090 金の鉱山での大事故
ヤシャ国。
戦闘種族として名高いオーガ族の国。
その戦闘力の高さから、高ランクモンスターの討伐依頼を他国の貴族や王族から直接に請け負う事も多い。
莫大な報酬金と引き換えにだけれど、確実に依頼を達成する腕前から信用も高い。
それだけでなく、分厚い石壁で覆われたこの国には豊富な金が眠る鉱脈があり、その金が国を大きく支えていた。
「(確か本にそう書いてあったっけ・・)」
以前、本で読んだヤシャ国についての話を思い出す。
鉱山という事は、金を掘る場所だろう。
そこで落盤事故って・・・大事じゃないの!?
「(なのに、何で皆落ち着いた様子なの?!)」
モモというお姫様は相変わらず私を抱きしめたままだし、お姉さんはあらまぁと言ったっきりだし、王様に至っては顔色一つ変えてない。
「怪我人はいるか?」
「いえ。岩が頭にぶつかったものもいましたが、傷一つ負っていません」
「だろうな。落盤くらいで怪我するような奴はオーガ族にはいねぇ」
何か、凄く次元が違う話をしているーー!!!
普通、岩が頭にぶつかったら重症でしょー!??
あ、そういえばオーガ族がすこぶる頑丈でもあるって聞いた事があるような・・。
だから周りはそんなに慌ててないって事?
お、オーガ族怖い・・・!
「ですが鉱山に子供が忍び込んだらしく、その子供も一緒に落盤事故で閉じ込められてしまって・・」
「何だと!?!?」
「まぁ!」
「そんなっ!」
でも恐らく王様の部下であろう、男の人の言葉に一気に空気が変わった。
「馬鹿野郎!何でそれを早く言わねーんだ!!すぐに案内しろ!!」
「はい!」
「クレナイ!モモとそこのモチ娘を頼む!」
「ええ」
王様は急いで男の人と外を出たけど・・・モチ娘って私の事?
さっきお姫様が私の事をおモチみたいって言ったから?
・・・・・解せぬ。
「大丈夫かしら・・クレナイお姉さま・・。子供は無事でしょうか?ああ心配だわ・・」
「無事である事を祈りましょう・・」
さっきとは打って変わって、オロオロしてるお姫様をお姉さんが頭を優しく撫でてる。
・・・そうだ。
確かオーガ族は子供を天の授かりものとして、凄く大事にしているって本に書いてあった。
子供を虐待する奴がいたら、他種族だろうと烈火のごとく怒り狂うって・・。
・・・・オーガ族を怖い怖いって思ったけど、何か申し訳なくなってきたな。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
クレナイはじっとリタを見つめていた。
何かを考えているようだ。
「・・・・・・わたし達も行きましょうか」
「え?」
「お姉様?」
クレナイはずっとモモ姫に抱きしめられたままのリタの顔を覗き込む。
妖艶な雰囲気を纏うクレナイの顔が近い事に、リタは知らず知らずのうちに頬に熱が集まる。
クレナイはにっこりと笑う。
「・・・・貴方の力が役に立つかもしれないからね」
「え・・?」
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