタ・・・助けに来た」
『やれやれ・・・』
急に現れたマイムとその肩の上にいるムゼンさんの姿に、私は口を開けっぱなしで驚いた。
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