092 その名はイレイスシャボン
「何!?」
「まぁ!!」
目を見開くホムラとモモ。
他のオーガ族達も一斉にざわめいた。
「あ・・あれ?」
洞窟の中から、何が起こったのか目を瞬かせながら数人のオーガ族達が出てきた。
土埃で汚れていたが、怪我はしていないようだ。
そのオーガ族達の中には、泣きじゃくる子供の姿があった。
「ママぁ!!!」
「ああ!!良かった無事で!!!」
子供を抱きしめて、無事であった我が子に涙を流す母親。
洞窟内部に閉じ込めれた者達は、何が起こったのか周りに聞いていた。
「と、突然入り口を塞いでいた岩がすうーって消えていったんだが、一体何が起きたんだ?」
「それが俺達にもよく分からないんだ・・。目の前で何が起こったのか・・」
「人間の子が、貴方達を救ってくれたみたいだけど・・」
「人間が・・?」
・・・・・ああああああ!上手くいったああああ!!!!
物体を消してくれるシャボン玉なんて、とんでもない発想をしちゃったけど上手くいって良かったああああ!!!
入り口を塞いでいる大岩のみを消してくれるシャボン玉・・何の被害も出す事なく本当に大岩だけが消えた。
成功して本当に良かった・・!
中にいたオーガ族の人達も子供も、皆無事なようだし。
一件落着かな・・?
「おい」
あ、今のシャボン玉は何て名前にしよう・・?
「おい」
消したいものを消してくれるシャボン玉・・イレイスシャボンなんてどうだろう?
中々良いんじゃな「おい!!!」
ひい!!!
気づくといつの間にか王様が私の真後ろに立っていた。
こっわ!!!!
さっきはマイムを侮辱にされた事の怒りで向き合えたけど、今は怖さの方が勝ってるからこっわ!!!!!
「・・・・今のが、お前の持つスキルの力なのか?」
「え・・・?あ・・・は・・はい・・・」
「・・・そうか・・・・。・・・・そうかそうか!!!あははははははは!!!」
突然、豪快に笑い出した王様。
笑いながら至近距離に私の顔を見てきた。
「クレナイが言っていたのは真だった!スライム族の村に人間の娘が住み始めた。そいつは面白く、不思議なスキルを持っていると!まさしく面白く、不思議なスキルだ!!なあクレナイ!!」
クレナイさんは微笑みながら優雅な足取りで私達の傍に来た。
「実は貴方の事は以前から、この子達の眼を通して視ていたの」
クレナイさんの細い指を空に向けると、鳥が一羽その指に下りて止まり、2羽目の鳥はクレナイさんの肩に止まった。
「わたしは【授かりの儀】で、≪鳥使い≫のスキルを授かったの。このスキルの力は鳥と会話ができたり、鳥の眼を通して色んな場所を視る事できたり・・。たまたま『アニマの森』をこの子達の眼を通して視ていた時、貴方の事を知ったの」
えっと、つまり・・色んなところに飛んでいける鳥さんの見ている光景を、そのまま見る事ができるって事?
わあ便利な力!
・・・・じゃなくて!!
「ずっと、私の事を見てたんですか・・?」
「ずっとって訳じゃないけど、貴方が面白くて不思議なそのスキルを使うところはばっちり見ていたわ。貴方がスライム族が大切にしていた泉を救ったところや、村人の病気を治したところなんかも、ね・・」
それって私が村に来たばかりの事じゃない!
見られていたなんて・・知らなかった・・。
「にわかには信じられなかったが、今の力を見て納得した!回復の力があるらしいなお前!なら・・」
・・・・ザシュ!!!
「!?!??」
「お兄様!?」
王様は自分の鋭くとがった爪で、いきなり自分の腕を引っ掻いた!
何してんのこの王様!??
周りも何をなさっているのですか!?と驚きの声が上がってざわめいてる。
妹のお姫様も口を手で覆って目を見開いちゃってるよ・・!
あああああ・・・ぼたぼたと赤い血が流れて、地面に・・。
王様は平然としていて、ずずいっと血の流れる腕を私に突き出す。
「回復の力、見せてみろ俺様に。さあ早く」
「ちょ、ちょっと・・」
「できないとはいわせねー」
腕の傷から、赤い血がどんどん溢れてくる。
はっきり言って、見るに堪えないほど痛々しい・・!
見ていて何だか私の方が痛くなってきた・・!
思わず私は無意識に回復のシャボン玉、ヒーリングシャボンをだらだら血の流れる王様の腕にぶつけた。
パチンッとシャボン玉が弾けると同時に、王様の痛々しい傷は塞がって、何事もなかったように治った。
周囲が更にざわめく。
「何だあの力は・・!?」
「魔法なの?あんな不可思議な魔法見たことがない・・」
しまった。
私は過去に、村長さんやマイムに私のこのスキルの事はなるべく秘密にした方がいいと、注意を受けた事を思い出す。
沢山のオーガ族達が、私を見ている。
ど、どうなっちゃうんだろう・・私・・。
「・・・・・・・・・・こりゃあ、本物だ・・」
王様はじ、と傷跡も何も残っていない腕を見てにやりと笑った。
「国の者たちよ!!!よく聞け!!!!」
突然、王様が大声を上げた。
な、何何?
何が起こるの?
王様はにやりと笑い顔のまま、口を開きある事を告げた。
それは。
「・・・・・・・・・・・・・・はい?」
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