088 『一番特別な人』
孤児院には子供達が自由に読んでいい図書室があった。
本好きな院長先生が集めた本や、色んな方面から寄付されたりで、色んな本が棚に並べられていた。
寄付された本の中には、何故か簡単にできる呪いの方法なんて物騒なタイトルの本や、同年代の男子が顔を真っ赤にして鼻血を出した年齢制限ものの本も混ざってた事もあった(院長先生が即処分したけど)。
私は物語を読むのが好きで、図書室は私にとって憩いの場だった。
そんな中、沢山の物語を読んでいて、気づいた事がある。
それは、可愛くて綺麗な女の子は必ず王子様や素敵な男性と恋に落ちて、結ばれる事だ。
物語に出てくるお姫様やヒロインは、みーんな可愛くて綺麗だった。
だから私は、可愛くて綺麗な女の子のみが恋をしたり、幸せになるんだろうなぁと思っていた。
太っててブスで、そばかすまである私には恋なんて一生無縁だと思った。
そんな私に院長先生が言った。
「外見なんて関係ありませんよ。外見だけで判断しても幸せにはなれません。リタ、貴方には誰にも負けない素晴らしい所が沢山あります。リタにもきっといつか『一番特別な人』ができて、幸せになれますよ」
院長先生はやっぱり凄い。
一生恋なんてしないと思っていたのに、院長先生の言った通り『一番特別な人』ができた。
でも、幸せになるとは限らない。
私がマイムの事を好きでも、マイムが私を選んでくれるとは思えない。
マイムは素敵な人だから、もっとマイムとお似合いの人がいる筈だもの。
この恋が、叶う事は、きっとない。
だけど、たとえ実らない想いでもマイムが大切な人である事に変わりないから。
マイムを馬鹿にした、この人だけは・・・許せない!
「訂正、してください」
私はぎゅっと手を握りしめて、王様をまっすぐ見つめた。
「あらまぁ」
「・・・・オーガ族の王の俺様にそんな口きくたぁ、良い度胸してるじゃねーか・・。マイムが気に入っただけの事はあるってか?」
王様が眉間を寄せながら私を威圧的に見下ろし笑う。
益々迫力があってまた怖くなったけど、それでも私は引きさがらなかった。
「マイムを馬鹿にしないでください・・!」
怖さ以上に、怒っているから。
「・・・・・・・・・・・・・お前、名前は「お兄様ーどこですのー?」
王様が何か言いかけたけど、可愛らしい声がそれをかき消した。
ひょこ。
「お兄様っここにいたんですのね」
開けられたままの戸から、桃色の髪を二つに縛った可愛い女の子が現れた。
うわ、すっごく可愛い。
・・・ん?お兄様?
「・・・・・・モモ」
「お兄様、何をしていらしたんですの?」
え、王様とこの可愛い女の子・・もしかして、兄妹?
肌の色は確かに似てるけど・・・。
に、似てない・・・!
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