086 ヤシャ国
石の壁に囲まれたその国は大きな国だった。
スライム族の村とはまるっきり違う。
沢山の人達が見える。
ただ一つ気になる点が・・・。
「・・・・皆、ツノが生えてない?」
そう、街の人達は皆ツノが生えている・・。
亜人の暮らす国である事は明白だった。
この大きな鳥さんも立派なツノがある。
鳥さんは段々下に下りようとしていた。
下りる先は、この国で一番立派な外観をした大きな建物だった。
何だかお城みたい・・。
私が知ってるお城とは大分外観が違うけど、明らかに周りの家や建物とは雰囲気が違うもの。
「あれ・・誰かいる・・?」
お城のようなその建物、バルコニーのような広い所に誰かが立っているのに気づく。
「・・・うわあ・・凄いきれいな人・・・」
とても長い黒髪に、真っ赤な唇が色っぽい女の人だ。
絶世の美女とはこの人の為にあるような言葉とも思えるほど、綺麗だった。
その人にも二本のツノが生えている。
「わぷっ」
大きな鳥さんがバルコニーに下りる直前に足を離してくれたおかげで、私は床におでこをぶつけた。
いったああああ!
「ご苦労様、ベニ」
女の人は鳥さんの頭を撫でる。
鳥さんは嬉しそうに女の人にすりすりする。
どうやらこの綺麗な人が、鳥さんの飼い主らしい。
「・・・・・はじめまして、人間のお嬢さん。ヤシャ国へようこそおいでくださいました」
「おいでくださいましたって、無理矢理つれてこら・・・ヤシャ国?」
流石に一言文句を言う権利はあると思って、私は鳥さんの事を訴えようとしたけど、聞き覚えのある国の名前に私は止まった。
た、たしか・・!
「や、ヤシャ国って・・最強の亜人、オーガ族の国・・・!?」
「あらまぁ、わたしたちの事をよぉく知ってるようね・・」
オーガ族。
亜人の中でも強い戦闘力を持つと言われている。
スキル持ちでなくとも並外れた身体能力を持ち、子供のうちから素手でモンスターを討伐できるという、最も敵に回したくない種族の一つ。
オーガ族の最大の特徴は、頭部から生えるツノ。
ヤシャ国は、そのオーガ族だけが暮らす国である。
「(ツノがある時点でここがオーガ族の国だって気づくべきだったぁああ!!!)」
気づいたところで今更どうにもならないけどね!
で、でも何でこんな所に私は連れてこられたの!?
「な、何で・・私がここに・・・?」
「ふふふ・・当然の疑問ね。貴方は今ちょっとわたしやホムラの間で有名人なのよ」
「有名人?・・・ホムラ・・・?」
どういう事?
それにホムラって、誰?
分からない事だらけだ。
と、バルコニーと繋ぐ部屋の向こうからどかどかと足音が聞こえてきた。
「あらまあ、待ち切れなかったみたいね」
すぱんっ!!!
鳥の絵が描かれた部屋の扉が真横に勢いよく音を立てて開かれた。
真横に開けるタイプの扉って珍しいと思いながらも、部屋に入ってきた相手に私は固まってしまった。
「そいつかぁ?あいつのお気に入りの人間ってのは?」
真っ赤な髪から立派なツノ。
橙色の目に、筋肉ががっしりついた褐色肌の男の人。
マイムよりもずっと大柄で、すんごい威圧感と迫力があった。
・・・・・・・・はっきりいって、怖いです!!!
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